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学生の本分ですよ〜 1
しおりを挟むばあちゃんを交えて話をしてから3日。
今日は学校の登校日だ。
久々に着る制服がちょっと窮屈だ。
誰かが言ってたど、この制服を着れるのは一部のエリートのみだそうだ。
高校でエリートって...と思うオレは、多分みんなと...世の中の多数派とは考え方が違うのかもしれない。
物事の基本・勉強の基本・人付き合いの基本を学ぶには、学校ってとこはとても都合のいい場所だと思うし、自分の理解力が追いつく勉強・自分の知らない事を教えてくれる人材がいる……という意味で、レベルの違う学校があるのはしょうがないと思う。
けどね、世の中ってそれだけじゃないと思うんだよね。
現に、オレはこれから異世界に行く。
異世界に行って、地球こっちの〇〇の学校を出たと名前を言っても通じないし、知らないと思う。こっちでは出来る子でも、異世界あっちではダメな子かもしれない。
価値観は色々、場所や人が変わればあっさり揺らぐもの……。
と...思わず自己弁護。
まぁ、ぶっちゃけ不安です。
あっちに行くの。
だから、もし航太が異世界でも行くよと言ってくれたら、すごく心強い。
一緒に悩める友達がいるのは凄く嬉しいし、頼もしい存在だ。
それを思うと、この学校に行ってて良かったと思う。家から一番近くて入れる学力の学校を選んだだけ...と言ったら、周りからだいぶ引かれたけどね。
とりあえず今日は、卒業前の登校日。
これが終われば、残すは卒業式の予行練習と卒業式のみ。
他の奴と話しをする前に、航太と話し...した方がいいよな?
それと...結婚の報告もか?
なんだか色々話が大きくなりそうな予感なんだけど…まぁ...なるようにしかならないか。
世の中諦めも肝心だ。
⚫〇⚫〇
先月までは毎日のように通っていた道のり……は変わらないんだけど、なんだろう。
校門に人だかり?なんかあったのか?
そういえば、最近忙しくて誰にも連絡とってなかったなぁ~なんて思いながら、校門を過ぎ……る。
「あのっ...」
んん?誰?
いつもなら立ち止まらずに通り過ぎる場所で呼び止められる。
「あの...あとで時間を頂きたいんですけど」
校章の色を見て、一学年下の子だと確認。
知らない子...だよな?
クラブも……一緒じゃないよな?誰だっけ?
「オレ?それとも伝言?」
話をした覚えがない子なので、とりあえず聞いてみる。
「違いますっ!あの...津村先輩は、お付き合いしてる人はいらっしゃるんですか?」
ん????
これってもしかして…告白ってやつか?
そう思って、ふと周りを見るとチラチラとこちらをチラ見する輩が沢山……。
「ちょっと、場所移ろうか」
そう促して、中庭の入口辺りに移動した。
「あっあのっ...」
さて...どうしたもんだか。
ちょっと考える。断り方をね。
もう卒業だし…とは思うけど、あんまりな態度はしたくないって思うのは、勝手だろうか。
「ごめん。オレ、決まったヤツいるから。それに、卒業したらこの町離れるから」
つい最近まで言えなかったセリフ。
嘘言うのもね...。
「えっ?だって、先輩、大学に進学だって...」
って、顔も知らない後輩が、なんでオレの進路知ってんだ?っていう疑問は持っちゃいけないんかな?
色々思うけど、あまり長引かせるのも面倒なので、きっぱりはっきり断る。
「ごめんな。オレ卒業したら結婚して海外に移住するんだ。だから、これ以上は…」
そう言って、女の子をその場に置いてきてしまった。いいよね…そんくらいは。
いそいそと昇降口から教室に移動。
気のせいか、視線が痛い。
もう帰りたいんだけど、ダメ?
「よう!朝からモテモテだね~久々に見たよ。で受けたの?」
クラスメイトがあさの挨拶もそこそこに茶化す。まったく...判ってんのに言うんだよな。
彼曰く、こうやってオレの口から言わす事で牽制させるらしいんだけど、これが牽制になってるかはよく知らない。
「うるせーよ。判ってんだろ?答えはいつも一緒だよ一緒。それにっ...っと…」
危うく結婚の事を言いそうになってしまった。あぶないあぶない...せめて卒業までは内緒だ。うん。
「あれ?航太は?」
いつもだったらもう来ているはずなのに…
と思い、とりあえず確認。
「なんか、急に受験止めて、海外に行くことになったから、準備忙しいらしくて、今日は休むってよ~」
って...おいぃぃーっ!決定かよっ!
と、若干焦ったけど、頑張って平静を装う。ちゃんとできてるか不安だけど。
おい...マジか。
航太、一部の奴には言っちゃったんかい…。
さっき、他の奴には「お前と行くって聞いたんだけど…」なんて言われたし。
はぁ...登校日。
来なきゃ良かったと思うのはオレだけか…。
来なかった航太くん...正解です!
まだ始まったばかりの一日に、げんなりしたオレだった。
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