人外さんに選ばれたのは私でした ~それでも私は人間です~

こひな

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いきなり言われて、なんのリアクションも取れなかったけど…大丈夫だよね?
そう思いながら、白々しくも何も聞いていない風に歩く……。
おばあちゃんも繰り返し聞いてくる様子が無かったので、これ幸いにシカトだシカト。
変なことを言って墓穴を掘るのは嫌だし、墓穴を掘らないと言い切れる程処世術に長けているわけでもないから。
いずれは身に付けなければいけないのだろうけど、私が身近に見ている人外さんがだ……彼達のようにのらりくらりと躱せるようになるには何年かかるか分からない。


「今日来てもらったのはね、これを持って行って欲しくて…もしかしたらお嬢さんだったら渡せる手立てを持っているかもしれないと思ってね…勝手な推測で呼んで申し訳ないけれども……」


そう言って開けた蔵に入っていたのは、嫁入り道具らしき古い和ダンスと色々物が雑多に入れられた、古い木箱だった。そして……


「これはね私の母が残した物なんだけどね……母の妹…私の伯母に当たるんだろうけど、その人が仕送ってくれたお金の一部で揃えた、伯母の嫁入り道具なの」


そう言って、木箱の中から出した写真はどこかで見たことのあるような女の子だった。


「伯母は都会に行けば私にも仕事ができるかも知れないって言って、小さい頃に出て行ってしまったそうなんだけど、いなくなってから数年後から仕送りが届くようになったらしいの。手紙を書きたくてもどこにも住所は書いていないし、母が上京して随分あちこちを探したらしいけど、とうとう見つからなかったそうなの。それで諦めて……お金はありがたく家族の為に使わせてもらって、やりくりして残した分はいまだ会えない妹へ、いつ帰ってきても渡せるように、大事にしまっていたらしいの……」


そう話しながら木箱の縁を撫でる……そして…


「多分、私ももう長くはないと思うの。でもね、これを引き継いでくれそうな人も、引き取りに来てくれるはずの伯母とも会えないから、どうしようか考えて…改めて箱を整理していたらが入っていて……」


見せてくれたのは、達筆な字で書かれた手紙と雪斗さんらしき子供と仲良く写真を撮るミヤコさんの姿だった。
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