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霧の鬼編
(149)ジャックVS切り裂きジャック①
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~ジャック目線~
「ああ、苛立ちます…………これって、リトルレディの策ですか?」
「さあね…………あんたに言う必要なんてない」
切り裂きジャックの攻撃を避けながらも、なんとか会話をして時間を稼ぐ。
正直、時間を稼ぐだけで攻撃なんてほぼほぼ出来ていないようなもんだ。
これが幹部クラスと同等の実力を持つS級…………正直避けるだけで精いっぱいだ。
サーヤを説得しておいてよかった。
なんとか道具で相殺しながらも考える。
会話だけで、団長たちが来るまで時間を稼げる気がしない。
「そうですか…………余計なことを…………やはり、殺してしまいましょう。ご丁寧に、あなたと出会わせてくれましたからね。そのお礼も兼ねて」
いや、それお礼じゃないだろ。
「はっ、お礼? 感謝じゃなくて、憎しみの御礼だろうが」
「おやおや、私は優しい紳士ですからねぇ。あなたの失言も、優しいですから聞かなかったことにして差し上げますよ」
プチン。
どこかで、そんな音が聞こえて気がした。
それと同時に、目の前が怒りで真っ赤になる。
優しい?
お前が?
優しいのは、サーヤや団長たちのことを言うんだ。
サーヤは、あんな酷いことを言った俺のことを許してくれた。
団長だって、役に立っていない俺のことをまだ捨てないでいてくれる。
…………前の彼奴は、口答えをしたらすぐに俺のことを捨てたのに。
「ウザいんだよ、エセ紳士」
「…………なんだと?」
俺の言った言葉に、切り裂きジャックの動きが止まった。
「お前が優しい? お前みたいなイカレ野郎が優しいんなら、団長たちは神様だな」
「こっのっ」
そう言いながら笑えば、怒っているのかフルフルと震えている。
本来は、あんまり煽るような言動はよくない。
でも、そうわかっていても止まらなかった。
一か月の間、俺はいろいろ考えたんだ。
もしかしたら、まだ挽回の機会があるかもしれなかったから。
でも、いろいろ考えて気付いたんだ。
団長や副団長の目は、俺をゴミだと罵った奴らとは違った。
「あと、優しいをあんたははき違えているだろ? 優しいって言うのは、相手のことを想って時には厳しい事も言う。でもどんなに言葉が厳しくても、目は優しいんだ。相手を思いやって、相手が傷ついてほしくない。だからどんなに厳しいことを言っても、優しい奴の目はとても優しくて暖かさがあるんだ。…………あんたの、虫けらを見ているような目と違ってな」
団長たちの目は、俺を蔑んでいなかった。
とても優しくて、とても暖かかった。
なんで、あの時にはそれがわからなかったのか。
…………少なくとも、目の前の男は優しくなんかない。
優しい人間ってのは、どんなに言葉が厳しくても意外にそれ以外が優しいものなんだから。
「…………お前が」
切り裂きジャックが、ボソリと言った。
その瞬間、左目が真っ赤に染まった。
それと同時に、鉄臭い匂いと言葉では表せないほどの痛みと熱さが襲ってくる。
「お前が、優しいなど言うな!! あいつを、あの子を奪ったお前が!! お前なんかが、優しさを語るな!!」
一瞬、何が起こったのかわからなかった。
でも、そんなのどうでもよかった。
「ははっ…………そんなに俺が嫌いなら俺を捕まえて見ろよ!!」
俺の言動に怒りを募らせる切り裂きジャック。
このまま、時間を稼ぐ。
…………もし俺が死んでも、やってきた団長たちがこいつを捕まえれるように。
「ああ、苛立ちます…………これって、リトルレディの策ですか?」
「さあね…………あんたに言う必要なんてない」
切り裂きジャックの攻撃を避けながらも、なんとか会話をして時間を稼ぐ。
正直、時間を稼ぐだけで攻撃なんてほぼほぼ出来ていないようなもんだ。
これが幹部クラスと同等の実力を持つS級…………正直避けるだけで精いっぱいだ。
サーヤを説得しておいてよかった。
なんとか道具で相殺しながらも考える。
会話だけで、団長たちが来るまで時間を稼げる気がしない。
「そうですか…………余計なことを…………やはり、殺してしまいましょう。ご丁寧に、あなたと出会わせてくれましたからね。そのお礼も兼ねて」
いや、それお礼じゃないだろ。
「はっ、お礼? 感謝じゃなくて、憎しみの御礼だろうが」
「おやおや、私は優しい紳士ですからねぇ。あなたの失言も、優しいですから聞かなかったことにして差し上げますよ」
プチン。
どこかで、そんな音が聞こえて気がした。
それと同時に、目の前が怒りで真っ赤になる。
優しい?
お前が?
優しいのは、サーヤや団長たちのことを言うんだ。
サーヤは、あんな酷いことを言った俺のことを許してくれた。
団長だって、役に立っていない俺のことをまだ捨てないでいてくれる。
…………前の彼奴は、口答えをしたらすぐに俺のことを捨てたのに。
「ウザいんだよ、エセ紳士」
「…………なんだと?」
俺の言った言葉に、切り裂きジャックの動きが止まった。
「お前が優しい? お前みたいなイカレ野郎が優しいんなら、団長たちは神様だな」
「こっのっ」
そう言いながら笑えば、怒っているのかフルフルと震えている。
本来は、あんまり煽るような言動はよくない。
でも、そうわかっていても止まらなかった。
一か月の間、俺はいろいろ考えたんだ。
もしかしたら、まだ挽回の機会があるかもしれなかったから。
でも、いろいろ考えて気付いたんだ。
団長や副団長の目は、俺をゴミだと罵った奴らとは違った。
「あと、優しいをあんたははき違えているだろ? 優しいって言うのは、相手のことを想って時には厳しい事も言う。でもどんなに言葉が厳しくても、目は優しいんだ。相手を思いやって、相手が傷ついてほしくない。だからどんなに厳しいことを言っても、優しい奴の目はとても優しくて暖かさがあるんだ。…………あんたの、虫けらを見ているような目と違ってな」
団長たちの目は、俺を蔑んでいなかった。
とても優しくて、とても暖かかった。
なんで、あの時にはそれがわからなかったのか。
…………少なくとも、目の前の男は優しくなんかない。
優しい人間ってのは、どんなに言葉が厳しくても意外にそれ以外が優しいものなんだから。
「…………お前が」
切り裂きジャックが、ボソリと言った。
その瞬間、左目が真っ赤に染まった。
それと同時に、鉄臭い匂いと言葉では表せないほどの痛みと熱さが襲ってくる。
「お前が、優しいなど言うな!! あいつを、あの子を奪ったお前が!! お前なんかが、優しさを語るな!!」
一瞬、何が起こったのかわからなかった。
でも、そんなのどうでもよかった。
「ははっ…………そんなに俺が嫌いなら俺を捕まえて見ろよ!!」
俺の言動に怒りを募らせる切り裂きジャック。
このまま、時間を稼ぐ。
…………もし俺が死んでも、やってきた団長たちがこいつを捕まえれるように。
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