狼さんは許さない

黒猫文二

文字の大きさ
25 / 30
第三章 蜘蛛女

爆発

しおりを挟む
 リリカは待っていた。インターホンを鳴らしてからしばらく何も反応はないがドアの向こうからわずかに気配を感じる。
 ……そして、玄関のドアが開かれたその瞬間、リリカは人間離れした脚力で跳躍し、ひさしの上に着地していた。
 淫魔の変化能力を応用して左手をサイレンサーを装着した自動拳銃に変化させる。リリカは体の一部を娘のフーコが出来ないような複雑な形状の武器に変化させる事が出来るのだ。左手銃を右手で構えてターゲットが顔を出すまで待つ。
 蜘蛛女たちの姿形はフーコとのテレパシーを通じて知っている。使い魔と主人との関係よりもさらに濃いつながりのある親子の間でもテレパシーは可能なのであった。
 リリカが頭上にいる事を知らないカエデは来訪者がどこに消えたのかを慎重に警戒しながら探っていた。ドアから出て周囲を見回しても姿がない。なので、そこからさらにゆっくりと歩を進める。

 プシッ

 リリカの左手銃から発射された弾丸が空気を切り裂く音がした。
 カエデが突然体を激しく揺らし始めた。それからすぐに、何事かと見つめていたミカの目の前でカエデの肉体は爆発四散していた。
 リリカの肉体から生成された特別な弾丸は庇の上から狙い撃てる位置に来たカエデの頭に着弾してから、カエデの体の中心へと移動して全身が破裂するほどの威力の爆発を起こしたのだ。

「いやーーー!」

 悲鳴をあげるミカの目の前にリリカが庇から飛び降りてきた。ミカはミナミたちに危険が迫っている事を伝えるため、行きたい方向に糸を飛ばして自分の体を引き寄せる移動法を用いて、一気に二人とペット一匹が居るはずの部屋にたどり着いた。部屋のドアは開けられたままで、そこには誰かが倒れていた。

「ひっ!」

 倒れているのは顔に大穴を空けられて男性器が切り取られているミナミの死体であった。後ろからリリカがやって来る気配を感じたミカは急いで部屋の中に入った。部屋の中にはリカとペットの姿もないのでそのまま窓の外へ糸を放って逃げようとする。
 そんなミカの頭にリリカは正確に狙いを付けて弾丸を撃ち込もうとした。だが、ミカが足下に転がっていたミナミので足を滑らせて転んだ事で正確すぎる狙いは外れて弾丸は壁に着弾して爆発、その間にミカは窓の外へ糸を放って逃げていた。
 リリカもすぐに部屋に入り窓から外に出て周囲を確認するが、既にミカの気配はなかった。

「なんて悪運の強さなの……」

 リリカは部屋の中に戻ってミカの命を救ったを忌々しげに踏み潰した。

「どうしたのママ?」

 爆発音を聞いてやって来たフーコだ。

「一人に逃げられたわ……」

「ママが逃がすなんて珍しい。どうする?」

「二人の保護を優先しましょう」

 フーコとリリカは乗ってきた車に戻り、保護したユウトとリカをマンションへ連れて行く事にした。フーコが離れた隙に車の下に張り付いた一人も含めて……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...