生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな

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61 ~目覚め~

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「ここは…」


さっきまで病院でみのりの手を握っていたはずなのに…眠ってしまったのか。
そう思い周りを見回すが、室内は暗く誰もいない事しか分からなかった。
身体を起こそうとしたけれど、思うように動かず諦めた。


みのりの事が心配だけど…身体が動かないもどかしさに泣きたくなる。
仕事にもいかなくていけないのに、抗えない睡魔に抑え込まれてしまう。
眠ってはいけないのに……。








「殿下が!殿下がお目を覚まされました!」


まだ怠い身体を少しずつ動かし、ゆっくりと起き上がる。
ここはやっぱり病院なのか?
さっきからバタバタと騒がしい周囲をみてハタと気付く。
誰だ?こんな高級個室に俺を入院させたの……。
無駄使いはあれほどやめろと言ったはずなのに。
常に周囲に言っていたから、解ってくれていたと思ったのに。


そんなことを考えていたら、いきなり扉が開き、ドレスを着た女性が転がり込んできた。


「お兄様!お目を覚まされたのですね!」



●○●○


「アーサー様、シャーロット様のお兄様…第一王子カール殿下がお目覚めになりました」


先に父上に報告したであろうマーキスが、驚く報告を持ってきた。
永らく魔力過多症を患い、症状も進んでしまい昏睡状態に陥ったと聞いたのが半年前。


無理な婚約を望まず、自分が駄目なら他に世継ぎがいるだろうと屈託なく笑う彼は、王子とは思えない、大変気さくな性格だった。
本人の希望もあり、昏睡状態に陥った後は死を待つのみ…であったのにだ。


「魔力過多の傾向はありますが、だいぶ安定していると…。永らく昏睡状態でしたが、今は一日の内数時間ほどはお目を覚まされているという事です」


いまだ安定には程遠いが、シャーロットの喜ぶ顔が浮かんでくる。


「それと…シャーロット様より内々にご相談があるという事で、お館様と若宛に書状をお預かりしております。至急お館様の執務室に来るようにとの事でございます」


父上の呼び出しに、浮かれていた頭が一瞬で覚めた。
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