地球は世界のまんなか…じゃないらしい

こひな

文字の大きさ
2 / 65

そうだ異世界に行こう 1

しおりを挟む


昨日までは、至って変化のない人生を送る自信があったオレに、昨日唐突に告げられた引越し。
 
 
「準備出来次第引越ししたいの」
 
 
と、いつもの調子で…何でもない事のように告げる母親に、間抜けにも「へ…?はぁ?」としか言えなかった自分は決してダメな子では無いはず…と思いたいお年頃のオレ。
 
 
常々、母親を「天然ぽやぽや」だとは思っていたけど、とうとう厨二病発症か!?と思ったのは許して欲しい。
 
 
だって、話の内容が突飛過ぎてラノベやマンガ大好きなオレでもついて行けなかった…というか理解不能でオーバーヒート起こしそうになって寝た…速攻。
"下手の考え休むに似たり"である。
間違って無いはよ…多分。
 
 
母曰く突然…そうホントに突然思い出したそうだ。
「自分の居場所はここじゃない」と…。
 
 
色々な言語翻訳ができるとあって、常日頃は売れっ子と言っても過言ではない程仕事があり、在宅ではあるが日々忙しくしている母。
そんな母にも、時々ごく稀にではあるけど、ぽっかりとスケジュールがあく時がある(らしい)。
それがつい3日前の事。
 
 
ここ最近の長雨に鬱々としつつ、ふと思いついて、タンスの奥にしまってあった鞄を出したのがきっかけ。
 
 
ちなみにその鞄は、記憶喪失で流れ着いた折りに、唯一持っていた持ち物だったらしく、空っぽで…しかも海水でヨレヨレになってしまっていた。
けれど、何がきっかけで思い出すか解らないから……と、この家の大家のばあちゃんに言われ、しまっていたらしい。
 
 
で…タンスの奥にしまった当時、一応綺麗に拭き取り、陰干しもしっかりして…海水でよれよれになっていて、無駄な気もしたけれど、ワックス等々のお手入れもした。
 
 
でも、やっぱりヨレヨレで…。
これは使うのは無理だなぁ~と思って諦めてタンスの奥に追いやった…らしい。
 
 
なのに3日前にタンスから出した時は、使い込まれ、いい具合に風合いが出てはいるものの、ヨレヨレ感は全くなく…天然ぽやぽやながらも、「あれ?あの鞄ってこんなんだったっけ?違うよね?」と、不思議に思いつつ空の鞄を開けて手を入れたら……出てきたらしいですよ。
何がって?
 
 
身分証が…ですよ。
 
 
何度も…ええ…ここ大事なので何度も言いますよ。
空っぽの鞄から。です。
 
 
これだけでもビックリなのに、職業欄に"魔導士"なんて書いてある冒険者ギルドのギルドカードだった…らしい。
"らしい"って言うのは、もちろんオレがその文字を読めないから。
読めない文字は理解出来ないので"らしい"で。
 
 
ちなみに、この時点で若干オーバーヒート気味だったので、自分の独断と偏見で話をぶった切り…寝た。
 
 
ぐっすり寝て、お疲れの脳みそを労り、冷静になった (つもり)で、昨日の話を聞き……半信半疑ながら、荷造り中の今に至る。
 
 
もう学校も卒業だし、カイトだけここに残ってもいいのよ~とは言われたけれど…次にいつ会えるか解らないと言われてしまうと考えてしまった。
だって、母親 (名前はマリアと言うらしい。マリリンって呼んで♪と言われた…)は帰らなければいけないらしい。
 
 
元々いた場所に…地球で…この世界で言うところの異世界に……。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

【完結】うだつが上がらない底辺冒険者だったオッサンは命を燃やして強くなる

邪代夜叉(ヤシロヤシャ)
ファンタジー
まだ遅くない。 オッサンにだって、未来がある。 底辺から這い上がる冒険譚?! 辺鄙の小さな村に生まれた少年トーマは、幼い頃にゴブリン退治で村に訪れていた冒険者に憧れ、いつか自らも偉大な冒険者となることを誓い、十五歳で村を飛び出した。 しかし現実は厳しかった。 十数年の時は流れてオッサンとなり、その間、大きな成果を残せず“とんまのトーマ”と不名誉なあだ名を陰で囁かれ、やがて採取や配達といった雑用依頼ばかりこなす、うだつの上がらない底辺冒険者生活を続けていた。 そんなある日、荷車の護衛の依頼を受けたトーマは――

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

エレンディア王国記

火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、 「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。 導かれるように辿り着いたのは、 魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。 王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り―― だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。 「なんとかなるさ。生きてればな」 手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。 教師として、王子として、そして何者かとして。 これは、“教える者”が世界を変えていく物語。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

処理中です...