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いざ異世界へ 4
しおりを挟む4月某日…晴天。
このところ春にしては気温が高く、入籍した頃に咲き始まっていた桜は一週間程ですっかり葉桜になりつつある。
満開の桜も好きだけど、散る桜もキレイだ。
日中はちょっと暑い日もあるけれど、夜になるとグンと気温が下がる春先。
まだライトアップされている近所の公園の夜桜を見ながら、昨日は夏樹とデートした。
異世界出発を数日後に控えて、せわしない周囲に流されず、日々淡々と過ごす夏樹。
一応新婚なので、母さんとキースさんが気を利かせてくれたりしたけど、部屋割りが変わった以外、特に何もない。
一緒に買い物行ったり、一緒に図書館行ったり…あんまり遠くには行けなかったけど、一応デートっぽい事はしてたぞ?
あまり表情には出ない夏樹だけれど、日々とても上機嫌だったのを知っているのはオレだけだ。
入籍をしたので…当然と言ってはなんだけど、寝室は一緒だ。
でも、考えてくれ……あの借家だ。
母子家庭二人には広めの家だが、そこに今は夏樹・キースさんがいる。一室の広さも然程あるわけではないので、客間を使っていたキースさんはそのままでも、オレの部屋に二人で寝れるベッドなぞ入れたら、寝室というよりベッド部屋になってしまう。
入籍前に、異世界へ行くまでの短期間でも、別に住むか考えていたのだけれど、入籍の手続きをして帰宅したら、なんと異世界クオリティー…部屋が増えて広くなってました。
超びっくりして、外と中を行ったり来たりしてしまった。
外観は何も変わってないんだよ。
なのに、オレの部屋が拡張され、その奥に別の部屋が一室。
いやね…異世界ってだけで常識って何よ?って感じなのに、これは流石に予想外で、あまり表情が動かない夏樹もあんぐりしてたよ。
魔導具制作、魔法陣の構築…オレ達には解らない色々な事を一人で進めている母さん。
キースさんに天才だって言われていた事を聞いてはいたけど、ここまでとは…。
ちなみに…母さんの部屋の隣、小さい物置があった場所は、小さい部屋になっており、今現在は異世界への魔法陣が敷いてある、いわゆる「転移部屋」になっているらしい。
セキュリティー上、窓のある部屋・扉が複数ある部屋を避けた結果、物置になったらしい。
キースさんには地下という提案もされたけど、母さんはあの地下の陰湿な感じが個人的に嫌いらしい。
先日、先ぶれと称して、魔法陣使用第一号の実験体キースさんが異世界に行った際に、魔力を大量に閉じ込めた魔石を2つ持ち帰ってきた。
まぁ、いわずもがな王弟親子の魔力の有効活用だよ。
その魔石を使い、複数人が使用できるように、魔法陣の拡張・部屋の拡張をし、部屋のセキュリティー強化、ついでに家全体のセキュリティーも強化し、オレ達の部屋の増築&拡張もしたらしい。
ついででやって良い事なのかは、オレには判断がつかない。
一応、今後も家は継続して借りるが、生活は異世界主体になる予定。
なので、今後の家の管理は航太にお願いできないか交渉中。
なのに……と思っていたらケロッと 「航太君の部屋も作ればいいじゃなぁ~い」 と軽く言ってた。
異世界との繋がりの間口が広くなったお陰で、この家の中は比較的自由にいじれるらしい。魔法で…。
いいな魔法…すげーな魔法…。
頭の中で鳴り響くコール。
結局これで、オレの異世界でのやりたい事が決まった。
目指せ!職業:魔導士……である。
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