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始めの一歩 3
しおりを挟む「お待たせ致しました」
ビシッと背を正し迷いなく歩を進め、王妃様の斜め後ろの辺りで止まる。
軍服萌えとかの属性は持っていないが、ああいうのは程々誰でも着こなせる…なんて思っていたけれど、ちょっと違うらしい。
王妃様の部屋付きの騎士も多少デザインの違いはあるものの、同じようなのを来ていたが、ここまでは着こなせていなかった。
まぁ、もしかしたら"父親"という欲目もあるのかもしれないけど。
「これから話す事は他言無用です。もし漏れるような事があれば、あなた達が狙われる危険性があります」
そう前置きして語りだしたのは、案の定、夏樹の扱いだった。
キースさんが一度、異世界に戻ってきた時の情報を元に検討して決めたらしい。
本人不在でこれからの事を決めてしまってすみません…と謝られた。
ちなみにこんな感じ。
• 夏樹は行方不明の王女ではなく新しいこせき (のようなもの)を作る
•一度戸籍を作成後、ユーカス夫妻の養子となったカイトと婚姻の儀を行いユーカス公爵家へ嫁ぐ形をとる
•カイト (オレ)の身分は、ハルト・ユーカスの遠縁とし、ユーカス夫妻の養子とする
とりあえず、オレと夏樹の扱いはこんな感じ。
時間の流れが違いすぎ、今の夏樹を行方不明の王女というにも苦しく、地球(あっち)の存在を公にする訳にもいかず、こういう待遇になったらしい。
ちなみに、夏樹の設定は、王妃様の遠縁にあたる令嬢で、他国に留学していたという感じ。
まぁ…多少無理が出てもしょうがない。
王家と公爵家で無理は押し込む算段らしい。
「それとね…」
目線を下げた王妃様が話し出したのは、王太后様(ばあちゃん)がいなくなったあとや、夏樹がいなくなってからの出来事だった。
王妃様は…まぁ色々あって、王陛下とは婚姻関係は解消しており、新たに結婚 (書面上の契約)状態である事、政務等は表向きは王陛下がやっている事になっているが、実質王妃様がやっている事なので、色々融通はつくらしい…職権乱用だけど。
一応、夏樹にも継承権はあるらしい。どういう訳かは分からないけど。
まぁ、きっとこの辺は大人の…貴族の事情だろう。
そうそう…丁度いいやと思い、航太の事もお願いする事に。
で…最終的に後日、オレ・夏樹・航太の3人は適性検査を受ける事になった。
例のあれ…よくラノベの冒険者がやるやつ。
オレ、魔導士になりたいんだけどな…やっぱり、適性がない職業ってのは出来ないことはないけど大変らしい。特に魔導士や魔導具職人なんかは。
まぁ、わりとここまで順調だったからな。
期待せず、なれたらいいな位に思っておこう。
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