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二章
捌話
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降りしきる雨の中、水面の底へとに沈みそうな魂があった。瘴気に呑まれ、実態を失った瑪瑙は、かつて自らが生み出された場所に還ろうとしていた。
(力が抜けていく……)
思い起こすのは、様々な記憶ーー。幼い頃は、置いていかれたばかりの日々だった。ある時期になっても香りが目覚める事なく、虚無感を感じていた。ただ、人型を取り琵琶を奏でることしか取り柄がなかった。唯一演奏時は、そんな孤独感も、一瞬は忘れられていた。また、贄を喰らったあの感触も、今も覚えている。
弱かった自身の事ばかりが、心を侵食していく。
主がいなくなり、思うように琵琶を弾けなくなった時ーー蛇神として本来の姿でしか行動できなかった頃は、何の為に生きているのかと思えた。周りの仲間が消えていく時ーー。あのまま柘榴に殺されていたらよかったのではと、今では思う。人の世での温かな日々は夢であったと、沈む心に言い聞かせる。
番に会えたのは嬉しかった。ずっと会いたかった存在。だが、一方的な感情で傷つけた。もう、合わせる顔がない。
異形の姿のまま傷つけたのだから、彼女は自分を拒絶するだろう。このまま別れてよかったのだと、瑪瑙は心の中で言い聞かせた。
(……このまま、僕は終わるのですね)
薄れゆく意識の中で突然、懐かしい声が響いた。
『おい、瑪瑙……消えんじゃねぇよ!』
(……琥珀殿……?)
そこには、柘榴と戦う頃、鈴と恋仲になっていた時の懐かしい琥珀の姿があった。
『お前、紬を捨てるのか?唯一の番を置いて消えるのか?』
(もう…どうでもいいです。紬さんは、異形の僕といるより、普通の人としての人生を、歩むべきです)
『お前、見損なったぞ!紬は今、お前を探してここまで来てる』
(そんなはず……僕は瘴気に苛まれ、彼女を傷つけました。もう顔も見たくないはずです)
もはや、人に顕現することもできない。探しに来てくれたとしても、自分はもう彼女に、触れることすらできない。
また、ステージに立ち演奏をすることもできない。
”さっさと消えてしまえーー!!”罵倒する声が耳元に聞こえてくる。
(もう、眠らせてください……)
消えたいと意識を手放そうとしても、琥珀がそれを塞ぐように声を掛け続ける。
『なに弱気になってる!あいつはな、魂ごと、こっちに意識を飛ばしてきてる。お前のことを探しながら、必死に……お前には、分からないのか?」
琥珀の声は、静かに重く瑪瑙の心に響いた。
『瑪瑙、お前は紬の番だ!守るって決めたんじゃないのか?愛してるんじゃないのか?あいつの気持ち無視して、逃げるようなことするな!』
(僕は彼らに貶められるほど弱いというのに……)
呪いの瘴気を跳ね返せる力もないというのに、彼らを倒すことなどできるはずがないと思う。番に会えた時は、多少の自信を持つことができたが、それを上回るほど相手も強くなっていった。
自分が、白蛇の蛇神だったらと何度思ったことだろう。神聖さを身にまとう、誰もが憧れた孤高の存在を。
(自分も白蛇だったらと、幼い頃から思っていました……)
『その弱気は瘴気のせいか……?小さい時の威勢はどうした?誰よりも負けたくないって傷だらけになりながら、必死に鍛錬してただろ?」
(幼い頃のことなど……忘れました)
『実態があったら、俺は、お前を……殴ってる。瑪瑙、お前は人の世で、自分のやりたいこと見つけられたんだろ?消えるな!お前を待ってる奴らがいっぱいいる』
その言葉に思い出すのは、自分を支えてくれている人々。自らの演奏を聴いてくれる人々。そして、大事な番である彼女。
(……っ。できるのでしょうか……もう一度戻るなど)
***
紬の目に映る情景が、万華鏡のように変化していた。時が進み、少年だった瑪瑙は青年へと成長していた。その姿は、今の瑪瑙に酷似しているものの、どこか儚げな雰囲気を纏っている。
白と朱を基調とした神衣に身を包み、微かな神気を揺らすその背は、焚かれた灯の明かりに照らされながら、無数の文献に囲まれていた。
静かな神域の奥、木組みの書架に囲まれた小部屋。そこに、瑪瑙は膝をつき、積まれた古文書を一心にめくっていた。
「贄により力を得て、神は威を増す……。蛇神独自の香りが立つ頃、人里の村より一人の贄を選び、番となす……」
低く呟くその声は、熱を抑えきれない焦りが滲んでいる。書物をめくる指が止まると、瑪瑙はゆっくり顔を伏せた。
「……まだ、僕には香りがない」
声は震え、彼の瞳はどこか揺れていた。
「周りは皆、村の贄を持ち、蛇神として役目を果たしているというのに……」
未だ香りがなく、贄という番を持てない苛立ちがどこか滲み出ているようだ。近くにある琵琶を手に取り、弦を軽く鳴らす。
「僕は……やはり、不完全だ。音だけを奏でられても、何の意味もない……」
紬はただ静かに瑪瑙を見つめていた。手を伸ばせば、届きそうな距離にいるのに。意識だけのせいか、最初の時のように触れることはできない。胸が強く締め付けられた。
(こんなに頑張って……孤独に耐えて、ずっと貴方は香りが出ないことを気にしていたんですね)
先の未来では、自分の傍で微笑んでくれた彼。けれどそれまでの人生で、どれほどの苦しみを積み重ねてきたのか。
「琥珀殿が……羨ましい。憎いくらいに……周りが羨ましい。このまま、私は終わるのか……」
(こんな悲しい姿、見たくない……)
瞳をぎゅっと瞑ると、水琴窟の音が再び谺し、情景がまた変わった。
近くで、女性の震える声が聞こえる。
「……」
『贄、を喰らえば力が得られる……貴女には悪いですが、この私に捧げられてた以上、諦めてください』
「い……や!」
赤い蛇の胴体がぐるりと、彼女に巻き付いていき大きな口を開けたと同時に、一口で飲み込んでいく。
(ひっ……!!)
飲み込まれながら骨が軋み砕ける音と、瑪瑙の口から血が零れていく。血の臭いに紬は気を悪くし、倒れ込む。
できればこの光景は見たくなかった。
『これで、力が……皆に追いつける。香りもきっと持てる……』
腹を膨らませながら、その場から赤い蛇は去っていった。紬はその場で怯えながら、再び目を瞑った。
目を開けると、そこには巨石の上で蹲っている赤い蛇がいた。
『もう何日か経ったのに、力が強くなる気配もない。香りも発しない……』
じっとしていると、数匹の蛇が瑪瑙の前に歩み寄り、言葉を告げる。
『瑪瑙、香りもないのに贄なんて持ったのか?』
『すぐに喰ったんだって?馬鹿じゃないのか。贄は僕達にとって力を増す祈りの象徴だぞ』
『香りがないのに、村を任されたなんて誰の配慮だ?主か?』
周りに詰め寄られながら、瑪瑙は身を震わせ言葉を発した。
『柘榴様が、空きがあるから私に譲ってくださったんです。喰らえば力が得られると……』
『柘榴様が?お前、やけに柘榴様に気に入られてるな』
『お前、力が弱いからって柘榴様に媚びるなよ』
『……そんなこと……しませんよ』
雄蛇たちは、ほぼ柘榴の虜になっているかのように、瑪瑙が彼女の名を口にすることに嫉妬の目を向けた。瑪瑙はただ視線を外し地面に頭を垂れた。誰もいなくなった空間の中、人型になると自身の部屋に籠もり琵琶を奏でだす。
どこか聞き覚えのあるあの曲のフレーズだと思った。
(落涙だ……)
曲の合間に思考を巡らせるかのように、瑪瑙が静かに語りだす。
「……皆、柘榴様に執着しだしている。主様は最近、琥珀殿のもとへ行っているようだ……雌蛇が消えていっているようだし、何が起きているというのか……」
瑪瑙が琵琶の音を奏でていると、扉を叩く音がした。扉を開けると、二人の女性達が泣きながら、彼のもとを訪ねてきた。
「ごめんなさい、瑪瑙……少しだけここにいさせて」
「私達、贄に捨てられたの……自分たちより、人間の女がいいって」
「そう……人間に捨てられたのですか……種族が違う者と心を通わせようなど、難しいのです。そんなに恋い焦がれるものなのですが?贄というのは……」
「……」
「とりあえず、中へ……」
部屋に招き入れると、雌蛇達は悲しい、辛いという言葉をしばらく放ちながら涙に暮れていた。話を続けているうちに、女たちは互いに目を見つめ、彼に少しずつ歩み寄る。
「ねぇ……瑪瑙、悲しい。お願い、慰めて……」
「っ、何を!!」
一人の女性が瑪瑙の着物に手を添え、突然抱きついた。その行動に瑪瑙は素早く身を剥がす。まるで拒絶するかのように。もう一人の女も彼に縋ろうと身を寄せたが、瑪瑙は苛立ちの表情を浮かべ顔を背ける。
「辛いからといって、私を利用するのはやめてください!貴女達を哀れんで、絡み合うつもりはありません」
境界線を引くかのように、瑪瑙は二人を冷たい言葉で制した。向けられた鋭い視線に、彼女たちは身を震わせ、静かに声を発した。
「……ごめんなさい。つい、魔が差して。戻ってきたら、仲間の雌蛇達がいないし……怖いの」
「私達も、いずれ消されるんじゃないかって不安で……助けてほしくて」
「それなら、主様に相談すれば何とかしてくれるはず。私が掛け合ってみます」
「……ありがとう、心強いわ」
瑪瑙は再び琵琶を手に取ると、静かに奏でだした。まるで二人をそっと元気づけるかのように。その音色は温かさを纏うかのように、美しく部屋に響いた。傍にいる二人はじっと曲が終わるまで、彼の演奏を見つめていた。
曲が終わると、一人の女性が声を発した。
「瑪瑙の音色って力が宿るみたいね……」
「本当に、心が動かされるみたい。力がないって思っていたけど、音に神気が宿るような……」
「……そうですか。元気になってくれたならよかった」
二人は立ち上がり、瑪瑙の部屋を静かに出ていった。どこに向かうのかはわからないが、姿が見えなくなるまで瑪瑙は静かに二人の背を見つめていた。
「音に神気……か」
言葉を吐くと、顕現を解き蛇の姿になった。音に神気が宿るーー?紬は思った。ライブにいたファンが曲を聞くと元気になると言っていたことに。彼の力は音に宿るのではと思った。交信にて聞かせてくれた音にも、すぐに眠りに付けたりと、沈んだ気持ちを落ち着かせてくれる不思議な気を感じていた。
(ーーー紬さん)
浮かぶのは自分を呼ぶ優しい声。あの花の香りに包まれたい。彼をなんとしても見つけなければ。紬は瞳を閉じ祈った。番なら必ず彼のもとに辿り着ける。そう信じてーー。
***
何度目かの情景が変わり、降りしきる雨の中、磐座の小さな祠が目の前に浮かぶ。そこには琵琶が置かれていた。
これは、彼の主である弁財天のものだと紬は思った。
『柘榴様、これからは貴女がこの聖域の主……』
『翡翠、……琥珀は私のもとに戻るかしら?琥珀の贄を殺せたし、主も喰い殺した……これで、戻るわよね』
『……えぇ、きっと……』
蛇の姿の二匹が語りながら、その場を後にしていた。柘榴が弁財天を殺したーー?おまけに、祖父の贄まで?彼女の残虐さに、紬は恐ろしさと怒りを感じた。
しばらくその場に留まり続けていると、他の蛇たちが人型を取り、声をあげて近づいてくるのがわかった。
「ここにも主はいないか?」
「この聖域にはもういないのか?」
「俺達はこれからどうなるんだーー?」
皆、この聖域の要である主を失い動揺しているようだった。紬は祠の琵琶に手を伸ばして触れた。
その時だったーー。
「お前、何者だ?その琵琶に触れるとは……」
『!!あ』
見えないはずなのに、目の前の男は自分を捉えるかのように視線を向けていた。どうすればいいのかわからないまま、紬は目を瞑った。
「すみません……私」
「人間……どうしてこの場所に?それに……その琵琶は、人には触れられないはず。貴女はいったい……」
「おい、瑪瑙。何かいたのか!!」
背の高い大きな男が近づいてくるのがわかった。見つかれば、何をされるかわからない。紬は、恐怖のあまり琵琶を抱えたまま、身を震わせた。その瞬間、彼の手に包まれ、瞬時に岩陰に身を隠されたのがわかった。
「静かにしていてください……」
「……」
「何か見つけたか?」
「珊瑚殿、いえ、何もありません。先に戻っていてください」
「そうか……」
大きな男は一言呟くと、その場から離れていった。紬は黙ったまま、彼の鼓動を感じていた。だが、香りを感じることはない。それでも、彼だという温もりを感じ、思わず涙が溢れた。一筋の涙を流しながら、絞り出すように声を発する。
「瑪瑙さん……帰ってきて」
「……何故私の名を。貴女はいったい誰ですか?」
「私は貴方の番……私もう、貴方を悲しませない……」
「何を馬鹿な……番など、香りもない自分には、現れるはずありません」
いけないと紬は思った。過去の場で番のことを話すなど、未来を変えてしまうことになるかもしれない。それだけは駄目だと思った。
「すみません……」
「人の世から迷ったのですか?ここは危険です……早く立ち去って」
「琵琶……貴方の琵琶は多くの人を癒やして元気づけます。貴方は音で皆を救います」
「……え?」
「私は、貴方が好きです……私は貴方に酷いことを言いました。謝りたいです……戻ってきて」
相手は本人であって、そうではないのに、紬は思わず言葉を吐いていた。
(彼の魂に会わせてーー)
願うと、突然抱えていた琵琶が仄かに光りだした。祠の先に不思議な光の道が現れる。
”<ーー紬よ……この先に向かえーー>”
女神の声が聞こえた気がした。その光に吸い込まれるように紬の意識は揺らぎ、その場にいる瑪瑙から離れていく。
「これは……」
『……ありがとう、過去の瑪瑙さん……』
手にしていた琵琶をそっと、瑪瑙に託すと。瑪瑙は静かにそれを受け取った。
「……僕はこの先、本当に番を得られるのですか?」
紬は、瑪瑙に微笑むと静かに頷いた。視線を一瞬交わすと、光の先を見つめて歩みだした。
徐々に眩しさが増していき、目を細めながら一歩踏み出すと、小雨が降り続いている静かで柔らかい、光の回廊が広がっていた。
その中央に、二つの影が立っている。
一つは、琥珀色の瞳で紬を真っ直ぐに見つめる男――琥珀。
そしてもう一つは赤い光の魂である、瑪瑙の姿だった。彼の姿は実態がなく、どこか儚く、光に溶けてしまいそうだった。
『お、来たか、紬』
『……紬さん』
『え、おじいちゃん?』
目の前にいるまだ若い祖父の姿に、紬は目を大きく見開いた。その姿は清らかさを放ち、白い蛇の鱗が顔に浮かんでいて、羽衣のようなものを纏い天女のようだった。
浮かんでいる赤い光から、声が静かに発せられた。
『……何故、僕を追って無茶なことを?』
瑪瑙の声は、光の回廊に淡く響く。
その響きには、怒りも喜びもなく、ただ諦めの色があった。
「もう……僕など見捨ててもよかったのに……貴女は自由です。こんな異形といなくても……」
胸の奥を刺すような冷たさに、紬の足は一瞬止まった。けれど次の瞬間、迷いを断ち切るように一歩踏み出し、
光に透ける瑪瑙の魂へと近づく。
「嫌!」
声が震え、瞳に涙が滲む。
「私は一緒にいたいです! 人じゃなくても……瑪瑙さんがいい」
瑪瑙の声が微かに震えた。
『僕は……貴女に酷いことをしたんですよ?力も弱い……』
紬は首を横に振り、微笑んだ。
『もう、大丈夫です……どんな瑪瑙さんでも、私は好き。だから……帰りましょう』
光の中で、その言葉が静かに瑪瑙の胸へ届く。
『……紬』
一瞬、彼の声が掠れた。
『そう言われたら……貴女を二度と離せなくなりますよ。それでもいいんですか?』
紬はためらいもなく、強く首を縦に振った。そのやり取りを見ていた琥珀が、ふっと口元を緩める。
『は~紬って、ほんと鈴に似てるわ。なんか、懐かしい』
光の回廊に、優しい温もりが満ちていく――。
紬はそっとその魂の光を抱き締め、頬を鱗に寄せた。
『私の番は瑪瑙さんだから……。皆が瑪瑙さんを心配してます。貴方はもう、なくてはならない人なんです』
雨の音に混じって、小さく瑪瑙の吐息が震える。
やがて彼の魂が蛇の姿になり、潤んだ赤褐色の瞳が紬を見つめた。
『紬、すみません。逃げて……僕は、自分の弱さに負けて……』
蛇の喉から絞り出すような声が、確かな決意を帯びる。
『もう……負けたくありません』
紬は微笑み、抱き締める腕に力を込めた。
雨はまだ降り続いていたが、二人の間には確かな温もりが戻っていた。お互いの温もりを確かめあった時、黒い瘴気の破片が数個、瑪瑙の魂の中から溢れ浄化された。
同時に瑪瑙の身体が淡く光に包まれ、細長い蛇の姿がほどけていく。やがて現れたのは、人の姿。
その腕が、ためらいもなく紬を引き寄せた。
『戻れた……紬、』
低く震える声と共に、瑪瑙は強く紬を抱きしめた。紬は、金木犀の香りを感じながら、ただその鼓動を確かめた。
少し離れた場所で、その様子を見ていた琥珀が口を開く。
『瑪瑙……もう消えようとするなよ。紬を頼んだぞ』
瑪瑙は頷き、紬を抱き締めたまま琥珀に向き直る。
『はい……大事にします。僕の番は、彼女しかいませんから』
紬は祖父に向かって微笑み、深く頭を下げた。
『おじいちゃん……瑪瑙さんを引き止めててくれて、ありがとう』
琥珀の瞳がやわらかく細まり、静かに言葉を返す。
『あぁ、助けなかったらほんと、どうなってたか。紬、幸せにな。瑪瑙は繊細だけど、誰よりも優しい奴だ。ま……思い込んだら一途すぎて、大変かもしれないが……』
紬は笑みを含んだ息をこぼし、瑪瑙の手を握りしめ呟いた。
『……ふふっ、私、瑪瑙さんと一緒に……生きる』
『あぁ、そうしろ。番は二人で一つだ。思いの絆が強いほど、どんなことも乗り越えられる』
やがて雨が上がり、天井から一筋の光が三人を包んだ。
それは再び繋がった絆の証のように、柔らかく降り注いでいた。
(力が抜けていく……)
思い起こすのは、様々な記憶ーー。幼い頃は、置いていかれたばかりの日々だった。ある時期になっても香りが目覚める事なく、虚無感を感じていた。ただ、人型を取り琵琶を奏でることしか取り柄がなかった。唯一演奏時は、そんな孤独感も、一瞬は忘れられていた。また、贄を喰らったあの感触も、今も覚えている。
弱かった自身の事ばかりが、心を侵食していく。
主がいなくなり、思うように琵琶を弾けなくなった時ーー蛇神として本来の姿でしか行動できなかった頃は、何の為に生きているのかと思えた。周りの仲間が消えていく時ーー。あのまま柘榴に殺されていたらよかったのではと、今では思う。人の世での温かな日々は夢であったと、沈む心に言い聞かせる。
番に会えたのは嬉しかった。ずっと会いたかった存在。だが、一方的な感情で傷つけた。もう、合わせる顔がない。
異形の姿のまま傷つけたのだから、彼女は自分を拒絶するだろう。このまま別れてよかったのだと、瑪瑙は心の中で言い聞かせた。
(……このまま、僕は終わるのですね)
薄れゆく意識の中で突然、懐かしい声が響いた。
『おい、瑪瑙……消えんじゃねぇよ!』
(……琥珀殿……?)
そこには、柘榴と戦う頃、鈴と恋仲になっていた時の懐かしい琥珀の姿があった。
『お前、紬を捨てるのか?唯一の番を置いて消えるのか?』
(もう…どうでもいいです。紬さんは、異形の僕といるより、普通の人としての人生を、歩むべきです)
『お前、見損なったぞ!紬は今、お前を探してここまで来てる』
(そんなはず……僕は瘴気に苛まれ、彼女を傷つけました。もう顔も見たくないはずです)
もはや、人に顕現することもできない。探しに来てくれたとしても、自分はもう彼女に、触れることすらできない。
また、ステージに立ち演奏をすることもできない。
”さっさと消えてしまえーー!!”罵倒する声が耳元に聞こえてくる。
(もう、眠らせてください……)
消えたいと意識を手放そうとしても、琥珀がそれを塞ぐように声を掛け続ける。
『なに弱気になってる!あいつはな、魂ごと、こっちに意識を飛ばしてきてる。お前のことを探しながら、必死に……お前には、分からないのか?」
琥珀の声は、静かに重く瑪瑙の心に響いた。
『瑪瑙、お前は紬の番だ!守るって決めたんじゃないのか?愛してるんじゃないのか?あいつの気持ち無視して、逃げるようなことするな!』
(僕は彼らに貶められるほど弱いというのに……)
呪いの瘴気を跳ね返せる力もないというのに、彼らを倒すことなどできるはずがないと思う。番に会えた時は、多少の自信を持つことができたが、それを上回るほど相手も強くなっていった。
自分が、白蛇の蛇神だったらと何度思ったことだろう。神聖さを身にまとう、誰もが憧れた孤高の存在を。
(自分も白蛇だったらと、幼い頃から思っていました……)
『その弱気は瘴気のせいか……?小さい時の威勢はどうした?誰よりも負けたくないって傷だらけになりながら、必死に鍛錬してただろ?」
(幼い頃のことなど……忘れました)
『実態があったら、俺は、お前を……殴ってる。瑪瑙、お前は人の世で、自分のやりたいこと見つけられたんだろ?消えるな!お前を待ってる奴らがいっぱいいる』
その言葉に思い出すのは、自分を支えてくれている人々。自らの演奏を聴いてくれる人々。そして、大事な番である彼女。
(……っ。できるのでしょうか……もう一度戻るなど)
***
紬の目に映る情景が、万華鏡のように変化していた。時が進み、少年だった瑪瑙は青年へと成長していた。その姿は、今の瑪瑙に酷似しているものの、どこか儚げな雰囲気を纏っている。
白と朱を基調とした神衣に身を包み、微かな神気を揺らすその背は、焚かれた灯の明かりに照らされながら、無数の文献に囲まれていた。
静かな神域の奥、木組みの書架に囲まれた小部屋。そこに、瑪瑙は膝をつき、積まれた古文書を一心にめくっていた。
「贄により力を得て、神は威を増す……。蛇神独自の香りが立つ頃、人里の村より一人の贄を選び、番となす……」
低く呟くその声は、熱を抑えきれない焦りが滲んでいる。書物をめくる指が止まると、瑪瑙はゆっくり顔を伏せた。
「……まだ、僕には香りがない」
声は震え、彼の瞳はどこか揺れていた。
「周りは皆、村の贄を持ち、蛇神として役目を果たしているというのに……」
未だ香りがなく、贄という番を持てない苛立ちがどこか滲み出ているようだ。近くにある琵琶を手に取り、弦を軽く鳴らす。
「僕は……やはり、不完全だ。音だけを奏でられても、何の意味もない……」
紬はただ静かに瑪瑙を見つめていた。手を伸ばせば、届きそうな距離にいるのに。意識だけのせいか、最初の時のように触れることはできない。胸が強く締め付けられた。
(こんなに頑張って……孤独に耐えて、ずっと貴方は香りが出ないことを気にしていたんですね)
先の未来では、自分の傍で微笑んでくれた彼。けれどそれまでの人生で、どれほどの苦しみを積み重ねてきたのか。
「琥珀殿が……羨ましい。憎いくらいに……周りが羨ましい。このまま、私は終わるのか……」
(こんな悲しい姿、見たくない……)
瞳をぎゅっと瞑ると、水琴窟の音が再び谺し、情景がまた変わった。
近くで、女性の震える声が聞こえる。
「……」
『贄、を喰らえば力が得られる……貴女には悪いですが、この私に捧げられてた以上、諦めてください』
「い……や!」
赤い蛇の胴体がぐるりと、彼女に巻き付いていき大きな口を開けたと同時に、一口で飲み込んでいく。
(ひっ……!!)
飲み込まれながら骨が軋み砕ける音と、瑪瑙の口から血が零れていく。血の臭いに紬は気を悪くし、倒れ込む。
できればこの光景は見たくなかった。
『これで、力が……皆に追いつける。香りもきっと持てる……』
腹を膨らませながら、その場から赤い蛇は去っていった。紬はその場で怯えながら、再び目を瞑った。
目を開けると、そこには巨石の上で蹲っている赤い蛇がいた。
『もう何日か経ったのに、力が強くなる気配もない。香りも発しない……』
じっとしていると、数匹の蛇が瑪瑙の前に歩み寄り、言葉を告げる。
『瑪瑙、香りもないのに贄なんて持ったのか?』
『すぐに喰ったんだって?馬鹿じゃないのか。贄は僕達にとって力を増す祈りの象徴だぞ』
『香りがないのに、村を任されたなんて誰の配慮だ?主か?』
周りに詰め寄られながら、瑪瑙は身を震わせ言葉を発した。
『柘榴様が、空きがあるから私に譲ってくださったんです。喰らえば力が得られると……』
『柘榴様が?お前、やけに柘榴様に気に入られてるな』
『お前、力が弱いからって柘榴様に媚びるなよ』
『……そんなこと……しませんよ』
雄蛇たちは、ほぼ柘榴の虜になっているかのように、瑪瑙が彼女の名を口にすることに嫉妬の目を向けた。瑪瑙はただ視線を外し地面に頭を垂れた。誰もいなくなった空間の中、人型になると自身の部屋に籠もり琵琶を奏でだす。
どこか聞き覚えのあるあの曲のフレーズだと思った。
(落涙だ……)
曲の合間に思考を巡らせるかのように、瑪瑙が静かに語りだす。
「……皆、柘榴様に執着しだしている。主様は最近、琥珀殿のもとへ行っているようだ……雌蛇が消えていっているようだし、何が起きているというのか……」
瑪瑙が琵琶の音を奏でていると、扉を叩く音がした。扉を開けると、二人の女性達が泣きながら、彼のもとを訪ねてきた。
「ごめんなさい、瑪瑙……少しだけここにいさせて」
「私達、贄に捨てられたの……自分たちより、人間の女がいいって」
「そう……人間に捨てられたのですか……種族が違う者と心を通わせようなど、難しいのです。そんなに恋い焦がれるものなのですが?贄というのは……」
「……」
「とりあえず、中へ……」
部屋に招き入れると、雌蛇達は悲しい、辛いという言葉をしばらく放ちながら涙に暮れていた。話を続けているうちに、女たちは互いに目を見つめ、彼に少しずつ歩み寄る。
「ねぇ……瑪瑙、悲しい。お願い、慰めて……」
「っ、何を!!」
一人の女性が瑪瑙の着物に手を添え、突然抱きついた。その行動に瑪瑙は素早く身を剥がす。まるで拒絶するかのように。もう一人の女も彼に縋ろうと身を寄せたが、瑪瑙は苛立ちの表情を浮かべ顔を背ける。
「辛いからといって、私を利用するのはやめてください!貴女達を哀れんで、絡み合うつもりはありません」
境界線を引くかのように、瑪瑙は二人を冷たい言葉で制した。向けられた鋭い視線に、彼女たちは身を震わせ、静かに声を発した。
「……ごめんなさい。つい、魔が差して。戻ってきたら、仲間の雌蛇達がいないし……怖いの」
「私達も、いずれ消されるんじゃないかって不安で……助けてほしくて」
「それなら、主様に相談すれば何とかしてくれるはず。私が掛け合ってみます」
「……ありがとう、心強いわ」
瑪瑙は再び琵琶を手に取ると、静かに奏でだした。まるで二人をそっと元気づけるかのように。その音色は温かさを纏うかのように、美しく部屋に響いた。傍にいる二人はじっと曲が終わるまで、彼の演奏を見つめていた。
曲が終わると、一人の女性が声を発した。
「瑪瑙の音色って力が宿るみたいね……」
「本当に、心が動かされるみたい。力がないって思っていたけど、音に神気が宿るような……」
「……そうですか。元気になってくれたならよかった」
二人は立ち上がり、瑪瑙の部屋を静かに出ていった。どこに向かうのかはわからないが、姿が見えなくなるまで瑪瑙は静かに二人の背を見つめていた。
「音に神気……か」
言葉を吐くと、顕現を解き蛇の姿になった。音に神気が宿るーー?紬は思った。ライブにいたファンが曲を聞くと元気になると言っていたことに。彼の力は音に宿るのではと思った。交信にて聞かせてくれた音にも、すぐに眠りに付けたりと、沈んだ気持ちを落ち着かせてくれる不思議な気を感じていた。
(ーーー紬さん)
浮かぶのは自分を呼ぶ優しい声。あの花の香りに包まれたい。彼をなんとしても見つけなければ。紬は瞳を閉じ祈った。番なら必ず彼のもとに辿り着ける。そう信じてーー。
***
何度目かの情景が変わり、降りしきる雨の中、磐座の小さな祠が目の前に浮かぶ。そこには琵琶が置かれていた。
これは、彼の主である弁財天のものだと紬は思った。
『柘榴様、これからは貴女がこの聖域の主……』
『翡翠、……琥珀は私のもとに戻るかしら?琥珀の贄を殺せたし、主も喰い殺した……これで、戻るわよね』
『……えぇ、きっと……』
蛇の姿の二匹が語りながら、その場を後にしていた。柘榴が弁財天を殺したーー?おまけに、祖父の贄まで?彼女の残虐さに、紬は恐ろしさと怒りを感じた。
しばらくその場に留まり続けていると、他の蛇たちが人型を取り、声をあげて近づいてくるのがわかった。
「ここにも主はいないか?」
「この聖域にはもういないのか?」
「俺達はこれからどうなるんだーー?」
皆、この聖域の要である主を失い動揺しているようだった。紬は祠の琵琶に手を伸ばして触れた。
その時だったーー。
「お前、何者だ?その琵琶に触れるとは……」
『!!あ』
見えないはずなのに、目の前の男は自分を捉えるかのように視線を向けていた。どうすればいいのかわからないまま、紬は目を瞑った。
「すみません……私」
「人間……どうしてこの場所に?それに……その琵琶は、人には触れられないはず。貴女はいったい……」
「おい、瑪瑙。何かいたのか!!」
背の高い大きな男が近づいてくるのがわかった。見つかれば、何をされるかわからない。紬は、恐怖のあまり琵琶を抱えたまま、身を震わせた。その瞬間、彼の手に包まれ、瞬時に岩陰に身を隠されたのがわかった。
「静かにしていてください……」
「……」
「何か見つけたか?」
「珊瑚殿、いえ、何もありません。先に戻っていてください」
「そうか……」
大きな男は一言呟くと、その場から離れていった。紬は黙ったまま、彼の鼓動を感じていた。だが、香りを感じることはない。それでも、彼だという温もりを感じ、思わず涙が溢れた。一筋の涙を流しながら、絞り出すように声を発する。
「瑪瑙さん……帰ってきて」
「……何故私の名を。貴女はいったい誰ですか?」
「私は貴方の番……私もう、貴方を悲しませない……」
「何を馬鹿な……番など、香りもない自分には、現れるはずありません」
いけないと紬は思った。過去の場で番のことを話すなど、未来を変えてしまうことになるかもしれない。それだけは駄目だと思った。
「すみません……」
「人の世から迷ったのですか?ここは危険です……早く立ち去って」
「琵琶……貴方の琵琶は多くの人を癒やして元気づけます。貴方は音で皆を救います」
「……え?」
「私は、貴方が好きです……私は貴方に酷いことを言いました。謝りたいです……戻ってきて」
相手は本人であって、そうではないのに、紬は思わず言葉を吐いていた。
(彼の魂に会わせてーー)
願うと、突然抱えていた琵琶が仄かに光りだした。祠の先に不思議な光の道が現れる。
”<ーー紬よ……この先に向かえーー>”
女神の声が聞こえた気がした。その光に吸い込まれるように紬の意識は揺らぎ、その場にいる瑪瑙から離れていく。
「これは……」
『……ありがとう、過去の瑪瑙さん……』
手にしていた琵琶をそっと、瑪瑙に託すと。瑪瑙は静かにそれを受け取った。
「……僕はこの先、本当に番を得られるのですか?」
紬は、瑪瑙に微笑むと静かに頷いた。視線を一瞬交わすと、光の先を見つめて歩みだした。
徐々に眩しさが増していき、目を細めながら一歩踏み出すと、小雨が降り続いている静かで柔らかい、光の回廊が広がっていた。
その中央に、二つの影が立っている。
一つは、琥珀色の瞳で紬を真っ直ぐに見つめる男――琥珀。
そしてもう一つは赤い光の魂である、瑪瑙の姿だった。彼の姿は実態がなく、どこか儚く、光に溶けてしまいそうだった。
『お、来たか、紬』
『……紬さん』
『え、おじいちゃん?』
目の前にいるまだ若い祖父の姿に、紬は目を大きく見開いた。その姿は清らかさを放ち、白い蛇の鱗が顔に浮かんでいて、羽衣のようなものを纏い天女のようだった。
浮かんでいる赤い光から、声が静かに発せられた。
『……何故、僕を追って無茶なことを?』
瑪瑙の声は、光の回廊に淡く響く。
その響きには、怒りも喜びもなく、ただ諦めの色があった。
「もう……僕など見捨ててもよかったのに……貴女は自由です。こんな異形といなくても……」
胸の奥を刺すような冷たさに、紬の足は一瞬止まった。けれど次の瞬間、迷いを断ち切るように一歩踏み出し、
光に透ける瑪瑙の魂へと近づく。
「嫌!」
声が震え、瞳に涙が滲む。
「私は一緒にいたいです! 人じゃなくても……瑪瑙さんがいい」
瑪瑙の声が微かに震えた。
『僕は……貴女に酷いことをしたんですよ?力も弱い……』
紬は首を横に振り、微笑んだ。
『もう、大丈夫です……どんな瑪瑙さんでも、私は好き。だから……帰りましょう』
光の中で、その言葉が静かに瑪瑙の胸へ届く。
『……紬』
一瞬、彼の声が掠れた。
『そう言われたら……貴女を二度と離せなくなりますよ。それでもいいんですか?』
紬はためらいもなく、強く首を縦に振った。そのやり取りを見ていた琥珀が、ふっと口元を緩める。
『は~紬って、ほんと鈴に似てるわ。なんか、懐かしい』
光の回廊に、優しい温もりが満ちていく――。
紬はそっとその魂の光を抱き締め、頬を鱗に寄せた。
『私の番は瑪瑙さんだから……。皆が瑪瑙さんを心配してます。貴方はもう、なくてはならない人なんです』
雨の音に混じって、小さく瑪瑙の吐息が震える。
やがて彼の魂が蛇の姿になり、潤んだ赤褐色の瞳が紬を見つめた。
『紬、すみません。逃げて……僕は、自分の弱さに負けて……』
蛇の喉から絞り出すような声が、確かな決意を帯びる。
『もう……負けたくありません』
紬は微笑み、抱き締める腕に力を込めた。
雨はまだ降り続いていたが、二人の間には確かな温もりが戻っていた。お互いの温もりを確かめあった時、黒い瘴気の破片が数個、瑪瑙の魂の中から溢れ浄化された。
同時に瑪瑙の身体が淡く光に包まれ、細長い蛇の姿がほどけていく。やがて現れたのは、人の姿。
その腕が、ためらいもなく紬を引き寄せた。
『戻れた……紬、』
低く震える声と共に、瑪瑙は強く紬を抱きしめた。紬は、金木犀の香りを感じながら、ただその鼓動を確かめた。
少し離れた場所で、その様子を見ていた琥珀が口を開く。
『瑪瑙……もう消えようとするなよ。紬を頼んだぞ』
瑪瑙は頷き、紬を抱き締めたまま琥珀に向き直る。
『はい……大事にします。僕の番は、彼女しかいませんから』
紬は祖父に向かって微笑み、深く頭を下げた。
『おじいちゃん……瑪瑙さんを引き止めててくれて、ありがとう』
琥珀の瞳がやわらかく細まり、静かに言葉を返す。
『あぁ、助けなかったらほんと、どうなってたか。紬、幸せにな。瑪瑙は繊細だけど、誰よりも優しい奴だ。ま……思い込んだら一途すぎて、大変かもしれないが……』
紬は笑みを含んだ息をこぼし、瑪瑙の手を握りしめ呟いた。
『……ふふっ、私、瑪瑙さんと一緒に……生きる』
『あぁ、そうしろ。番は二人で一つだ。思いの絆が強いほど、どんなことも乗り越えられる』
やがて雨が上がり、天井から一筋の光が三人を包んだ。
それは再び繋がった絆の証のように、柔らかく降り注いでいた。
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