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行動は計画的に 1
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言った...やっと言えた。
ヘタレな自分を押さえ込み、ほぼ勢いだけど…勢いで、やっぱプロポーズになっちゃったけど、遅いか早いかだ...と思う。
気が抜けそうになるのを、抑えてもう一度夏樹の顔を...目を見上げる。
今になって思う...この体制グッジョブだった。
ポロポロ涙を流しながら、何か言おうと口を閉じたり開いたり。あうあうとしていたかと思ったら、ぶわっと顔が赤くなった。
リンゴみたいに赤くなった夏樹。
こんなかわいい顔を見られたなら、断られてもいいか…なんて思っていたら……小さい声でポツリと……
「そ...れは、天涯孤独だから...連れて行っても大丈夫...だから?」
と...斜め上の反応。
上手く伝わらない事にジレジレしながら言葉を増やす。
「違うよ。夏樹。いや...違わないのか?」
考え込んだオレを見て、赤くなった顔が一気に冷めていく。
「いやいや...ホントに違うからな?」
そう言って、これから多分母さんとキースさんを交えて話すだろう事の1つにオレの予想を付け加えて話す。
「多分だけど、夏樹も関係者だと思うぞ」
それと、ずっと夏樹が好きだった事。
きっと、天涯孤独じゃなくても同じくプロポーズしただろう…と。
「オレも聞いてからまだ数日ってとこなんだ。こっちにいるのはオレの卒業まで。それ以降は準備出来次第行く事は決定してるから、早めに答えもらえるといいんだけど」
と、何とも歯切れの悪い感じで締めくくった。
言葉に出さず、頷くだけだったけど…やっぱダメかもなぁ~と思いつつ、母さんとキースさんが待つリビングに向かう。
リビングに行くと、なんというか異世界物やタイムスリップ物の話でよくある(よく聞く)光景が広がっていた...。
キースさんがテレビにかじりついてる。
で、テレビを裏側からみたり横からみたり。
お馴染みのセリフ「この薄い箱に人が……」なんて、テンプレ発言。
面白い...噴き出しそうになるのを我慢して台所を見ると、お茶の準備をしている母さんが……って緑茶に何入れようとしてんだ!
あっそうか、ペットボトルのお茶、さっきのでストック無しだからか(汗)と慌ててお茶係交代。
緑茶に牛乳入れようとしてたよあの人。
抹茶ミルクってお茶と牛乳でしょぉ~なんて言ってたよ。
怖い怖い...。
テレビを始め、家電や電話に興味深々のキースさんを、多少強引に席につかせ話を始める。
と言っても、今回はオレも聞く側だ。
電気ポットからお湯が出るのを見て、面白がって遊んだキースさんが火傷をしたのは……自業自得だ。
熱いから注意はしたのだ。
「カイちゃん、夏樹ちゃんとのお話は大丈夫なの?」
きっと、これからの話に関するだろう事が判っていたのだろう。確認が来た。
「うん…まぁ、異世界の存在と母さんが異世界人って言うのと...オレも行くことと...まぁそんなもんだけど」
とりあえず、プロポーズの事は返事をもらってからでもいいだろうと、自己判断で言葉を濁す。きっと夏樹も話を聞いてからの方が答えを出しやすいだろうと思うし。
それからはキースさんの自己紹介から始まり...なぜ、母さんが地球に来る事になったのか、母さんの出自を含め聞いた。
事の始まりは、母さんやキースさんが仕える王国に待望の子供が産まれた事から。
婚姻後なかなか子宝に恵まれず、魔法・秘薬と...効果があるものは片っ端から試したが、効果はなく...王弟の子供を養子に迎え、皇太子の地位につけようか...そんな決断が迫る中での懐妊だったらしい。
色々な心配があった為、出産まで事実は公表させず、内々に進め、無事出産。
王女ながら強い魔力持ちの子供の誕生。
だが、あまりの難産で、王妃に第二子第三子と望むのは難しく、会議を開き議論を重ねた上で、国王は産まれたばかりの子供を皇太子の地位に付けた。
王国では男子でなくとも継承権があるので、特に問題は無いはずだった。
普通なら。
ちなみに、その王女の魔力がとても強く、普通の乳母では世話が難しい…との事で、母さんが乳母になったらしい。
そもそも、魔導士になれる女性自体が少ないらしく、地位的にも性別的にも母さんしか候補が出なかったとも言う。
ポイズン系料理女子&このぽやぽや加減…。
きっと苦渋の決断だったのだろう。
オレが国王だったら不安しかない。
そんな中、事件...というか反乱が起こった。
首謀者は王弟とその子供。
まぁ、テンプレ...物語ではお馴染みの「俺達が王国を牛耳るはずだったのにー!」ってやつだ。
弟に裏切られるとは思っていなかった国王。
産まれた王女に危険が無いはずがない...と思っていた王妃。
少ない護衛の中、見舞いと称して城に来た王弟が、王女に向かい魔法を放つ。
魔力のコントロールが下手なくせに魔力が多い王弟の魔法は、王女を抱えて逃げようとする近衛(母さんの旦那...オレの父さんらしい人)に当たり、王女ごと跡形もなく消えてしまったらしい。
王妃の命で、王女には事前に居場所が特定できる魔導具をつけさせていた事もあり、生存は確認できたが、居場所の特定が全くできなかった。
座標に表示はあっても、そこにはいない。
そんな不思議な現象を破ったのが母さんだったらしい。
「王女様と夫を迎えに行ってまいります」
そんな軽い書き置きを置いて。
その後のことは、キースさんが引き継いで話してくれた。
王女と父さんは時空間に投げ出さてしまったとの事。
嵐のような突風に突き上げられ、耐え切れず王女を手放してしまったと、時空の狭間からどうにか...母さんが作った魔導具を使って帰ってきた父さんに聞いた。
それが、事件から1年後。
ちなみに、王弟一派はもちろん厳罰。
王族に極刑は適用できない法律があり、生涯幽閉だそうだ。
実際は、死んだ方がましだと思うような刑らしいけど、母さんからストップが掛かった。
え?幽閉って閉じ込めておくだけじゃないんだ。やっぱ、物語と現実とは違うのかも。
ちょっと興味が...あとでキースさんに聞いてみよう。
ヘタレな自分を押さえ込み、ほぼ勢いだけど…勢いで、やっぱプロポーズになっちゃったけど、遅いか早いかだ...と思う。
気が抜けそうになるのを、抑えてもう一度夏樹の顔を...目を見上げる。
今になって思う...この体制グッジョブだった。
ポロポロ涙を流しながら、何か言おうと口を閉じたり開いたり。あうあうとしていたかと思ったら、ぶわっと顔が赤くなった。
リンゴみたいに赤くなった夏樹。
こんなかわいい顔を見られたなら、断られてもいいか…なんて思っていたら……小さい声でポツリと……
「そ...れは、天涯孤独だから...連れて行っても大丈夫...だから?」
と...斜め上の反応。
上手く伝わらない事にジレジレしながら言葉を増やす。
「違うよ。夏樹。いや...違わないのか?」
考え込んだオレを見て、赤くなった顔が一気に冷めていく。
「いやいや...ホントに違うからな?」
そう言って、これから多分母さんとキースさんを交えて話すだろう事の1つにオレの予想を付け加えて話す。
「多分だけど、夏樹も関係者だと思うぞ」
それと、ずっと夏樹が好きだった事。
きっと、天涯孤独じゃなくても同じくプロポーズしただろう…と。
「オレも聞いてからまだ数日ってとこなんだ。こっちにいるのはオレの卒業まで。それ以降は準備出来次第行く事は決定してるから、早めに答えもらえるといいんだけど」
と、何とも歯切れの悪い感じで締めくくった。
言葉に出さず、頷くだけだったけど…やっぱダメかもなぁ~と思いつつ、母さんとキースさんが待つリビングに向かう。
リビングに行くと、なんというか異世界物やタイムスリップ物の話でよくある(よく聞く)光景が広がっていた...。
キースさんがテレビにかじりついてる。
で、テレビを裏側からみたり横からみたり。
お馴染みのセリフ「この薄い箱に人が……」なんて、テンプレ発言。
面白い...噴き出しそうになるのを我慢して台所を見ると、お茶の準備をしている母さんが……って緑茶に何入れようとしてんだ!
あっそうか、ペットボトルのお茶、さっきのでストック無しだからか(汗)と慌ててお茶係交代。
緑茶に牛乳入れようとしてたよあの人。
抹茶ミルクってお茶と牛乳でしょぉ~なんて言ってたよ。
怖い怖い...。
テレビを始め、家電や電話に興味深々のキースさんを、多少強引に席につかせ話を始める。
と言っても、今回はオレも聞く側だ。
電気ポットからお湯が出るのを見て、面白がって遊んだキースさんが火傷をしたのは……自業自得だ。
熱いから注意はしたのだ。
「カイちゃん、夏樹ちゃんとのお話は大丈夫なの?」
きっと、これからの話に関するだろう事が判っていたのだろう。確認が来た。
「うん…まぁ、異世界の存在と母さんが異世界人って言うのと...オレも行くことと...まぁそんなもんだけど」
とりあえず、プロポーズの事は返事をもらってからでもいいだろうと、自己判断で言葉を濁す。きっと夏樹も話を聞いてからの方が答えを出しやすいだろうと思うし。
それからはキースさんの自己紹介から始まり...なぜ、母さんが地球に来る事になったのか、母さんの出自を含め聞いた。
事の始まりは、母さんやキースさんが仕える王国に待望の子供が産まれた事から。
婚姻後なかなか子宝に恵まれず、魔法・秘薬と...効果があるものは片っ端から試したが、効果はなく...王弟の子供を養子に迎え、皇太子の地位につけようか...そんな決断が迫る中での懐妊だったらしい。
色々な心配があった為、出産まで事実は公表させず、内々に進め、無事出産。
王女ながら強い魔力持ちの子供の誕生。
だが、あまりの難産で、王妃に第二子第三子と望むのは難しく、会議を開き議論を重ねた上で、国王は産まれたばかりの子供を皇太子の地位に付けた。
王国では男子でなくとも継承権があるので、特に問題は無いはずだった。
普通なら。
ちなみに、その王女の魔力がとても強く、普通の乳母では世話が難しい…との事で、母さんが乳母になったらしい。
そもそも、魔導士になれる女性自体が少ないらしく、地位的にも性別的にも母さんしか候補が出なかったとも言う。
ポイズン系料理女子&このぽやぽや加減…。
きっと苦渋の決断だったのだろう。
オレが国王だったら不安しかない。
そんな中、事件...というか反乱が起こった。
首謀者は王弟とその子供。
まぁ、テンプレ...物語ではお馴染みの「俺達が王国を牛耳るはずだったのにー!」ってやつだ。
弟に裏切られるとは思っていなかった国王。
産まれた王女に危険が無いはずがない...と思っていた王妃。
少ない護衛の中、見舞いと称して城に来た王弟が、王女に向かい魔法を放つ。
魔力のコントロールが下手なくせに魔力が多い王弟の魔法は、王女を抱えて逃げようとする近衛(母さんの旦那...オレの父さんらしい人)に当たり、王女ごと跡形もなく消えてしまったらしい。
王妃の命で、王女には事前に居場所が特定できる魔導具をつけさせていた事もあり、生存は確認できたが、居場所の特定が全くできなかった。
座標に表示はあっても、そこにはいない。
そんな不思議な現象を破ったのが母さんだったらしい。
「王女様と夫を迎えに行ってまいります」
そんな軽い書き置きを置いて。
その後のことは、キースさんが引き継いで話してくれた。
王女と父さんは時空間に投げ出さてしまったとの事。
嵐のような突風に突き上げられ、耐え切れず王女を手放してしまったと、時空の狭間からどうにか...母さんが作った魔導具を使って帰ってきた父さんに聞いた。
それが、事件から1年後。
ちなみに、王弟一派はもちろん厳罰。
王族に極刑は適用できない法律があり、生涯幽閉だそうだ。
実際は、死んだ方がましだと思うような刑らしいけど、母さんからストップが掛かった。
え?幽閉って閉じ込めておくだけじゃないんだ。やっぱ、物語と現実とは違うのかも。
ちょっと興味が...あとでキースさんに聞いてみよう。
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