地球は世界のまんなか…じゃないらしい

こひな

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準備運動始め...です 1

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翌日、航太と一緒に早速ばあちゃんの所に行く。
あまり知識はないけれど、不動産とかに限らず、権利の発生するものは色々と時間もかかるし面倒だと聞いた事があるので、善は急げだ。
 
 
そういえば、航太がばあちゃんに会うのは初めてかもなぁ…なんて思いながら、インターホンを押す。確か、今日は夏樹が来ているはずだ。
 
 
ばあちゃんが、本当の家族だと知った日、夏樹はひたすら沈黙していた。
びっくりするでもなく、かと言って喜ぶでもなく。
元々、臆病で人見知りな事もあり、考えていることが表情に出にくい。
あの後も、オレや母さんに特に何を言うでもなく…眠れず夜を明かしたようだ。
 
 
一人で悩まず、相談して欲しいな…と思う一方、どう切り込んでいいのかも分からず、ただ見守るだけだったけど、こういう時間も必要で、この悩んだ出来事も、いつか打ち明けてくれるだろうと思い、今に至る。
今朝は何となくだけど、気持ちすっきりしたような顔をしていたので、わだかまっていた何かや、思い悩んでいた何かが吹っ切れたのかもしれない。
今朝は、何かを決意したのか、明るい顔で、おばあちゃん家に行ってくると言って出掛けた。
 
 
 
 
 
 
「ねえカイト。今日これから行くお宅って、その…関係者だったりするの?」
黙々と歩くオレに、ようやく話しかけたような達成感を持った航太。
あれ?もしかして、考え事しすぎてシカトして…たりしてなかったよね?
なんというか、考え事を始めてしまうと周りの音が聞こえなくなってしまうオレ。
ちょっと気を付けないとなぁ~と思いながら、質問に答える。
 
 
ここではあまり詳しくは話せないので、曖昧にしつつ肯定する。
この町でも、いわゆる資産家と呼ばれているから、名前だけは聞いたことあるだろ?と言ったら、すごく驚いていた。
知らない方がおかしいだろうとも。
なんでも、うちの学校の理事でもあるらしい、ばあちゃん。
孤児院の子供達が、進学で不利にならないように、色んな学校に融資や出資をしているらしい。
 
 
すげーな、ばあちゃん。そんなことまでやってたのか。
凄いな…と思う反面、ここまでやってて、すんなり異世界帰れんの?と疑問に思うオレ。
 
 
まぁ、多分、こういうのがばあちゃんの言ってた、しがらみってヤツなんだろうな。
 
 
考えたら、母さんもオレも夏樹も、ばあちゃんがいなければ、今頃どうなっていたか判らない。ばあちゃんの前にいた人も、もしかしたらこんな場合を想定して、孤児院や不動産運営なんかしていたのかもしれない。
いわゆる、先見の明ってものだろうか。
そう思うと、やっぱり大人って凄いなとしみじみ思う。





昨日あの後、無事ばあちゃんに航太の家のことをお願いしてきた。
賃貸として貸し出し、財産として残してはどうかと提案もされたけれど、最終的に航太の希望…...嫌な思い出を処分してしまいたい…という意思を汲んで、売却の方向で…航太さえ良ければ、ばあちゃんの方で買取させて欲しいとなった。
 
 
古くなった孤児院の建て替えを検討していて、土地購入に向けあちこち検討していたらしい。
近隣に公園や学校も多く、環境的・条件的に文句なしの所らしい。
リフォームか、建物を壊して新築するかはこれから検討するとのことだ。
登記・売却についての手続き等も、航太が損をしないよう、航太がお願いしている弁護士さんに確認を取りながら、間違いなく手続きするから…との事だった。
 
 
まぁ…未成年のオレ達みたいなのが、土地の売買について詳しいのも、ちょっと怖い話。
騙されるのも怖いけれど、ここは信頼できる人にお願いするのが一番かな?と思う。
 
 
航太の身内にも、不動産屋を経営している親戚はいるそうだが、人柄的に信頼できないらしい。本当は自分で出来ることは自分で出来れば良いのですが…なんて言いながら、頭を下げていた。
 
 
 
ちなみに…一応ばあちゃんにも許可を…と思って、航太を異世界に連れて行こうと思っている事を告げた。
理由も、大まかにだけど言ったら、「まぁ…若い内は何事も経験だから」…と、あっさり。
 
 
身構えていた航太もびっくりしていた。
「了承してもらっておいてなんだけど…あんな軽くていいの?」と…。
 
 
まぁ…ばあちゃんだし、一応、異世界にある国の王大后様なんだよ…と言ったら、無言になってしまった。
多分、こっちみたいに人口を管理していない分、大雑把でも良いんだと思うよ…と補足したら、あ~なるほどねぇ…と納得していた。
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