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高架下の公園
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駅から少し離れた高架下に公園がある。
暗くて寒々しい場所なのもあってか、滅多に人が来ない。
学校には馴染めなくて行きたくないけど家に居ても親がうるさいので、今日も僕は学校が終わる時間までその公園のベンチに座って時間つぶしをしていた。
スマホのバッテリーの消費を抑えるためにゲームはあまりせず、ネット小説を読んで過ごしていた。
意識が物語の世界に入り込んでいる間は、嫌なことだらけでつまらない現実のことを忘れられる。
体にはつらいが精神的には満たされている時間だった。
ある日、いつも通り公園で小説を読んでいるとガサガサと音を立てながら公園に入ってくる男の姿が見えた。
何やら大きなゴミ袋を背負っている。
それを公園のゴミ箱に押し込んだ後、男はこっちにやって来た。
「君、学校はどうしたの?」
面倒くさそうなのがやって来た。
「おじさんはここの市の職員なんだ。何か悩み事があるなら力になってあげるよ」
男は優しげな声でそう言った。
「とりあえずもっと落ち着ける場所に行こうよ?」
男の目つきに何か不気味なものを感じた僕は手に持っていたスマホのカメラ機能でこっそり男の顔を撮ってから「結構です」と言って、急いでその場から逃げた。
しばらく男は追ってきていたが、隣町まで走ったころには男の姿は見えなくなっていた。
そのことがあってからは別の場所で時間つぶしをするようにしていた。
でも、あそこはお気に入りの場所だったし、あの男はもういないのか? あのゴミ袋はなんだったのか? が気になってしょうがなかったので意を決して公園に行ってみることにした。
公園の入口から覗いてみる。
人は誰もいない。
だが、ゴミ箱に数匹の野良猫が集っている。
(なんだろあれ?)と思っているとマスクと手袋を付けた一人のおじさんがこちらにやって来た。
「お~、坊主。今日もサボりか」
一週間に一度、公園のゴミ回収にやって来るおじさんだ。
自分とはスッカリ顔馴染みだ。
「うわ~、なんやあれ」
おじさんも野良猫たちに気づいて驚いた。
そこで、あの男に会ったときのことなどをおじさんに話した。
「死体でも入っとるかもしれへんな」
正直、自分もそう思っていた。
おじさんと二人でゴミ箱の中身を確認しに行くことにした。
こちらが近づくと野良猫たちはサッとその場から離れた。
ひどい臭気に気圧される。
それでもおじさんは長年ゴミ回収の仕事をしてきているだけあってか負けじと前に進んで中身を確認した。
「あかん! これは見たらあかん!」
おじさんがそう言うも一緒に近づいていた僕にも見えてしまっていた。
袋の中には変色した手足がいくつもあった。
手足だけが。
その後、おじさんの連絡でやって来た警察官に証言とあのとき撮っていた男の画像データを提供したのが功を奏したのか、一週間もしない内に男は逮捕された。
男は何人もの少年少女を誘拐しては殺して手足を切り取り、胴体と首はそのまま保管していたらしい。
場合によっては僕もそれの仲間入りをしていたのも知れないと思うと吐き気がした。
こんな体験をして何かが吹っ切れたのか、自分でもよく分からないけど、なんとなく今は以前のように彷徨かずに学校に通っている。
暗くて寒々しい場所なのもあってか、滅多に人が来ない。
学校には馴染めなくて行きたくないけど家に居ても親がうるさいので、今日も僕は学校が終わる時間までその公園のベンチに座って時間つぶしをしていた。
スマホのバッテリーの消費を抑えるためにゲームはあまりせず、ネット小説を読んで過ごしていた。
意識が物語の世界に入り込んでいる間は、嫌なことだらけでつまらない現実のことを忘れられる。
体にはつらいが精神的には満たされている時間だった。
ある日、いつも通り公園で小説を読んでいるとガサガサと音を立てながら公園に入ってくる男の姿が見えた。
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「お~、坊主。今日もサボりか」
一週間に一度、公園のゴミ回収にやって来るおじさんだ。
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「うわ~、なんやあれ」
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