地球は世界のまんなか…じゃないらしい

始めの一歩 ２

謁見の間……。
作法も何も解らないオレと夏樹は、にわか仕込みで色々と仕込まれ…今現在に至る。
 
 
ばあちゃんは…もちろん、国王陛下？の隣だ。
それを考えると、夏樹もあちら側じゃないのか？と思うのはオレだけなのか……色々となんとなくだけど、腑に落ちない。
 
 
ちなみに…国王陛下の傍には、なんと言うか…オレに激似な人がいる。
いやね…、鏡で自分の顔って見るけど、「似てるよね～」と言われても、普通は「そう？」位だと思うんだけど、オレ本人が見ても似てるんだよね。
 
 
体格差や雰囲気は全然違うと思うんだけど、間違いなく身内…親子だって誰に聞いても判る位酷似していて、ちょっとびっくり。
 
 
騎士団団長らしいけど、余計な筋肉が付いてる感じじゃないし、いい感じに渋い…ちょいワルオヤジ風？ありゃモテるだろうなぁ～と思う。
 
 
「キース・ライハット、マリア・ユーカス、任務の遂行、無事の帰還ご苦労であった」
 
 
他にも色々話してたけど、概ね「お疲れ様」的な内容だった。
謁見の間に同席しているのは一部の上位貴族らしく、いかにもな感じの人達がいた。
この中からおバカちゃんが出ない事を祈るばかりだ。
 
 
多分この後、今後について…とかを話すんだろうけど、最初の夏樹の扱いについての違和感は継続中。
 
 
だって、今の今まで一言も夏樹の話題には触れない。
唯一、母さんの帰還についてだけ。
違和感だ…違和感ありまくりだ。
 
 
夏樹も気が付いているのか、目線を床に落としたまま動かない。
多分、色々いらんことを考えてるんだろうなぁと思う。
いざとなったら、オレと夏樹は地球あっちに戻れるんだ。不遇な扱いを受ける筋合いはないからな。
 
 
とりあえず、異世界こっちでの立場を理解しないとどうにも動けない。
王妃様の話がそれだとすれば、早々にはっきりしそうだ。
 
 
 
 
謁見が思いの外早く終わった。
まぁ…王様の＂よきにはからえ＂的なお話で終わりだったので、早々に王妃様の私室に移動する。
国王様は…同席なし？
＂普通＂って言うのが、所変わればなので、あてには出来ないけど…普通は……。
 
 
人数分の椅子 (当然母さんの分も)準備され、テーブルには紅茶らしき飲み物が運ばれてきた。
そういえば、異世界こっちに来る前に渡された護身用の魔導具には解毒魔法も掛かっているらしい。


ちなみにこれは、単純に毒への対策もあるけど、水や食事にあたらないように…とのことだ。
 
 
地球あっちでも、日本以外は生水には注意した方が良いと聞いた事がある。これは氷や食材を洗う水にも適用されるらしく、生水は飲んだ覚えがないのに、お腹を下してしまい、おかしいなぁと思って、友達に言ったら、飲み物に入ってた氷が解けたんだろうって言われた……と担任の先生が言ってた。
 
 
そんな事を考えると、この魔導具は優れ物だ……と思いきや、これにも欠点があって、アルコールも分解してしまうので酔えないし、薬も効かなくなってしまうらしい。
 
 
目下絶賛改良中らしいけど、中々難しいようだ。
そもそも、毒の定義が曖昧らしく、いわゆる異世界あるあるの＂状態異常＂はこの魔法の治療対象らしい。
まぁ、完璧って難しいよね…。
 
なんて思ってたら、ノックの音。
 
 
「失礼致します。王宮騎士ハルト・ユーカス入ります」


突然、まさかの父ちゃん登場です…ちょっといきなり過ぎじゃね？と思うのはオレだけ？