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いざ異世界へ 3 side:里村航太
しおりを挟むとうとう、明日異世界へ…。
と言っても、僕は今回はお留守番だ。
今回は主に帰還の報告や、王女様や王太后様の生還の報告らしい。
こっちとあっちでは、時間の流れも違うらしく、それの確認もあるみたい。
とりあえず、あっちで1週間(7日)滞在して帰ってくる予定。
カイトのママさん曰く、どこの世界でも馬鹿なことを考える輩はいるらしいので、無事何事もなければ7日で帰ってくる…との事。
一応、何があるか分からないので、色々準備はしているようだけどね。
そんなわけで、今回は様子見…というか、ある程度あちらの事情がはっきりしたら、僕も一緒に行く…という事になった。
カイトや孤児院のおばあちゃん(王太后様だっていうからびっくりだよね…)のお陰で、家の売却も滞りなく終わり、僕自身の引越しも…というか、おばあちゃんの家にご厄介になる事になったんだけど、割と簡単に終わった。
特に思い入れのある物も無かったし、僕自身の荷物の持ち出しもあんまりなかった。
家具は使えるものは、新しくする孤児院で使ってもらい、いらない物は処分してくれるというので、お言葉に甘えた。両親や兄のタンス預金的な隠し財産とかあったら、一応連絡をもらえるように頼んだけど、多分おそらく、十中八九無いだろうと思う。
とりあえず、保険金等々もあり今すぐどうこうという事もないので、見つかったら見つかったで追々対処するつもり。
目下のところの問題は、今後の僕の身分…というか、表向きの仕事…だ。
カイトに相談した当初は、こちらには残らないつもりだったので、進学もやめ、仕事も決めてなかったんだけど、行き来できる上に、こちらに異世界への入り口を数か所作る事になった。そうなると、こちらでの身分…というか、目くらましがが必要になる……というわけだ。
カイトのママさんとカイト夫妻は、当初の予定通り、渡航して海外在住という事にする為、表向きは海外に居を移す。最初は、僕も一緒にその案に乗せてもらい、異世界に行き、そのまま戻ってこないつもりでいたんだけど、逃げれる場所は残しておいた方がいい…とおばあちゃんがアドバイスをくれた。
ホントに...正直迷っている。
異世界への移動手段である魔法陣を、今カイト達が住んでいる家に置くらしいので、カイト達が実際の居を異世界に移した後、そこに住んで管理してくれると嬉しいと言われたけど…一度決めた事をひっくり返すのも勇気がいる。
状況が変わり、僕自身この町から出たいという気持ちが少し落ち着いてきたせいか、迷いが出てきた。
両親や兄貴が、僕をいないものとしていた時と違い、僕を頼ってくれ、僕に道を示してくれる人達がいる。
僕は幸せだな…と、今は思えるから。
だから悩む。
とりあえず…その人達の為にも、ゆっくり考えるつもり。急がなくても、程々に時間はある。
今は、カイト達が無事行って帰ってくるのを祈るのみだ。
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