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三十九話
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【俺の妹になってください】
三十九話
~ あらすじ ~
夏休み明けからすぐに文化祭だそうだ。そして、このクラスでも白雪姫をやることになっているらしい。なにも訊いてないし、勝手にやってくれるならばそれはそれでいいのだが、なぜか俺は王子役という大役を持たされてしまった。だが、そんなことよりも酷いことがある。山口がとにかくヤバイやつってことだ。
*****
「………はぁ」
ため息を吐きながら自分の教室へと橘と一緒に歩いていた。
ため息の理由は二つあった。
一つは純粋に白雪姫の練習が嫌だってことと、もう一つは、あのふたりの恋を止めるべきか。ということだ。
「……なんか、ごめんね」
「あ?いや、別にいいさ」
どうしたものか。
………全く、いい案が浮かばない。
「カットっ!!風見?どうしたの?」
「あ?え?あ、いや………ごめん」
考えていたら、いつの間にか文化祭で出す劇の練習が始まっていた。
「………まあ、いいわ。とりあえず今日の特訓はおしまいっ!かいさんかいさーんっ!!」
監督である橘が、みんなをさっさと追い返すように手をぱちぱち叩きながら叫んだ。
みんながみんなやる気がある訳では無いので、さっさと変えるヤツらや「えー!!」と、反対するような奴らもいたが、そんな奴らもうまいこと口車に乗せて橘が帰した。
というか普通、夏休み中に練習とかするよな……
「なにぼんやりしてるの?あの事のせいよね…………」
「いや、違う。夕日が綺麗だったんだよ」
「そ、そうねっ!なかなかやるわね」
「太陽になかなかやるって………お前は何者だ?」
「監督よっ!」
はい。ドヤ顔いただきましたー
「はいはい。そうでしたねー。じゃ、俺も帰るわ」
「え?帰るの?」
「うん。帰るよ?少しだるいしな」
「……そう。気をつけてね」
なにか話したそうだったが、本当にだるかったのでさっさと帰路についた。
「ただいまー」
今日は珍しく姉さんの声が返ってこなかった。でも、いい匂いがする。
その匂いに釣られるが如くリビングにフラフラと足を運ぶと、見知った童女がキッチンに立っていた。
「な、なぜ柏木がここに!?」
意味がわからなすぎて怠さが吹き飛んだ。
「あ、風見。おかえり」
「お、おう………」
なんでこんなに溶け込んでんだよ………ツッコムにもつっこめねえじゃねえか。
「ご飯にする?お風呂にする?」
「それとも私とか言った日にはぶっ殺してやったところだが、とりあえず風呂入るわ。汗もだらだらだしな」
「はーい。いってらっしゃーい」
言われるがまま普通に風呂に入ってるが………
冷静に考えるとおかしいよな?いつも先に帰って飯を作ってる姉さんがいないし、その代わりに柏木がいるしその柏木が平然と台所使ってるし………
どういうことだ?
訳がわからないのでとりあえず風呂をちゃっちゃか済ましてキッチンに戻った。
「お?早かったのね………って、あんたバスタオル一枚で来るんじゃないわよっ!!」
「そんなことよりっ!なんでお前はここにいるんだ!?」
「そんなこと!?そんなことよりそっちの方が酷いわよっ!!」
「履けばいんだろ?じゃ、ちょっと待ってろ」
バスタオル一枚じゃなく、今度はパンツ一丁で戻った。
「パンツ一丁で言い訳ないでしょ!?もっと着てきなさいよっ!!」
「わかった」
何がいけないってんだ?パンツ履いてんじゃねえかよ………
「………遺言は?」
戻るとそんな言葉か帰ってきた。
「なぜそんなに怒っている?パンツ四丁だがダメなのか」
「………死ね」
「四枚履いてるからかぁぁぁ!!!!!!」
虐殺でも行われたかのようなあまりに惨い悲鳴が風見家から響いた。
****
「いつまでも寝てないで準備しなさい!」
「なぜお前のせいで死にかけている俺を蹴ることが出来るんだ!?」
ボッコボコにされて身体が動かないレベルだというのにやつは
「そんなに元気なら大丈夫よ」
なんていいながらウインクしながらグッドポーズをアイドル顔負けな素晴らしい表情で決める。
「…………ま、まあ、そうだな」
反則だろ……完全に見とれちまったじゃねえか。
「ん?なによ?変な顔して………もしかして見とれちゃった?」
「うっせぇ!そんな訳ないだろ!」
「なによっ!!もういいっ!!とりあえずご飯だから早く準備して!!」
「あ、うん………」
なんであんなにキレるんだよ………俺が痛い目にあっているというのに……全く、意味がわからない。
なぜか不機嫌になってしまった柏木の機嫌を伺いながら柏木の作った飯を食らう。
「このカレー美味いなっ!どこの?」
「普通のレトルトカレーですけど?」
「さ、左様ですか………」
全くなにが気に入らなかったんだか………
「あ、そうだ。柏木」
「なによ?」
「あのさ、お前………恋やめれば?」
やめてしまえば傷つくこともない。柏木は俺の幼馴染だ。だから、傷ついて欲しくない。
「…………え?」
「だから、このままでいいんじゃない?」
俺がそう言うと柏木は石のように固まり、スプーンをカレーにボトっと落とした。
「柏木?」
「…………いつから気づいていたの?」
「え?いつからもなにも………」
「あっそう………ごめん。ごめんね………迷惑だったわよね……風見は三ヶ森さんが好きなんだもんね…………」
なにかを謝った後に小さく呟いた。
「そうだな………」
そして、柏木はカレーを食べることもなく自分の家へ帰ると言って振り向きもせずに走ってさっさと帰っていってしまった。
なにが迷惑だったんだろ?よくわからないで適当に返してしまったんだけど………
三十九話
~ あらすじ ~
夏休み明けからすぐに文化祭だそうだ。そして、このクラスでも白雪姫をやることになっているらしい。なにも訊いてないし、勝手にやってくれるならばそれはそれでいいのだが、なぜか俺は王子役という大役を持たされてしまった。だが、そんなことよりも酷いことがある。山口がとにかくヤバイやつってことだ。
*****
「………はぁ」
ため息を吐きながら自分の教室へと橘と一緒に歩いていた。
ため息の理由は二つあった。
一つは純粋に白雪姫の練習が嫌だってことと、もう一つは、あのふたりの恋を止めるべきか。ということだ。
「……なんか、ごめんね」
「あ?いや、別にいいさ」
どうしたものか。
………全く、いい案が浮かばない。
「カットっ!!風見?どうしたの?」
「あ?え?あ、いや………ごめん」
考えていたら、いつの間にか文化祭で出す劇の練習が始まっていた。
「………まあ、いいわ。とりあえず今日の特訓はおしまいっ!かいさんかいさーんっ!!」
監督である橘が、みんなをさっさと追い返すように手をぱちぱち叩きながら叫んだ。
みんながみんなやる気がある訳では無いので、さっさと変えるヤツらや「えー!!」と、反対するような奴らもいたが、そんな奴らもうまいこと口車に乗せて橘が帰した。
というか普通、夏休み中に練習とかするよな……
「なにぼんやりしてるの?あの事のせいよね…………」
「いや、違う。夕日が綺麗だったんだよ」
「そ、そうねっ!なかなかやるわね」
「太陽になかなかやるって………お前は何者だ?」
「監督よっ!」
はい。ドヤ顔いただきましたー
「はいはい。そうでしたねー。じゃ、俺も帰るわ」
「え?帰るの?」
「うん。帰るよ?少しだるいしな」
「……そう。気をつけてね」
なにか話したそうだったが、本当にだるかったのでさっさと帰路についた。
「ただいまー」
今日は珍しく姉さんの声が返ってこなかった。でも、いい匂いがする。
その匂いに釣られるが如くリビングにフラフラと足を運ぶと、見知った童女がキッチンに立っていた。
「な、なぜ柏木がここに!?」
意味がわからなすぎて怠さが吹き飛んだ。
「あ、風見。おかえり」
「お、おう………」
なんでこんなに溶け込んでんだよ………ツッコムにもつっこめねえじゃねえか。
「ご飯にする?お風呂にする?」
「それとも私とか言った日にはぶっ殺してやったところだが、とりあえず風呂入るわ。汗もだらだらだしな」
「はーい。いってらっしゃーい」
言われるがまま普通に風呂に入ってるが………
冷静に考えるとおかしいよな?いつも先に帰って飯を作ってる姉さんがいないし、その代わりに柏木がいるしその柏木が平然と台所使ってるし………
どういうことだ?
訳がわからないのでとりあえず風呂をちゃっちゃか済ましてキッチンに戻った。
「お?早かったのね………って、あんたバスタオル一枚で来るんじゃないわよっ!!」
「そんなことよりっ!なんでお前はここにいるんだ!?」
「そんなこと!?そんなことよりそっちの方が酷いわよっ!!」
「履けばいんだろ?じゃ、ちょっと待ってろ」
バスタオル一枚じゃなく、今度はパンツ一丁で戻った。
「パンツ一丁で言い訳ないでしょ!?もっと着てきなさいよっ!!」
「わかった」
何がいけないってんだ?パンツ履いてんじゃねえかよ………
「………遺言は?」
戻るとそんな言葉か帰ってきた。
「なぜそんなに怒っている?パンツ四丁だがダメなのか」
「………死ね」
「四枚履いてるからかぁぁぁ!!!!!!」
虐殺でも行われたかのようなあまりに惨い悲鳴が風見家から響いた。
****
「いつまでも寝てないで準備しなさい!」
「なぜお前のせいで死にかけている俺を蹴ることが出来るんだ!?」
ボッコボコにされて身体が動かないレベルだというのにやつは
「そんなに元気なら大丈夫よ」
なんていいながらウインクしながらグッドポーズをアイドル顔負けな素晴らしい表情で決める。
「…………ま、まあ、そうだな」
反則だろ……完全に見とれちまったじゃねえか。
「ん?なによ?変な顔して………もしかして見とれちゃった?」
「うっせぇ!そんな訳ないだろ!」
「なによっ!!もういいっ!!とりあえずご飯だから早く準備して!!」
「あ、うん………」
なんであんなにキレるんだよ………俺が痛い目にあっているというのに……全く、意味がわからない。
なぜか不機嫌になってしまった柏木の機嫌を伺いながら柏木の作った飯を食らう。
「このカレー美味いなっ!どこの?」
「普通のレトルトカレーですけど?」
「さ、左様ですか………」
全くなにが気に入らなかったんだか………
「あ、そうだ。柏木」
「なによ?」
「あのさ、お前………恋やめれば?」
やめてしまえば傷つくこともない。柏木は俺の幼馴染だ。だから、傷ついて欲しくない。
「…………え?」
「だから、このままでいいんじゃない?」
俺がそう言うと柏木は石のように固まり、スプーンをカレーにボトっと落とした。
「柏木?」
「…………いつから気づいていたの?」
「え?いつからもなにも………」
「あっそう………ごめん。ごめんね………迷惑だったわよね……風見は三ヶ森さんが好きなんだもんね…………」
なにかを謝った後に小さく呟いた。
「そうだな………」
そして、柏木はカレーを食べることもなく自分の家へ帰ると言って振り向きもせずに走ってさっさと帰っていってしまった。
なにが迷惑だったんだろ?よくわからないで適当に返してしまったんだけど………
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