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第4章 separation
kinds『D』
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屋上にいたのは生徒会長の夏海…のはずだ。逆光ではっきりとは見えていないけれど現にこの生徒会室にいないわけだし、あんなことをする人なんて他には想像もつかない。なんとかして確かめたい。
ここから屋上へ行くには最上階まで階段を上る必要がある。その階段は2つある。すぐ近くにある「東階段」と少し離れたところにある「西階段」。夏海がもう下りて来ているのならすれ違いとなっては困る。少し考えたが、「東階段」を上ることにした。理由は簡単。夏海がそのまま生徒会室に戻ると踏んだからだ。急ぎのことではないので走ることはないけれど、確かめたいという好奇心が私の足を早めた、のかもしれない。
屋上についた。この階段を上る時に夏海の姿は見ていない。どうやら、もうひとつの「西階段」とですれ違ってしまったようだ。
仕方なく、このまま元来た階段を下り始めようとする。すると、そのとき、下の方から足音が聞こえ、その音は段々と大きくなっていった。そして踊り場でその人物と対峙してしまった。黄田台奈だ。
黄田は息を切らしながら尋ねてきた。
「…お前…屋上にいた奴を…見なかったか」
「いや、見てないよ」
黄田は息を整えて、続けた。
「そうか」
「じゃあ、お前はどうしてここにいるんだ」
「…………」
言葉に詰まった。盲点だった。黄田にとって今の状況は私が屋上から水を落としたように見えてしまうだろう。さらに、その現場では黄田は私の姿を見ていない。さらに、私は色グルに属していないので消去法的に虎丸のグループのメンバーに思えてしまう。敵対されてはどんな仕打ちにあうのか分からない。何とか誤魔化さなければ。
「少し、外の空気を吸いたかったんだよ」
なんて言い訳が下手なのだろう。あまりの力量不足に自分を呪う。
「……そうか」
頷く素振りは見せるけれど、決して納得はしていないだろう。それでもここでさらに追求されては何も答えられないし、それで疑われてはまずい。これ以上尋問されないと分かると安堵した。
「ここにいないでさっさと帰れよ」
時計を見れば確かにもうすぐ下校完了時間だ。
私は急いでこの場を去ろうとする。下校時間というのもあるし、いたたまれない気持ちになったからというのもある。階段を下りようとすると、黄田が呼びかけてきた。
「…虎丸のグループには気をつけろよ…」
それが私に対する皮肉なのか、単なる警告なのかは分からなかった。この階段の踊り場には2人にスポットライトを当てるように、窓から夕陽が差し込んでいた。
ここから屋上へ行くには最上階まで階段を上る必要がある。その階段は2つある。すぐ近くにある「東階段」と少し離れたところにある「西階段」。夏海がもう下りて来ているのならすれ違いとなっては困る。少し考えたが、「東階段」を上ることにした。理由は簡単。夏海がそのまま生徒会室に戻ると踏んだからだ。急ぎのことではないので走ることはないけれど、確かめたいという好奇心が私の足を早めた、のかもしれない。
屋上についた。この階段を上る時に夏海の姿は見ていない。どうやら、もうひとつの「西階段」とですれ違ってしまったようだ。
仕方なく、このまま元来た階段を下り始めようとする。すると、そのとき、下の方から足音が聞こえ、その音は段々と大きくなっていった。そして踊り場でその人物と対峙してしまった。黄田台奈だ。
黄田は息を切らしながら尋ねてきた。
「…お前…屋上にいた奴を…見なかったか」
「いや、見てないよ」
黄田は息を整えて、続けた。
「そうか」
「じゃあ、お前はどうしてここにいるんだ」
「…………」
言葉に詰まった。盲点だった。黄田にとって今の状況は私が屋上から水を落としたように見えてしまうだろう。さらに、その現場では黄田は私の姿を見ていない。さらに、私は色グルに属していないので消去法的に虎丸のグループのメンバーに思えてしまう。敵対されてはどんな仕打ちにあうのか分からない。何とか誤魔化さなければ。
「少し、外の空気を吸いたかったんだよ」
なんて言い訳が下手なのだろう。あまりの力量不足に自分を呪う。
「……そうか」
頷く素振りは見せるけれど、決して納得はしていないだろう。それでもここでさらに追求されては何も答えられないし、それで疑われてはまずい。これ以上尋問されないと分かると安堵した。
「ここにいないでさっさと帰れよ」
時計を見れば確かにもうすぐ下校完了時間だ。
私は急いでこの場を去ろうとする。下校時間というのもあるし、いたたまれない気持ちになったからというのもある。階段を下りようとすると、黄田が呼びかけてきた。
「…虎丸のグループには気をつけろよ…」
それが私に対する皮肉なのか、単なる警告なのかは分からなかった。この階段の踊り場には2人にスポットライトを当てるように、窓から夕陽が差し込んでいた。
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