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始めの一歩 6
しおりを挟む転移魔法陣を使い異世界へ来て、はや3日。
1日目は、まぁ言わずもがなの出来事で、昨日は移動やら何やらで気が付いたら日が暮れてた感じ。
昨日、オレ達御一行は母さんの家、ユーカス公爵の王都にある屋敷に移動した。
ハルトさん…(父さんって、なんだか言い難くて…)の紹介や、しばらくの滞在先として王城より王都が良いと言ったオレと夏樹の意見や、早々にオレと夏樹が暮らす…建前上の屋敷の手配もしなくてはいけないだろうという、母さんやハルトさんの意見もあっての移動である。
ちなみに…ばあちゃんも、地球(あちら)暮らしが長いせいもあり、色々と王城よりオレ達のいる王都の屋敷が良いとの事で、一緒の移動だった。
夏樹もばあちゃんと一緒のせいか、異世界(こちら)に来たばかりの時よりだいぶ表情も柔らかくなった気がする。
王妃様の私室での話の際、夏樹は一言も話をしなかった。
あとで聞いたけど…拒絶されないだけましかも…と思ったらしい。
行方不明から異世界時間で5年。地球時間で18年。
どうやっても成長してしまった今の姿は子供に見えない。
辻褄合わせで異世界転移を発表できればまだ良かったけれど、それもできないならば、今回のこの策が次点としては最良だろう…と夏樹自身も思っていたようだ。
夏樹には悪いが、オレ自身にとってはすごくいい結果だった…と思う。
周囲の思惑はとりあえず置いておいて…夏樹は王女様だ。
王女様…オレの異世界知識では、権力に近づく優良物件だろう。
それも、現時点では異世界に来たばかりで、右も左も判らない…異世界時間で数年とはいえこの世界から飛ばされ、異世界の事など何も知らずに育った王女様。
当然、婚姻相手や相手の親には事情を話さなければいけなくなり、訳ありの婚姻になってしまい、王家としては弱みになりかねない。
一応、既成事実的なものは作ってきたが、相手の貴族によっては、どこの馬の骨的なオレは、離婚させられてしまう可能性もあっただろうと思う。
全て推測の域だけれど……。
だけど…まぁ、どうにか良い方に転がりそうでなによりだ。
始めの一歩としては、予想の中では最良の結果だ。
航太の事も、ユーカス公爵家で新しい戸籍をつくってくれるとの事なので、無事連れてくることが出来そうだ。
王妃様や母さんには、しばらく滞在して、こちらでの生活環境を整えたら、航太を迎えに行くことは伝えた。
航太を連れてきたら、今度は3人で適性検査だ。
魔導士目指して、とりあえずは魔力操作のトレーニング重点でいく予定。
もちろん、夏樹も一緒だ。
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