人外さんに選ばれたのは私でした ~それでも私は人間です~

こひな

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祈りの間から出たら、そこは屋敷の中だった。同じ扉からの出入りだったのに、出る場所が違うってどんな仕組みなんだろう?なんて…きっと考えても解らないだろうと、考えるのを止め、ナヅナさんの歓待を受けようと思った時、ふと手元に荷物がない事に気がついて、慌てて外に探しに行こうとしたのを止められた。


「庭の手入れをしていた家妖精が持ってきました。奥様になられたのですから、その内会う機会もあるかと思います。その時にでも褒めてやって下さい」


ナヅナさんの口ぶりでは、家妖精はナヅナさんより年齢が下なのだろう。にこにこしている顔を見るに、微笑ましい様子だったのだろう。


「旦那様、奥様のお部屋の準備も終わりましてお荷物も運んでございます。まずは食事を……」


食堂に案内され、ナヅナさん始めメイドさんらしき人達に、控えめにお祝いを言われた。
食事も何気にお祝いチックなメニューで、なんだか少し気恥ずかしかったけれど、素直に喜ぶ事が出来た。


そして……食後少し休んで、シャワーを浴びた後、改めて案内された部屋には……ベッドの上で書類を広げる雪斗さんがいて、驚き過ぎて言葉が出なかった……。


「あぁ……すまん…何も考えて無かった……」


ようやく聞こえたのは、頭を抱えた雪斗さんの声だった。



⚫〇⚫〇


今更どうする事も出来ず……自虐ではないけれど、どうにかなるほど初心うぶでもない私と雪斗さんは、きれいに片付けられたキングサイズのベッドに二人、並んで座っている。


「おかしいとは思ったんだよ…」


ベッドヘッドに寄り掛かり、おそらく色違いであろうシルクのパジャマを着て、隣に座っている雪斗さんが呟く。


曰く……
ここは以前から普通に寝室として使っており、今日もいつも通り寝る前に資料や書類のチェックをして寝ようかと普段通りにここに来たようだ。

伴侶の契りを結んだけれど、急だった自覚はたっぷりあったようだけれど、夜のこと迄急ぐつもりは無かったらしい。
部屋も今日は客室を準備させたつもりだったらしい。けど…。


「ただなぁ…何となくいつもと雰囲気が違っていて…いつも一組だった枕が二つあったんだよ……」


テンパリ過ぎだよ……なんてブツブツ言っている雪斗さんがなんだかかわいく見えて、思わず微笑んでしまった。


「雪斗さんには申し訳ないんですが、この歳だし、今までお付き合いしていた人もいます。はっきり言ってこういう事も初めてではないんですけど……。今更ダメって言われても困るんですが……大丈夫ですか?」


分かっているだろうと思って確認しなかったけれど……何となく気になって確認してみた。
何を今更…と呟いてこちらを見た雪斗さんは、さっきまでのちょっと拗ねた感じなどキレイさっぱり消して、プロポーズの時の切羽詰まった感じとはまた違う、真面目な表情で、私の肩を抱いた。


「俺は気にしない。だって、これから先の長い時間、美里は俺のものだろ?」


抗いようのない色気を私に向け囁く。


「もちろん、俺は美里のものだから…な?」

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