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しおりを挟む「暑い…暑いよぉ……」
日本の夏はかなり蒸す。
昨今はそれに加え猛暑…というか酷暑もあり、暑さのピークであろうと思われる八月は予想もしたくない暑さだ。
「うるさい。蔵の中は多少涼しいだろうが。ダラダラやってないで早く終わらすぞ」
あの呪いの事件が解決して、早二ヶ月。副社長研修もそこそこに、本格的に古物を扱えるようになった私は、絶賛こき使われ中。以前の職場では絶対に着ないようなツナギを着用し、首にはタオル頭には帽子そしてゴーグルをして、クライアント先の蔵に出張査定……という名の物品整理に来ている。
そうそう…あの日怪我をしてタオルに包まれていた社長は……ただ今私の目の前で、人間大の大きさになり私と共に、蔵の中で作業中。
私と出会う前…記憶を封じられる前までは普通にできていた事らしいので、本人にとってはなんて事ないことらしいけれど、私にとっては大問題だった。
性格云々もあり、身近に異性がいても中々恋愛に発展しないので、きっとこのままばばぁになっていくものだと思っていたのに、ある日突然めちゃめちゃ好みの妖精さんに出会ってしまった。
が……出会ってしまったとしても相手は妖精さん。種族も違けりゃ大きさも違う。
そんな感じなので、好みの妖精さん(社長)は眼中にないまま、この数年を過ごしてきた。
おまけに"やむを得ない事情"がありその数年間……ほんとについ最近まで、お風呂とトイレ以外はほぼ一緒の生活をしてきた事もあって、いまさら別の異性を……と思っても、心情的に中々難しかったりする。
そして、そんな気持ちは自分だけだろうと思っていた。けれど……。
「なんでいまさら別なヤツと組まなくちゃいけないんだ?今までずっと一緒だったんだからこれからも一緒で良いだろう」
なんて言われてしまって浮かれてしまった。
例え恋愛感情じゃなくても…例え気まぐれだとしても嬉しい言葉だった。
周りは…特に都築川さんはあんまりいい顔をしていなかった……のは直ぐに解った。
そして……
「辛いのは渡利様ですよ?」
と、私のことも心配してくれた。
物語の中のこととはいえ、種族も寿命も違う恋愛は、例え成就したとしても、必ず幸せになれるとは限らない。
国際結婚だって、文化の違いで苦労するらしいから、種族が違えば文化の違いどころの話しではないだろうから。
けど……恋は止まらない。
止まれたら失敗なんてしないよね……と思いながら、埃舞う蔵をひたすらあさる。
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