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覗き穴
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覗き穴
「拓海~? じゃあお母さん達はそろそろ行くからね」
「うん。ありがと。母さん父さん」
「一人暮らし大変だとは思うけど頑張れよ」
「うん。あとは自分でできるから」
「あんま、無理すんなよ」
「全く父さんは心配性なんだから、大丈夫だよ。一人でもやってけるから」
「でもねぇ……」
「母さんまでいいよ。大丈夫。本当に苦しくなったら言うしさ!」
「……わかった。じゃあね」
「うん。またね」
アパートのドアが閉まり、両親は不服そうだったが帰って行った。
「うし!」
拓海は大学を卒業してから一人暮らしを始めるために日々コツコツ貯金して、社会人二年目の四月に引っ越しを決めたのだ。
「これで僕も少しは大人っぽくなったかなー」
一人で呟いてみるが、返事はないし招くような友人も彼女もない。
さっきまでは両親に頼んで重めの家具とかを動かすのを手伝って貰ってたせいもあって、少し疲れが出ていた。
「少しだけ……」
拓海は六畳間の畳の上で眠りについた。
****
「知らない天井だ」
どこかの有名なシーンで使われそうな台詞を呟きつつ拓海は起き上がり、寝ぼけ眼を擦りながらも辺りを確認する。すると、部屋はまだ蓋も開けてないダンボールまみれで、収納スペースには何も入ってない。
まだ何も荷解きは終わってなかった。
「必要最低限だけは出さないとな」
腕時計を見るともう時刻は6時半。ある程度寝るのに必要な道具とかは出しておかなければな。
「やるか」
慣れない荷解きに苦戦しながらもどうにかある程度生活できるくらいにはなった。
「やっと終わった……」
まだ終わってない部分の方が多いけど、最低限出来れば今はいいよな。
そう思い、さっき出したばかりの布団へと潜り込む。畳の上に布団というのは少し憧れがあってなんだかそれだけで優越感があった。
寝る前にスマホを弄るのが日課な拓海は、その日もスマホを弄って、ふと、特に何も考えずに辺りを見回してみたら、黒い点が壁にあったのだ。
「……ん? なんだあれは」
近くで見てみると小指程度の小さな穴だ。
「こんなのなかったと思うんだけどな」
まあいいや。明日にでも大家さんに言って塞いでもらおう。
「……その前に」
ちょっとした好奇心が芽生えたのだ。この穴の先には何があるのか。気になってしまった。
「いやいや。隣の人がどんな人かも分からないしダメだよな……でも……」
無理やり眠ろうと布団を被ってみるが、一度気になってしまうとそう簡単に忘れることも眠ることも出来るはずもなく、我慢が出来なくなったのだ。覗かずには居られなかった。
拓海は穴を覗き、心臓がキュッと掴まれるようなそんな感覚に襲われる。
向こう側は真っ暗だったが、唯一、『覗いたね?』と、血文字のようなものが描いてある。
「う、うわぁぁぁあ!」
拓海は絶叫しそこから飛び離れた。心臓が痛い程に鳴るし、あれは……見てはならないものだったような気がする。冷や汗が垂れてくる。背後からなにか視線を感じるのだ。
恐る恐る、ゆっくりと振り返ると大きな見覚えのある瞳があった。
「あ、あれは……僕だ……」
「拓海~? じゃあお母さん達はそろそろ行くからね」
「うん。ありがと。母さん父さん」
「一人暮らし大変だとは思うけど頑張れよ」
「うん。あとは自分でできるから」
「あんま、無理すんなよ」
「全く父さんは心配性なんだから、大丈夫だよ。一人でもやってけるから」
「でもねぇ……」
「母さんまでいいよ。大丈夫。本当に苦しくなったら言うしさ!」
「……わかった。じゃあね」
「うん。またね」
アパートのドアが閉まり、両親は不服そうだったが帰って行った。
「うし!」
拓海は大学を卒業してから一人暮らしを始めるために日々コツコツ貯金して、社会人二年目の四月に引っ越しを決めたのだ。
「これで僕も少しは大人っぽくなったかなー」
一人で呟いてみるが、返事はないし招くような友人も彼女もない。
さっきまでは両親に頼んで重めの家具とかを動かすのを手伝って貰ってたせいもあって、少し疲れが出ていた。
「少しだけ……」
拓海は六畳間の畳の上で眠りについた。
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「知らない天井だ」
どこかの有名なシーンで使われそうな台詞を呟きつつ拓海は起き上がり、寝ぼけ眼を擦りながらも辺りを確認する。すると、部屋はまだ蓋も開けてないダンボールまみれで、収納スペースには何も入ってない。
まだ何も荷解きは終わってなかった。
「必要最低限だけは出さないとな」
腕時計を見るともう時刻は6時半。ある程度寝るのに必要な道具とかは出しておかなければな。
「やるか」
慣れない荷解きに苦戦しながらもどうにかある程度生活できるくらいにはなった。
「やっと終わった……」
まだ終わってない部分の方が多いけど、最低限出来れば今はいいよな。
そう思い、さっき出したばかりの布団へと潜り込む。畳の上に布団というのは少し憧れがあってなんだかそれだけで優越感があった。
寝る前にスマホを弄るのが日課な拓海は、その日もスマホを弄って、ふと、特に何も考えずに辺りを見回してみたら、黒い点が壁にあったのだ。
「……ん? なんだあれは」
近くで見てみると小指程度の小さな穴だ。
「こんなのなかったと思うんだけどな」
まあいいや。明日にでも大家さんに言って塞いでもらおう。
「……その前に」
ちょっとした好奇心が芽生えたのだ。この穴の先には何があるのか。気になってしまった。
「いやいや。隣の人がどんな人かも分からないしダメだよな……でも……」
無理やり眠ろうと布団を被ってみるが、一度気になってしまうとそう簡単に忘れることも眠ることも出来るはずもなく、我慢が出来なくなったのだ。覗かずには居られなかった。
拓海は穴を覗き、心臓がキュッと掴まれるようなそんな感覚に襲われる。
向こう側は真っ暗だったが、唯一、『覗いたね?』と、血文字のようなものが描いてある。
「う、うわぁぁぁあ!」
拓海は絶叫しそこから飛び離れた。心臓が痛い程に鳴るし、あれは……見てはならないものだったような気がする。冷や汗が垂れてくる。背後からなにか視線を感じるのだ。
恐る恐る、ゆっくりと振り返ると大きな見覚えのある瞳があった。
「あ、あれは……僕だ……」
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