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五十五話
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【俺の妹になってください】
五十五話
~ あらすじ ~
勉強会ということでファミレスに集まった俺らはドリンクバーを飲みつつグタグタと勉強を行っていた。そんな時に変な不良が来店し、その不良と俺はめんしきがあった。そして、そいつは三ヶ森さんともどうやら知り合いらしい。
******
「裕翔…?」
三ヶ森さんはあの不良グループの誰かをポカーンと見ていた。
あのリーダーっぽい金髪の青年か。
「あいつがどうかしたのか?」
「ゆ、裕翔っ!」
俺の問いかけなんて気にも留めずに三ヶ森さんは席を立ち、不良グループの方へと行ってしまった。
「ね、姉さん?」
その不良くんも驚いたようでキョトンとしていた。
「悪い。ちょっと待っててくれ」
そういうと三ヶ森さんをグイッと引っ張って外へと出ていった。
ん?今姉さんとか言ったか?ってことは………俺の弟ってことか!?
(注意)頭の弱い主人公が妄想だけでも妹がいる設定にしたいそうなので、ここは暖かな目で見守ってあげてください。
よし、ならばお兄ちゃんにも聞く義務があるな。
そして、柏木にはトイレと言って席を立ち二人を追う。
駐車場に彼らは居た。
それを近くの車に隠れながら見守る。
「裕翔!」
そう言って三ヶ森さんは彼に抱きついた。感動の再開って奴なのかな?
「ね、姉さん……痛い」
「あ………ごめん……」
そう言って離れる。
「………いいんだよ。姉さん」
「裕翔………背伸びたね……昔は私より低かったのに」
「姉さんも……その、色々大きくなったね……」
「え?なにが?」
天然なのか全く気づく感じがない。結構学校とかでも変な目で見られてそうな感じはするんだけど、気づいてないのかね?
まあ、俺がそんな奴がいたら蹴り殺してやりますけどね。
「もういい。姉さん……俺、姉さんが好きだ!」
「はぁ!?」
あ、やべ!声に出ちまった。というか、なんで?告白するには持ってこいってムードだったが、弟じゃないのか?
いや、そんなことよりここは戦略的撤退を………と、足を動かそうとした時にはもう遅かった。というか、三ヶ森さんとバッチリ目が合ってしまった。
「風見くん………聞いてたの?」
「い、いやぁ………その……申し訳ございませんでした!で、でも!わかるよ!三ヶ森さん可愛いもんね!」
全力で謝りながら弟であろう彼にもフォローを欠かさない。完璧かよ俺。
「いや、本当の姉ってわけではないんですよ。横の家に住んでた一個下で幼馴染の東雲裕翔(しののめ ゆうと)くん。」
「どうも……」
妹の弟だから見逃してやったものの……俺は覚えてるぞ。柏木襲ってたくせして………いや、わかった。こいつロリコンか!俺は断じて違うが、こいつは正真正銘のロリコンだろう。三ヶ森さんだって何方かと言えばロリに近いし、柏木なんてもう、モロじゃないか。
「んじゃ、中学生?」
「ま、まあ………」
こいつ………三ヶ森さんにすっと近づきやがって………俺の妹から離れやがれ。ロリコンが!というような視線を送ると、やつはもっと三ヶ森さんに密着するような形をとった。
「……裕翔?どうしたの?」
「姉さん………俺、引っ越して姉さんに会えなくなってずっと考えてたんだ。」
「そ、そう………」
こいつ、どさくさに紛れて告白の続きを始めやがった。人の前で熱心に告白とかすげえなぁ。こいつただの不良じゃねえ。芯の入った不良だ。
「だから姉さん!」
「………少し考えさせて。」
そう言って何故か俺をちらっと一回見た。
そうか。わかったぞ。俺がいるから二つ返事でとは行かなかったのか。恥ずかしいもんな!すまんな少年よ。と、心の中でぺこりと謝る。
「じゃ、戻りましょー!」
「お、おい……」
腕をぐいと捕まれ引っ張られながら俺はまた店内へと戻った。
「…………ねえ、トイレじゃなかったの?」
「………あ、やべ」
「ふぅん。二人っきりで?なんかしてたんだー?」
やばいやばい怖い怖い。なんで笑いながらあんな恐ろしい顔出来るの?女って怖いわー。
「ち、違うから!ね?三ヶ森さん!」
「…………ん?何の話です?」
三ヶ森さんに同調してもらおうと話を振ってみたがさっきの話があったのだ。完全に上の空だ。
「勉強会はこれをもって終了させていただきます。おい!ちょっと来い!」
「は、はい!!」
お金だけピッタリ机に置くと俺はまた連れられるようにして外に出た。
中に入ったり外に出たりと忙しいなぁ。
「ねえ?さっきのは?」
むっちゃくちゃキレてらっしゃる……でも、二人のプライベートなことを言えるかと言えば言えないしなぁ。
「聞いてるの!?」
「は、はい!えーと…なんと申しましょうか………」
「まあ、そうよね。美柑ちゃんの方が可愛いしおっぱいだって大きいし………私みたいに暴力的じゃないしね………」
どんどんと声が小さくなって最初のまあ、そうよね。って呆れたように言ったところらへんしか聞き取れなかった。
「まさかだとは思うけど………嫉妬してるか?」
「………そ、そうよ!悪い!?なにかわるいことでもあるの!?」
「いや………なんていうかさ?………嬉しいというかさ……」
こんな感情を持つのは間違っているのかもしれない。だが、俺は柏木にこんなにも想われているということに心を打たれた。
「な、なんでうれしいのよ!私は最悪だわ!」
半分泣きそうになりながらぷんすか怒っている柏木。なにこれ。すっごく可愛い。
「何ニヤニヤしてんのよ!殴るわよ?」
「お前、かわいいな」
そう言ってやると顔をぼっと真っ赤に染めて蒸気を上げていた。
「………春樹……ズルいよ……」
………あれ?こんなにこいつって可愛かったかな?ずるいのはどっちだってんだよ………可愛すぎんだろ………
それから俺らはすっごく気まずくなりながらも帰路についた。
昔はこんなに気まずくはならなかったのにな。
………なんか、妙に意識をしてしまう。
「………明日は勉強しっかりやるからね?」
「……あ、あー。うん。」
「………じ、じゃ、私はこっちだからっ!」
そう言って走って去っていってしまった。
………俺も同じ方向なんだけどな。
でも、今日はいいか。なんか、むちゃくちゃ恥ずかしかったしな。
*****
次の日、また学校だ。朝の寒さに悶えながらも学校へ行く準備を整えてだらだらと学校へ赴く。………と、その前に柏木家によるか。
ピンポーン。
インターホンを鳴らしてしばらく待つと柏木がひょこっと玄関から顔を覗かせた。
「一緒に学校行くか?」
寝起きだったのか分からないがパジャマ姿で柏木は出てきた。
「ち、ちょっとまってて!」
ドタドタと中で足音がする。
女の子は朝から忙しそうだなぁ。
しばらく待っていると、ピンク色の軽自動車がこちらに向かってきた。
これって確か柏木家の車だよな。
そう思い、運転席に目をやるとそこには柏木のお母さんの姿があった。
見た目と裏腹に運転は上手い。余裕な表情でこちらに手を振って笑っている。
そして、一発でバックを終えると鍵を指でくるくると回しながら颯爽と車から降りてきた。
「おはよ!春樹くん!」
「おはようございます。朝から元気ですね。」
「うんうん!どうやら大丈夫みたいだね!私は嬉しいよ!」
「………何の話ですか?」
ガチャ。
そんなとき、扉が開き柏木が出てきた。
「あ、舞ちゃーん!ただいまー!!」
「お、お母さん。そういえば帰ってくるって言ってたっけ?」
「まあねー。そういえばお二人さんはどこまでやったのかなぁ?」
この容姿の二人がこんなことを話していると俺、間違って捕まってもおかしくない気がする。
だって傍から見れば幼女二人をどうにかしようとしてる高校生だもんなぁ。
「いや、なにもしてないですよ?本当に」
「そっかぁ~早く孫の顔が見たいよ?」
「ばっかじゃないの!?もう母さんは家に入っててよ!!」
まじ何言ってんのこの人。大丈夫かよ。いや、大丈夫なわけない。知ってたけど狂ってるわ。何でそんなことを実の子供に向かって言えるんだか………
「はいはい。じゃ、私はひと眠りしますっ!またね!」
と言って家へと入っていった。
「………本当に母さんは………あ、気にしないでね!」
「お、おう……」
ガチャ。と、また扉が開いて柏木のお母さんがひょっこり顔を出した。
「あ、そうそう。言い忘れたけど高校生の間は避妊はしなさいよ?」
………………もう、僕嫌だ。おうち帰る。
「………じ、じゃ、行きましょうか……」
耳まで真紅に染めてそう言うと足早に学校へ向かう。
「お、おう……」
………にしても、本当に気まずいじゃねえか。
あんな話されたあとに二人きりなんて、もうなんかSAN値ピンチだわ。
「ね、ねえ?春樹………」
「ど、どうした?」
少し前を歩いていた柏木が俺の横まで距離を縮める。
「あの、お母さんの話だけど………そういうのにやっぱり男の子は……その……興味あったりするのかな?」
もじもじしながらそう訊いてくる。
………ここでストレートすぎる答えはまずいだろ。そりゃ男だしそんなのめっちゃ興味あるに決まってるけど、そんなにガツガツ言ったらそれだけの男みたいに見られる気がする。それは嫌だな。
だから、ここは大人っぽく紳士に対応しなければ。
「……気にすんなよ。他の奴らは知らないが俺はそこまで急ぐ必要は無いと思ってるからな。だから、俺らは俺らでゆっくり進めていけばいいんじゃねえか?」
「………そ、そう……そうだよね……」
そう言って柏木はしゅんとした。
………俺、なんか間違えたのか?
それからは一言も話すことは無く、学校に到着した。
一体何が悪かったんだ?最善をとったと思うんだけどな。
「おはよー」
教室に入り柏木は欠伸をしながらもそんな間の抜けた挨拶を送る。
「あ、舞ちゃん!おはよー!」
「美柑ちゃんおはよーどうしたの?ちょっとテンション高くない?」
「そうかなぁ?あ、春樹さんもおはよーです!」
「………あ、お、おう。おはよ」
考え事をしていたために反応がかなり遅れてしまった。
「ん?どうかしたんですか?お二人共?」
三ヶ森さんはやっぱ感が鋭いな。
「まあ、少しだけな……」
俺がそう答えると柏木がこっちをちらっと見てから目をすぐにそらして「そ、そろそろホームルーム始まるから席について」と、先生みたいなことを言って逃げていった。
「確かにそうですね………じゃ、また、風見くん」
「おう、また……」
またって言うほど離れている訳では無いのだがな。
それからしばらくして授業やらが始まった。
………全く、なんだってんだよ。どの授業でもテストだなんだって……テストがなんだよ。ただのテスト。たかがテストじゃないか。どの教科の先生も俺ばっかり見てくるし。なんとか赤点ギリギリセーフだろうに。何が悪いってんだ。
「春樹ー。お昼食べよー」
そう言って妙にテンションの高い柏木がやって来た。
そうか。昼休みか。
「いいぞー」
そして、机を二つくっつけて二人で弁当を食べる。
「………いつ見てもそのお姉さんの弁当凄いわね」
「もう慣れたろ?いつも一緒なんだし」
「まあ、そうだけどさ……」
「というか、そろそろクリスマスよねー」
「………え?まだ一ヶ月も先だしテストあるじゃん」
「あら、意外。テスト覚えてたのね。三歩歩いたら忘れちゃうんじゃないの?」
「人を鶏扱いしないでもらえますかね……焼かれんぞ俺は」
本当に驚いたような顔をしていた。俺ってそこまで馬鹿なのだろうか。
「まあ、いいわ。とりあえずクリスマスより前にあんたの学力をどうにかしないとね……」
そう言って大きくため息をついた。
「………その、なんかすまんな。いつも」
「え?なんの話?」
可愛げに首を傾げてキョトンとする。
「テスト前は勉強見てくれるだろ?だからな」
「あー。その事?感謝をする前に勉強を自分でしてくれるとありがたいんだけどね!」
「………すまん。それは無理」
「………はぁ。ですよねー」
「本当に全くだ」
え?誰?
後ろを振り向くとこめかみあたりを抑えて溜息をつく大人びた女性がいた。
「先生!?」
「どうした?驚きすぎではないか?」
「い、いやぁ……久しぶりに出てきたなって。」
「………は?毎日会ってるだろう?ホームルームでも数学の授業でもな」
だが、やはり気だるげだ。
いや、俺が先生に負担をかけていて気だるげなんだ。そういうことにしておこう。
「まあ、そうなんですけどね……」
「まあいい。数学なら私を頼れよ?一応担任で先生だからな」
そう言って先生は廊下へと姿を消した。
数学が一番ダメなんだが教師に聞くのってなんでか遠慮してしまうんだよな。
そんなこんなで放課後、俺と柏木は勉強会をやることになっていた。
いつ決まったのか、そんなことも定かではないが、いつも通りに?彼女は俺の家に押しかけてきた。
「今日は理科辺りをやろうかしら?」
「えー。俺苦手なんだけど………」
「うるさいわね。全部苦手でしょうが」
「まあ………確かに………言われてみればそうなのかもしれないとは思いますけども……」
「見苦しいわよ?」
「ごめんなさい……」
そんなこんなで今年最後になるテストまでの期間、勉強を強要された。
………ひどいよ。
あんまりじゃないか。
だが、そんな地獄のようなテスト期間もやっと終焉を迎え、結果もまあぼちぼちという結果になった。
「これで冬休みに学校に来なくても済みそうね」
と、いたずらに笑って俺の点数を見る柏木から答案用紙を隠すようにしてバックへと放り込んだ。
「………帰るぞ」
「うんっ!」
これで追試とか補習とかは避けれた。本当によかったぜ。その分、こいつと一緒にいれる時間が多くなったわけだしな。
「何ニヤニヤしてるの?」
「は、はぁ?してねえし?」
「キモいわよ?」
「……悪かったな」
ダメだ。ずっと大っ嫌いな勉強詰めでかなり眠い………家帰ったら早く寝よう。
「ね、今日から冬休みじゃない?」
「まあ、そうだな」
「だから、今日………その……泊まりに行ってもいいかな?」
「………は、はぁ!?何言っちゃってんのお前!?」
「だ、ダメ?」
瞳をうるうるさせて上目遣いはずるいって。
「………だ、ダメだ」
「えー!なんでよー前は一緒に私の家に泊まったじゃん!というか旅行だってしたじゃんかー」
「よそはよそ!うちはうち!」
「泊まりはダメなのか……」
と、露骨に落ち込んでみせる柏木。………え?なに?俺が悪いん?万が一手を出してしまったらどうするつもりだよ。こいつは。
「なら、明日は明日!」
「明日も泊まりなんて出来るわけないだろ?全く、何を言い出すんだよお前は」
「違うから!デートしよって言ってるの!」
「ごめん。年末はな………」
「あ、そっか!年末だもんね……はるきの両親が………」
風見家は両親共働きで大体家にいない。そんな両親だが年末になると二人とも仕事から帰ってくるのだ。
「…………はぁ」
「……なんだか大変そうね」
「まあ、あの両親にして姉ありって感じだからな………」
「凄いわね………」
「まあ、そんな訳だからすまんな。冬休み中はあの三人の相手をしてやらないといけないからその………デートとかは無理かな」
「そっかぁ………なら、仕方ないねっ!じゃ、また学校で!」
「またな」
****
そう、今日から年明けまであの親がいる。
あのめでたく残念なバカップルが家に帰ってくるのだ。
ここから三週間も家に滞在するのだ。
学校も運悪く休みに入ってしまったし、うえぇ………想像しただけで吐き気がするぜ。
「ただいま」
「おかえりーって……え?久しぶりにお母さん見てため息つかないでくれます?」
「はぁ」
ため息がしゃっくりのように連続して出てくる。
「父さんも居るの?」
「お母さんですよー!!ほら、私の胸に飛び込んでおいでー!!」
うわぁ。まるで聞いてない。めんどくせえ
「じゃ、私が行っちゃーう」
傍から見れば二十代前半のモデルのような出るところは出ているスタイルをした美人に抱きしめられてる羨ましいやつ。だなんて思うのかもしれないが、全くもって嬉しくない。
とりあえず、一度捕まったら逃げ出すまでには三十分いや、一時間ほど掛かる。
とはいえ、もう高校生の母である。それなりに年は行ってるはずだが、年は知らない。教えてくれない。
というか痛い苦しい。
春樹完全に拘束。圧倒的威圧感!圧倒的乳圧!!
「母さん寒いからとりあえずリビングまでは行ってくれ」
「ん?嫌だねー私は暖かいよ?」
知らねえし聞いてねえよ。あれか?ムスコニウムとかいう訳分からんやつの摂取か?この家庭にはそんなものはありません!早く離れましょう。
「じゃ、俺は行くから」
母さんを引きずりながらリビングに入ると父さんが居た。
「母さん!!なんでそんなに息子と接着してる?俺も混ぜてー」
「混ぜん!!やるなら二人でやってろ!」
そうは言うが母さんの拘束が強すぎて逃げるに逃げれない為に、父さんは母さんに抱きつく。
「もぅ!我慢ができないんだから~」
「いつも可愛いよ……」
なんだよこれ。なんでこんなラブラブのあいだに入らないといけないの?いつもならこんなことは腐ってでも思わないが、遺憾にも俺は姉さんの帰還を望んでしまった。
「は、春樹の危機を感じるわ!?」
それから数秒もしないうちに姉さんは家に帰ってきた。
「お、おかえり………姉さん今日は早かったね」
「春樹の声がした気がしたから飛んで帰ってきたの!」
なんだよこいつ。バケモンかよ。
「なにしてるの!?二人して!!離れて!!」
無理くり二人を俺から引き剥がしてくれる姉さん。………やばい。姉さんがまともだ。少しキュンと来ちゃったわ。
「私のなんだからね!!」
あーあ。最後で全部ぶち壊しだ。というか俺の神経が持ちそうにないんだが………
これからどうなるんだろ……
五十五話
~ あらすじ ~
勉強会ということでファミレスに集まった俺らはドリンクバーを飲みつつグタグタと勉強を行っていた。そんな時に変な不良が来店し、その不良と俺はめんしきがあった。そして、そいつは三ヶ森さんともどうやら知り合いらしい。
******
「裕翔…?」
三ヶ森さんはあの不良グループの誰かをポカーンと見ていた。
あのリーダーっぽい金髪の青年か。
「あいつがどうかしたのか?」
「ゆ、裕翔っ!」
俺の問いかけなんて気にも留めずに三ヶ森さんは席を立ち、不良グループの方へと行ってしまった。
「ね、姉さん?」
その不良くんも驚いたようでキョトンとしていた。
「悪い。ちょっと待っててくれ」
そういうと三ヶ森さんをグイッと引っ張って外へと出ていった。
ん?今姉さんとか言ったか?ってことは………俺の弟ってことか!?
(注意)頭の弱い主人公が妄想だけでも妹がいる設定にしたいそうなので、ここは暖かな目で見守ってあげてください。
よし、ならばお兄ちゃんにも聞く義務があるな。
そして、柏木にはトイレと言って席を立ち二人を追う。
駐車場に彼らは居た。
それを近くの車に隠れながら見守る。
「裕翔!」
そう言って三ヶ森さんは彼に抱きついた。感動の再開って奴なのかな?
「ね、姉さん……痛い」
「あ………ごめん……」
そう言って離れる。
「………いいんだよ。姉さん」
「裕翔………背伸びたね……昔は私より低かったのに」
「姉さんも……その、色々大きくなったね……」
「え?なにが?」
天然なのか全く気づく感じがない。結構学校とかでも変な目で見られてそうな感じはするんだけど、気づいてないのかね?
まあ、俺がそんな奴がいたら蹴り殺してやりますけどね。
「もういい。姉さん……俺、姉さんが好きだ!」
「はぁ!?」
あ、やべ!声に出ちまった。というか、なんで?告白するには持ってこいってムードだったが、弟じゃないのか?
いや、そんなことよりここは戦略的撤退を………と、足を動かそうとした時にはもう遅かった。というか、三ヶ森さんとバッチリ目が合ってしまった。
「風見くん………聞いてたの?」
「い、いやぁ………その……申し訳ございませんでした!で、でも!わかるよ!三ヶ森さん可愛いもんね!」
全力で謝りながら弟であろう彼にもフォローを欠かさない。完璧かよ俺。
「いや、本当の姉ってわけではないんですよ。横の家に住んでた一個下で幼馴染の東雲裕翔(しののめ ゆうと)くん。」
「どうも……」
妹の弟だから見逃してやったものの……俺は覚えてるぞ。柏木襲ってたくせして………いや、わかった。こいつロリコンか!俺は断じて違うが、こいつは正真正銘のロリコンだろう。三ヶ森さんだって何方かと言えばロリに近いし、柏木なんてもう、モロじゃないか。
「んじゃ、中学生?」
「ま、まあ………」
こいつ………三ヶ森さんにすっと近づきやがって………俺の妹から離れやがれ。ロリコンが!というような視線を送ると、やつはもっと三ヶ森さんに密着するような形をとった。
「……裕翔?どうしたの?」
「姉さん………俺、引っ越して姉さんに会えなくなってずっと考えてたんだ。」
「そ、そう………」
こいつ、どさくさに紛れて告白の続きを始めやがった。人の前で熱心に告白とかすげえなぁ。こいつただの不良じゃねえ。芯の入った不良だ。
「だから姉さん!」
「………少し考えさせて。」
そう言って何故か俺をちらっと一回見た。
そうか。わかったぞ。俺がいるから二つ返事でとは行かなかったのか。恥ずかしいもんな!すまんな少年よ。と、心の中でぺこりと謝る。
「じゃ、戻りましょー!」
「お、おい……」
腕をぐいと捕まれ引っ張られながら俺はまた店内へと戻った。
「…………ねえ、トイレじゃなかったの?」
「………あ、やべ」
「ふぅん。二人っきりで?なんかしてたんだー?」
やばいやばい怖い怖い。なんで笑いながらあんな恐ろしい顔出来るの?女って怖いわー。
「ち、違うから!ね?三ヶ森さん!」
「…………ん?何の話です?」
三ヶ森さんに同調してもらおうと話を振ってみたがさっきの話があったのだ。完全に上の空だ。
「勉強会はこれをもって終了させていただきます。おい!ちょっと来い!」
「は、はい!!」
お金だけピッタリ机に置くと俺はまた連れられるようにして外に出た。
中に入ったり外に出たりと忙しいなぁ。
「ねえ?さっきのは?」
むっちゃくちゃキレてらっしゃる……でも、二人のプライベートなことを言えるかと言えば言えないしなぁ。
「聞いてるの!?」
「は、はい!えーと…なんと申しましょうか………」
「まあ、そうよね。美柑ちゃんの方が可愛いしおっぱいだって大きいし………私みたいに暴力的じゃないしね………」
どんどんと声が小さくなって最初のまあ、そうよね。って呆れたように言ったところらへんしか聞き取れなかった。
「まさかだとは思うけど………嫉妬してるか?」
「………そ、そうよ!悪い!?なにかわるいことでもあるの!?」
「いや………なんていうかさ?………嬉しいというかさ……」
こんな感情を持つのは間違っているのかもしれない。だが、俺は柏木にこんなにも想われているということに心を打たれた。
「な、なんでうれしいのよ!私は最悪だわ!」
半分泣きそうになりながらぷんすか怒っている柏木。なにこれ。すっごく可愛い。
「何ニヤニヤしてんのよ!殴るわよ?」
「お前、かわいいな」
そう言ってやると顔をぼっと真っ赤に染めて蒸気を上げていた。
「………春樹……ズルいよ……」
………あれ?こんなにこいつって可愛かったかな?ずるいのはどっちだってんだよ………可愛すぎんだろ………
それから俺らはすっごく気まずくなりながらも帰路についた。
昔はこんなに気まずくはならなかったのにな。
………なんか、妙に意識をしてしまう。
「………明日は勉強しっかりやるからね?」
「……あ、あー。うん。」
「………じ、じゃ、私はこっちだからっ!」
そう言って走って去っていってしまった。
………俺も同じ方向なんだけどな。
でも、今日はいいか。なんか、むちゃくちゃ恥ずかしかったしな。
*****
次の日、また学校だ。朝の寒さに悶えながらも学校へ行く準備を整えてだらだらと学校へ赴く。………と、その前に柏木家によるか。
ピンポーン。
インターホンを鳴らしてしばらく待つと柏木がひょこっと玄関から顔を覗かせた。
「一緒に学校行くか?」
寝起きだったのか分からないがパジャマ姿で柏木は出てきた。
「ち、ちょっとまってて!」
ドタドタと中で足音がする。
女の子は朝から忙しそうだなぁ。
しばらく待っていると、ピンク色の軽自動車がこちらに向かってきた。
これって確か柏木家の車だよな。
そう思い、運転席に目をやるとそこには柏木のお母さんの姿があった。
見た目と裏腹に運転は上手い。余裕な表情でこちらに手を振って笑っている。
そして、一発でバックを終えると鍵を指でくるくると回しながら颯爽と車から降りてきた。
「おはよ!春樹くん!」
「おはようございます。朝から元気ですね。」
「うんうん!どうやら大丈夫みたいだね!私は嬉しいよ!」
「………何の話ですか?」
ガチャ。
そんなとき、扉が開き柏木が出てきた。
「あ、舞ちゃーん!ただいまー!!」
「お、お母さん。そういえば帰ってくるって言ってたっけ?」
「まあねー。そういえばお二人さんはどこまでやったのかなぁ?」
この容姿の二人がこんなことを話していると俺、間違って捕まってもおかしくない気がする。
だって傍から見れば幼女二人をどうにかしようとしてる高校生だもんなぁ。
「いや、なにもしてないですよ?本当に」
「そっかぁ~早く孫の顔が見たいよ?」
「ばっかじゃないの!?もう母さんは家に入っててよ!!」
まじ何言ってんのこの人。大丈夫かよ。いや、大丈夫なわけない。知ってたけど狂ってるわ。何でそんなことを実の子供に向かって言えるんだか………
「はいはい。じゃ、私はひと眠りしますっ!またね!」
と言って家へと入っていった。
「………本当に母さんは………あ、気にしないでね!」
「お、おう……」
ガチャ。と、また扉が開いて柏木のお母さんがひょっこり顔を出した。
「あ、そうそう。言い忘れたけど高校生の間は避妊はしなさいよ?」
………………もう、僕嫌だ。おうち帰る。
「………じ、じゃ、行きましょうか……」
耳まで真紅に染めてそう言うと足早に学校へ向かう。
「お、おう……」
………にしても、本当に気まずいじゃねえか。
あんな話されたあとに二人きりなんて、もうなんかSAN値ピンチだわ。
「ね、ねえ?春樹………」
「ど、どうした?」
少し前を歩いていた柏木が俺の横まで距離を縮める。
「あの、お母さんの話だけど………そういうのにやっぱり男の子は……その……興味あったりするのかな?」
もじもじしながらそう訊いてくる。
………ここでストレートすぎる答えはまずいだろ。そりゃ男だしそんなのめっちゃ興味あるに決まってるけど、そんなにガツガツ言ったらそれだけの男みたいに見られる気がする。それは嫌だな。
だから、ここは大人っぽく紳士に対応しなければ。
「……気にすんなよ。他の奴らは知らないが俺はそこまで急ぐ必要は無いと思ってるからな。だから、俺らは俺らでゆっくり進めていけばいいんじゃねえか?」
「………そ、そう……そうだよね……」
そう言って柏木はしゅんとした。
………俺、なんか間違えたのか?
それからは一言も話すことは無く、学校に到着した。
一体何が悪かったんだ?最善をとったと思うんだけどな。
「おはよー」
教室に入り柏木は欠伸をしながらもそんな間の抜けた挨拶を送る。
「あ、舞ちゃん!おはよー!」
「美柑ちゃんおはよーどうしたの?ちょっとテンション高くない?」
「そうかなぁ?あ、春樹さんもおはよーです!」
「………あ、お、おう。おはよ」
考え事をしていたために反応がかなり遅れてしまった。
「ん?どうかしたんですか?お二人共?」
三ヶ森さんはやっぱ感が鋭いな。
「まあ、少しだけな……」
俺がそう答えると柏木がこっちをちらっと見てから目をすぐにそらして「そ、そろそろホームルーム始まるから席について」と、先生みたいなことを言って逃げていった。
「確かにそうですね………じゃ、また、風見くん」
「おう、また……」
またって言うほど離れている訳では無いのだがな。
それからしばらくして授業やらが始まった。
………全く、なんだってんだよ。どの授業でもテストだなんだって……テストがなんだよ。ただのテスト。たかがテストじゃないか。どの教科の先生も俺ばっかり見てくるし。なんとか赤点ギリギリセーフだろうに。何が悪いってんだ。
「春樹ー。お昼食べよー」
そう言って妙にテンションの高い柏木がやって来た。
そうか。昼休みか。
「いいぞー」
そして、机を二つくっつけて二人で弁当を食べる。
「………いつ見てもそのお姉さんの弁当凄いわね」
「もう慣れたろ?いつも一緒なんだし」
「まあ、そうだけどさ……」
「というか、そろそろクリスマスよねー」
「………え?まだ一ヶ月も先だしテストあるじゃん」
「あら、意外。テスト覚えてたのね。三歩歩いたら忘れちゃうんじゃないの?」
「人を鶏扱いしないでもらえますかね……焼かれんぞ俺は」
本当に驚いたような顔をしていた。俺ってそこまで馬鹿なのだろうか。
「まあ、いいわ。とりあえずクリスマスより前にあんたの学力をどうにかしないとね……」
そう言って大きくため息をついた。
「………その、なんかすまんな。いつも」
「え?なんの話?」
可愛げに首を傾げてキョトンとする。
「テスト前は勉強見てくれるだろ?だからな」
「あー。その事?感謝をする前に勉強を自分でしてくれるとありがたいんだけどね!」
「………すまん。それは無理」
「………はぁ。ですよねー」
「本当に全くだ」
え?誰?
後ろを振り向くとこめかみあたりを抑えて溜息をつく大人びた女性がいた。
「先生!?」
「どうした?驚きすぎではないか?」
「い、いやぁ……久しぶりに出てきたなって。」
「………は?毎日会ってるだろう?ホームルームでも数学の授業でもな」
だが、やはり気だるげだ。
いや、俺が先生に負担をかけていて気だるげなんだ。そういうことにしておこう。
「まあ、そうなんですけどね……」
「まあいい。数学なら私を頼れよ?一応担任で先生だからな」
そう言って先生は廊下へと姿を消した。
数学が一番ダメなんだが教師に聞くのってなんでか遠慮してしまうんだよな。
そんなこんなで放課後、俺と柏木は勉強会をやることになっていた。
いつ決まったのか、そんなことも定かではないが、いつも通りに?彼女は俺の家に押しかけてきた。
「今日は理科辺りをやろうかしら?」
「えー。俺苦手なんだけど………」
「うるさいわね。全部苦手でしょうが」
「まあ………確かに………言われてみればそうなのかもしれないとは思いますけども……」
「見苦しいわよ?」
「ごめんなさい……」
そんなこんなで今年最後になるテストまでの期間、勉強を強要された。
………ひどいよ。
あんまりじゃないか。
だが、そんな地獄のようなテスト期間もやっと終焉を迎え、結果もまあぼちぼちという結果になった。
「これで冬休みに学校に来なくても済みそうね」
と、いたずらに笑って俺の点数を見る柏木から答案用紙を隠すようにしてバックへと放り込んだ。
「………帰るぞ」
「うんっ!」
これで追試とか補習とかは避けれた。本当によかったぜ。その分、こいつと一緒にいれる時間が多くなったわけだしな。
「何ニヤニヤしてるの?」
「は、はぁ?してねえし?」
「キモいわよ?」
「……悪かったな」
ダメだ。ずっと大っ嫌いな勉強詰めでかなり眠い………家帰ったら早く寝よう。
「ね、今日から冬休みじゃない?」
「まあ、そうだな」
「だから、今日………その……泊まりに行ってもいいかな?」
「………は、はぁ!?何言っちゃってんのお前!?」
「だ、ダメ?」
瞳をうるうるさせて上目遣いはずるいって。
「………だ、ダメだ」
「えー!なんでよー前は一緒に私の家に泊まったじゃん!というか旅行だってしたじゃんかー」
「よそはよそ!うちはうち!」
「泊まりはダメなのか……」
と、露骨に落ち込んでみせる柏木。………え?なに?俺が悪いん?万が一手を出してしまったらどうするつもりだよ。こいつは。
「なら、明日は明日!」
「明日も泊まりなんて出来るわけないだろ?全く、何を言い出すんだよお前は」
「違うから!デートしよって言ってるの!」
「ごめん。年末はな………」
「あ、そっか!年末だもんね……はるきの両親が………」
風見家は両親共働きで大体家にいない。そんな両親だが年末になると二人とも仕事から帰ってくるのだ。
「…………はぁ」
「……なんだか大変そうね」
「まあ、あの両親にして姉ありって感じだからな………」
「凄いわね………」
「まあ、そんな訳だからすまんな。冬休み中はあの三人の相手をしてやらないといけないからその………デートとかは無理かな」
「そっかぁ………なら、仕方ないねっ!じゃ、また学校で!」
「またな」
****
そう、今日から年明けまであの親がいる。
あのめでたく残念なバカップルが家に帰ってくるのだ。
ここから三週間も家に滞在するのだ。
学校も運悪く休みに入ってしまったし、うえぇ………想像しただけで吐き気がするぜ。
「ただいま」
「おかえりーって……え?久しぶりにお母さん見てため息つかないでくれます?」
「はぁ」
ため息がしゃっくりのように連続して出てくる。
「父さんも居るの?」
「お母さんですよー!!ほら、私の胸に飛び込んでおいでー!!」
うわぁ。まるで聞いてない。めんどくせえ
「じゃ、私が行っちゃーう」
傍から見れば二十代前半のモデルのような出るところは出ているスタイルをした美人に抱きしめられてる羨ましいやつ。だなんて思うのかもしれないが、全くもって嬉しくない。
とりあえず、一度捕まったら逃げ出すまでには三十分いや、一時間ほど掛かる。
とはいえ、もう高校生の母である。それなりに年は行ってるはずだが、年は知らない。教えてくれない。
というか痛い苦しい。
春樹完全に拘束。圧倒的威圧感!圧倒的乳圧!!
「母さん寒いからとりあえずリビングまでは行ってくれ」
「ん?嫌だねー私は暖かいよ?」
知らねえし聞いてねえよ。あれか?ムスコニウムとかいう訳分からんやつの摂取か?この家庭にはそんなものはありません!早く離れましょう。
「じゃ、俺は行くから」
母さんを引きずりながらリビングに入ると父さんが居た。
「母さん!!なんでそんなに息子と接着してる?俺も混ぜてー」
「混ぜん!!やるなら二人でやってろ!」
そうは言うが母さんの拘束が強すぎて逃げるに逃げれない為に、父さんは母さんに抱きつく。
「もぅ!我慢ができないんだから~」
「いつも可愛いよ……」
なんだよこれ。なんでこんなラブラブのあいだに入らないといけないの?いつもならこんなことは腐ってでも思わないが、遺憾にも俺は姉さんの帰還を望んでしまった。
「は、春樹の危機を感じるわ!?」
それから数秒もしないうちに姉さんは家に帰ってきた。
「お、おかえり………姉さん今日は早かったね」
「春樹の声がした気がしたから飛んで帰ってきたの!」
なんだよこいつ。バケモンかよ。
「なにしてるの!?二人して!!離れて!!」
無理くり二人を俺から引き剥がしてくれる姉さん。………やばい。姉さんがまともだ。少しキュンと来ちゃったわ。
「私のなんだからね!!」
あーあ。最後で全部ぶち壊しだ。というか俺の神経が持ちそうにないんだが………
これからどうなるんだろ……
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