ミステール・エコール

たtsuや!!

文字の大きさ
14 / 16
第4章 separation

観測者

しおりを挟む
 黒島郁美に校舎裏を離れるよう言われた後、私は急いで校舎内の階段を駆け上り2階にある生徒会室へと向かった。虎グルが生徒を虐めている所に色グルの郁美が来たのだが、それでは事態が良い方へと転ぶとは思えない。いやむしろ悪化するかもしれない。急いで生徒会長に伝えないと。夏美に伝えないと。

何とか生徒会室まで辿り着き、扉をノックする。
「あの…、夏美会長は居ま…」
夏美が居るのかと尋ねようとしたのだが、自然とその言葉も止まる。それもそうだ。今この生徒会室には誰も居なかったのだから。
(どういうこと?非常時を除いて、放課後の下校時刻までは誰かは生徒会室にいないとなのに…)
だが、その怜花の思考は誰かの叫び声によって遮られた。その声のもとへと近付いて見るとどうやら外からの声のようだ。2階の窓から見下ろせる風景は、そう、だ。

「誰だ!そこにいるのは!」
虎グルの1人が声を張り上げる。その視線の先には私が先程郁美にぶつかった角だ。おそらくそこにいるのは郁美だ。何か電話していたようだが、一体何をしていたのだろう。
「また虎丸くんのしもべたちかしら」
「…郁美か、どうしてまたここに…」
「たまたま通りかかったのよ、流石にを見逃す訳にはいかないわよねぇ…」
郁美は虎グルへと近付いていく。何がそうさせるのかは知らないけど、郁美は至って余裕の表情だ。
「見逃した方が身のためだと思うけどな」
「あなたたちの方こそ今ここから離れた方がいいと思うけれど」
「どういうことだ」
「言葉通りの意味よ」
そう言って郁美は振り返り立ち去ろうとする。だが、もともと折り合いの悪いグループ同士だ。虎グルにしてもここまま見過ごす訳にもいかないだろう。追いかけようと走り出したその刹那、窓から見る私の視界には黄色の何かがぎった。縦方向に。上から下へと。黄色い形容しがたい形の物体が落ちていった。そして、



バシャン



と音がした。下を見れば黄色の人間が3人。虎グルの3人だ。そして、ようやく落ちてきた物体が色水だとわかった。え??私の上の階から、のか?
「痛てぇ…誰がやった!?」
虎グル3人は校舎を見上げる。私は咄嗟とっさかがんで身を隠す。私が落としたわけではないけれど、誤解されてしまっては困る。
「てめぇか!!」
一瞬バレてしまったのかと思った。そうではないらしい。何故なら
「あ~、もしかして当たっちゃった~?ごめ~ん下のゴミみたいなの狙ったんだけど~、あ!もしかしてそれが君らだったのかな?」
その声は黄田のものだった。黄田台奈うてな、色グル上位の1人だ。名前はウテナと読むけれど、皆からはダイと呼ばれている。私とクラスは違うけれど、多分美術部だったと思う。
「それと~、その色水はアクリル絵の具だから、乾くともうとれないよ~。そんな汚れまみれの服装でそこらへん歩いてたら虎丸くんの面目丸潰れだね~」
虎グルとことん挑発されて、腹立てているようだ。
「流石琴美ね、台奈にまで協力を取り付けたのね。仕事が早いわ…」
「あまり調子のってんじゃねぇぞ!」
1人が勝ち誇った様子で立っている郁美に襲いかかろうとした。だが、それは直前で妨げられた。郁美の後ろにいつの間にか30人程の集団ができていたのだ。柔道部や空手部と言った強者もいる。
「くそ…!」
ここで怯んでしまってはさらに面目が保てないと思ったのだろう。郁美に向かって走り出したとき、



…バン!



 先程よりもさらに大きな音だ。まるで何かが破裂したかのように耳をつんざくような音がした。水だ。だが今度は無色透明だ。黄田ではない。私は窓から身を乗り出して上を見る。他の人もさらに上を見上げる。そこには空のバケツを持ち、こちらを睨みつける人影があった。



「生徒会…かよ…」
郁美も虎グルもそこに立ち尽くすばかり。
そして、もうひとつのバケツを手に取り投げ出された無形の水が強く地面を打ちつけた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...