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しおりを挟むとは言っても、今日これから社長の自宅……お屋敷に行ってお家デートって事はないだろう。
だったら何だろう?
ナヅナさんやミヤコさんに会う用事もなかったはずだし、頼まれごとも無かったはず。
お屋敷に誰か来ているのだろうか?例えば社長の両親や家族とか?
ありうる事を色々考えてみたけど、どれもこれも無いような気がする。
そんなこんな考えている内に気が付けば社長のお屋敷に到着。
今日は自家用車の為、裏通りにに回り裏口から入るらしい。
いつもは表に下されカートで屋敷に行くので、実は初めての経験だったりする。
「そこでちょっと待ってて」
そう言って車庫に車を入れる社長。
ホントに…今日は何があるんだろう?
些細な事だけれど、裏口からの出入りに、何があるのか分からないままの社長宅への来訪。
アパートを出て少し会話をしただけで、何も語らない社長に今更だけどきちんと聞かなければ。
「社長…今日って…」
こちらに向かって歩いてくる社長に言いかけて止める。
なんだか、さっきまでとまた雰囲気が違う?
社長の雰囲気に流されあれよあれよと手を引かれ、いつの間にか庭園の中にある小さな池のほとり…冬なのにそこだけ春のような場所に来た。
「美里…いきなりですまん」
そう言っていきなり跪き、私の手を取った。
「美里、いきなりこんなこと言われても戸惑うかもしれないけど、許してくれ。もう俺は待てないんだ。本当は式の後の方が良いのかもしれない。けど…けど、美里がいつまでも俺を『社長』と他人行儀に呼んで、他の奴を親し気に名前で呼ぶ……。嫌なんだもう……少しでも早く、美里に俺の『名前』を呼んで欲しいんだ。そして、俺だけの美里になって欲しい。美里…愛している。俺と一緒に…ずっと一緒にいてくれないか?」
切羽詰まって…追い詰められた表情で語ったのは、私へのプロポーズだった。
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