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第4章 separation
律する者
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2年前、私が緑明中学第二学年のとき、いじめが起こっていた。その中で私はいじめを受ける立場にあったのだ。だが、その立場にあるだけで虐められてるのではない。世間では「被害者がいじめを認識したらいじめになる」と言われているが、私はそうは思わない。そうというのは、その世間の認識もそうであるし、私がいじめられているというのもそうだ。私はいじめは悪いもので加害者と被害者の関係が成り立つと、必然的に成り立つものだと思っている。当事者が否定しても傍からみればいじめなのだ。
では、なぜ私は私がいじめられていると思わないのか、今の話に繋がることであるが、加害者と被害者の関係が成り立っていないからだ。私が自分を被害者じゃないと思っているわけではない。もちろん被害者だ。だが、これは被害者と被害者であった。加害者は存在しなかった。
これが私がいじめられてない理由だ。
緑明中学には2つの派閥が存在した。1つは蒼井、黒島、黄田の3人が律するグループ、通称色グル。もう1つは虎丸の律するグループ、通称虎グル。主にこの2つのグループによって学校のカーストは支配されている。そして、その2グループに属さない生徒は生徒会の影に隠れるのだ。
時々、2グループの抗争を見かけることがあるのだが、一方的に虎グルが仕掛けて、色グルがそれに手を焼いているように見える。虎グルにとっては勢力の拡大とカーストの頂点に立つとの理由があるようだが、色グルは現状維持を目標に掲げている。だから色グルの方から仕掛けることはない。
放課後、校舎の裏で1人の生徒が虐められているのを見た。虐めてるのはどうやら、虎グループの方で、虐められてるのはやはり、どちらのグループにも属さない、私のような一般生徒だ。困ったな、どうしよう、私が出ていったところでただ巻き込まれるだけだし、見ぬ振りをするのも後味が悪いだろう。生徒会を呼ぶのが1番だろうと思い、虐め現場を後にする。生徒会には『あの人』がいるのだ。あの『夏海』会長が。一目散に校舎へと駆けて行くと、曲がり角で何かにぶつかった。それほど大きな衝撃はなかったので、どうやら人とぶつかってしまったのだろう。大丈夫?と声をかけられ、差し伸べられた手に捕まり、立ち上がる。
「あの、すみません…、怪我はありませんか」
「私は大丈夫よ、それよりあなたは?」
このとき初めて気付いた。郁美だ。私がぶつかった相手は色グルの中でも上位の地位に位置する黒島郁美だったのだ。
「いえ、大丈夫です…」
大丈夫だけど、大丈夫じゃない。冗談じゃない。厄介事に関わりたくないために生徒会を呼ぼうとしているのに、その途中で会ってしまうなんて。
「大丈夫ならよかった。でも、血相変えて走ってくるなんて一体何があったのかしら?」
郁美の顔や声はとても柔和に装っているのだが、その声の奥にはどこか相手を威圧させるような強みがある。何も相手が郁美だからと言って隠すことでもないのだから、正直に言おうと、自分が来た方を指差した。
「えっと…あっちで虐められてる人がいて…」
「…それって、私のグ…いえ、知り合いかしら?」
一瞬虐められてる方を聞いているのかな、とは思ったが、郁美のことだ。「グループ」と言いかけたあたりは流石に虎グループの仕業かと疑っているのだろう。
「虐めてるのは虎丸くんの…後輩たちかな、多分」
「へぇ…ありがと」
そう言って郁美は携帯電話を取り出し、電話をかけた。
「あ、もしもし、琴美?今校舎裏でまた虎グルが暴れてるのよ。え、うん…そうよ、随分と話が早いわね」
郁美はすぐに電話を切ったのだが、これから何が起こるのだろうか。
「あなたはすぐにここから離れた方がいいわ」
「…わかった」
巻き込まれるのはごめんだから、今すぐにここを後にしよう。
その場で立ち尽くす黒島郁美は何かを企んでいるような、罠に掛けて獲物を狩るような、そんな笑みを浮かべていた。
では、なぜ私は私がいじめられていると思わないのか、今の話に繋がることであるが、加害者と被害者の関係が成り立っていないからだ。私が自分を被害者じゃないと思っているわけではない。もちろん被害者だ。だが、これは被害者と被害者であった。加害者は存在しなかった。
これが私がいじめられてない理由だ。
緑明中学には2つの派閥が存在した。1つは蒼井、黒島、黄田の3人が律するグループ、通称色グル。もう1つは虎丸の律するグループ、通称虎グル。主にこの2つのグループによって学校のカーストは支配されている。そして、その2グループに属さない生徒は生徒会の影に隠れるのだ。
時々、2グループの抗争を見かけることがあるのだが、一方的に虎グルが仕掛けて、色グルがそれに手を焼いているように見える。虎グルにとっては勢力の拡大とカーストの頂点に立つとの理由があるようだが、色グルは現状維持を目標に掲げている。だから色グルの方から仕掛けることはない。
放課後、校舎の裏で1人の生徒が虐められているのを見た。虐めてるのはどうやら、虎グループの方で、虐められてるのはやはり、どちらのグループにも属さない、私のような一般生徒だ。困ったな、どうしよう、私が出ていったところでただ巻き込まれるだけだし、見ぬ振りをするのも後味が悪いだろう。生徒会を呼ぶのが1番だろうと思い、虐め現場を後にする。生徒会には『あの人』がいるのだ。あの『夏海』会長が。一目散に校舎へと駆けて行くと、曲がり角で何かにぶつかった。それほど大きな衝撃はなかったので、どうやら人とぶつかってしまったのだろう。大丈夫?と声をかけられ、差し伸べられた手に捕まり、立ち上がる。
「あの、すみません…、怪我はありませんか」
「私は大丈夫よ、それよりあなたは?」
このとき初めて気付いた。郁美だ。私がぶつかった相手は色グルの中でも上位の地位に位置する黒島郁美だったのだ。
「いえ、大丈夫です…」
大丈夫だけど、大丈夫じゃない。冗談じゃない。厄介事に関わりたくないために生徒会を呼ぼうとしているのに、その途中で会ってしまうなんて。
「大丈夫ならよかった。でも、血相変えて走ってくるなんて一体何があったのかしら?」
郁美の顔や声はとても柔和に装っているのだが、その声の奥にはどこか相手を威圧させるような強みがある。何も相手が郁美だからと言って隠すことでもないのだから、正直に言おうと、自分が来た方を指差した。
「えっと…あっちで虐められてる人がいて…」
「…それって、私のグ…いえ、知り合いかしら?」
一瞬虐められてる方を聞いているのかな、とは思ったが、郁美のことだ。「グループ」と言いかけたあたりは流石に虎グループの仕業かと疑っているのだろう。
「虐めてるのは虎丸くんの…後輩たちかな、多分」
「へぇ…ありがと」
そう言って郁美は携帯電話を取り出し、電話をかけた。
「あ、もしもし、琴美?今校舎裏でまた虎グルが暴れてるのよ。え、うん…そうよ、随分と話が早いわね」
郁美はすぐに電話を切ったのだが、これから何が起こるのだろうか。
「あなたはすぐにここから離れた方がいいわ」
「…わかった」
巻き込まれるのはごめんだから、今すぐにここを後にしよう。
その場で立ち尽くす黒島郁美は何かを企んでいるような、罠に掛けて獲物を狩るような、そんな笑みを浮かべていた。
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