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ラスペラスとの決戦編
第166話 セバスチャン無双
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「アトラス殿! ゴーレム相手だとボウガンの効き目が薄いでござる! しかも足などを粉砕しても再生するでござる!」
「ズルくね!? チートだろ!」
俺は軍の部隊を指揮して、ラスペラス軍と戦っている。
代表戦が始まったので挨拶代わりにボウガンを一斉にぶっ放し、ゴーレムたちに損害を与えたのだが……足などを粉砕しても再生されてしまう。
「ええい! カーマ! ゴーレムの弱点は!?」
「構成されてるものによるとしか……そもそもこんな大軍のゴーレム、これまでで存在したことないよ!」
カーマが悲鳴をあげる。くそぉ! 再生怪人が千体くらい群れてるようなもんじゃねぇか!
回復能力持ちのザコとかゲーム的に一番嫌がられるんだぞ!
……いや落ち着け。あいつらをゴーレムと考えるからいけないんだ。
再生能力つきのゾンビと考えれば多少は……いやもっときついわ!
「敵のうわきつ女王などの動きは?」
「後方で見物してますぞ。今のところは、特に何か仕掛けてくる様子はありませんぞ!」
セバスチャンが双眼鏡を覗きながら告げてくる。
なるほど、ゴーレムに任せて高みの見物ってか!
「おーっほっほ。我がゴーレム軍をどう相手どるのかしらぁ!」
女王の声が戦場に木霊する。拡声魔法か何か使っているのだろう。
大音量でうわきつの声を聞かされるとか、新手のテロだなくそっ!
だが確かにこいつは厄介だ。俺達としては少しでもムダな力を使わず、女王を相手取りたい。
対してゴーレムは再生能力によって、ムダな力を使わせることに長けている。
ボウガンの弾も無限ではないし、そもそも効果も薄い。だがカーマたちの魔法を浪費させるのも……。
「くそっ! いきなり計算が狂わされたか……仕方ない、俺が」
「アトラス様……ここはこのセバスチャンにお任せを」
俺がゴーレムを何とかしようと考えていると、セバスチャンが俺に頭を下げてくる。
……いくら何でも無理だろ。忘れがちというか嘘くさいが、これでもセバスチャンは非戦闘員である。
いや実際の戦闘力はドラゴン以上だが、それでも非戦闘員である。
少なくとも大軍相手に対しての火力など持っていないはずだ。
だがセバスチャンはいたって真面目な顔で、こちらを見つめてくる。
「アトラス様のお力は、女王相手に取っておくべきですぞ……このセバスチャン、死に場所を見つけました」
「いやこんなところで死なれても困るんだが……それにあのゴーレムを何とかする手段がないだろ」
セバスチャンが全身に鎧を装備して体当たり仕掛けたら、ゴーレム軍相手でも結構損害を与えられる気はする。
だがそれで倒せるのはせいぜい百体ほどだ。いや十分化け物レベルではあるのだが……。
「アトラス様、お忘れですか? このセバスチャン、唯一無二の誇りがあります」
そう言いながらゴーレム軍に突っ込んでいくセバスチャン。
ちょっ!? 許可も出してないのに勝手に突っ込むな!? 相手はゴーレムなんだぞ!?
体当たりして壊しても再生されるしムダでしかない!
そんな俺の懸念を否定するように、セバスチャンはバズーカ砲を手元に出現させた。
「このセバスチャンのみ与えられたお力! アトラス様の魔法に近き力! ここで使わず、いつ使うと言うのですぞ!」
セバスチャンがバズーカ砲をゴーレムに向けて撃ちこむ。
その弾頭はゴーレムの一体に直撃し爆発。その爆風は周囲にいた数体を巻き添えにした。
木で作られたゴーレムは粉微塵、僅かに残った破片も燃えている。
あれでは流石に再生は不可能だろう。
……そういえばセバスチャンに【異世界ショップ】の購入権を与えていたなぁ!?
でもあいつ、アンパンすら自分で買わなかったから完全に忘れてた!
「このセバスチャン! アトラス様の戦い方を真似させて頂きますぞ!」
セバスチャンは大型トラックを出現させて、運転席に乗り込んだ。
そしてトラックを発進させて爆走、ゴーレムを跳ねて引き潰しながら敵軍の中央付近まで移動。
「おおおおおおぉぉぉぉぉ!」
セバスチャンはトラックを爆走させたまま、運転席から飛び降りる!?
そして飛び降りた態勢のまま、トラックにバズーカ砲を撃ちこむ! 大爆発するトラックが、周囲のゴーレムを巻き込んで爆散!
セバスチャンはしばらく地面から転がった後、何事もなかったかのように立ち上がる。
「これぞアトラス様のお力のほんの一端ですぞ!」
断言するが俺にそんな力はない……暴走中のトラックから飛び降りれません。
更にセバスチャンは両手でバズーカ砲を構えて撃つ。
撃った瞬間にバズーカ砲を捨てて、即座に再度手元にバズーカ砲を出現させる。発射して更に捨てて発射して捨てて発射して……。
もはや拳銃連射のノリでバズーカ砲の弾丸が飛んでいき、ゴーレムが哀れに爆発していく……。
「これぞアトラス様直伝の奥義ですぞ!」
そんな奥義知りません。というか俺絶対できません。
バズーカ砲を片手で撃てないし、仮に両手で撃ってもあれだけ連射したら腕死ぬ。
「ね、ねぇ……セバスチャンさんの武器、あなたと同じやつなんだよね……?」
カーマが俺の服を引っ張りながら、セバスチャン無双を眺めている。
「カーマよ。武器ってのは人間が使うものなんだ。化け物が使えてしまったらああもなる」
「とうとうセバスチャンさんのことを化け物扱いした!」
同じ武器のはずなんですよ。使い手がおかしいせいで、人の形をした重火器砲台みたいになってるけど。
更にセバスチャン、今度は手りゅう弾を四方八方に投げまくる。
レーザービームもかくやの強肩から放たれた手りゅう弾は、ゴーレムの外殻を貫通して体内に侵入。そして爆散する。
……もう手りゅう弾をバズーカで撃ってるのと変わらん。
「ちょっ!? 何よあれぇ!? 意味不明なんですけどぉ!? 化け物なんですけどぉ!?」
うわきつ女王の驚いた声が戦場に木霊する。大丈夫だ、俺達も意味不明だから……。
もうセバスチャンがやりたい放題過ぎて、常時爆発音聞こえるもん。
あっ、小型トラックまで出して投げ飛ばし始めた。
「このセバスチャン! アトラス様のお力で勝利を!」
セバスチャンの化け物じみた働きによって、ゴーレム軍はすでに半壊している。
それをフォルン軍一同茫然と見ていた。
「や、やべぇ……なんだあの化け物」
誰かがぽつりと呟いた。それに激しく同意してしまう。
化け物に現代兵器を与えてはいけない……もうこれただの殺戮兵器……。
いやうわきつ女王まじグッジョブ……敵がゴーレムでよかったよ……。
俺達は、いや敵軍の女王たちもセバスチャンの暴れっぷりをただ見ていた。
「ふぅ……これぞアトラス様のお力! 思い知るですぞ! ラスペラス国よ!」
戦場のど真ん中で叫ぶセバスチャン。彼の前にゴーレム軍はほぼほぼ全滅した。
「もうセバスチャンさん一人で勝てない?」
「同意」
俺もカーマとラークの言葉に激しく同意だ。後はセバスチャンに全て任せて……。
『やめておいたほうがいいよ! セバスチャンさん、本当に死んじゃうよ!?』
ミーレの警告が頭の中に響く。死ぬのは敵軍のほうでは……?
セバスチャンが負けるとは全く思えないんだが……。
『だってセバスチャンさん、命を削って買い物し続けてるんだよ!?』
そうかそうか、命を削って……へ?
『アトラス以外が【異世界ショップ】で買い物するなら、お金じゃ物は買えないんだよ! 命削って買うしかない!』
ミーレの言葉に戦慄する。
いやそんなの初耳なんですけど!? 何で言わなかったんだよ!?
『だってセバスチャンさんが言わなかっただもん! 私、ちゃんと彼には伝えたよ!? お金じゃ買えないよって!』
俺の脳内叫びにミーレが返事をする。
…………そういえば、セバスチャンは自分以外に買い物の権利を与えるなと言った。
迂闊に手渡しては危険だからと思っていたが……もしや代償がでかすぎるからかっ!?
命かけてるのにあんなバカスカ撃ってたのか!? 嘘だろ!?
「セバスチャン! お前もういい下がれ!」
俺は拡声器を使ってセバスチャンに呼びかける。
だがセバスチャンはこちらに振り向いて、にっこりと笑みを浮かべると。
「アトラス様! このセバスチャン! ここで散りゆくつもりで戦いまするぞ!」
「いやマジで散るからやめろ! とりあえずゴーレム軍粉砕したから、もう買い物するな! 後は全て俺の計算内だから! もう本当使わないで!?」
「……承知しましたぞ!」
…………嘘だろ。あれだけ好き放題やってたのに命削ってたとか……。
セバスチャンはもう六十歳。この中世世界の寿命から考えても、もう長く生きられないはずだ。
それが寿命を削るなんて……。
「ミーレ。セバスチャンはどれくらい寿命を削った? 後何年生きられる?」
確かに絶対に勝つ必要のある戦いだ。
だがこんなところで残り少ない寿命を削るなんて、何を考えているんだ!
『寿命を十年分もらったよ』
ミーレの言葉が重くのしかかる。十年……つまりセバスチャンは、七十まで生きられたとしてももう死ぬ計算になる。
やってしまった……セバスチャンが異世界ショップの力を使わなかったのを、もっとちゃんと考えておけば……。
『なので後、五十年しか生きられないね』
そうか。後たったの五十年しか………………ん? 五十年? 五年じゃなくて?
『元々百二十歳まで生きる計算だからね。ちなみにフォルン領が豊かになったから、更に寿命どんどん延びてるよ』
そこらの十代より生きられるのでは?
…………もう一回くらい、セバスチャン切り札にしてもいいかな?
「ズルくね!? チートだろ!」
俺は軍の部隊を指揮して、ラスペラス軍と戦っている。
代表戦が始まったので挨拶代わりにボウガンを一斉にぶっ放し、ゴーレムたちに損害を与えたのだが……足などを粉砕しても再生されてしまう。
「ええい! カーマ! ゴーレムの弱点は!?」
「構成されてるものによるとしか……そもそもこんな大軍のゴーレム、これまでで存在したことないよ!」
カーマが悲鳴をあげる。くそぉ! 再生怪人が千体くらい群れてるようなもんじゃねぇか!
回復能力持ちのザコとかゲーム的に一番嫌がられるんだぞ!
……いや落ち着け。あいつらをゴーレムと考えるからいけないんだ。
再生能力つきのゾンビと考えれば多少は……いやもっときついわ!
「敵のうわきつ女王などの動きは?」
「後方で見物してますぞ。今のところは、特に何か仕掛けてくる様子はありませんぞ!」
セバスチャンが双眼鏡を覗きながら告げてくる。
なるほど、ゴーレムに任せて高みの見物ってか!
「おーっほっほ。我がゴーレム軍をどう相手どるのかしらぁ!」
女王の声が戦場に木霊する。拡声魔法か何か使っているのだろう。
大音量でうわきつの声を聞かされるとか、新手のテロだなくそっ!
だが確かにこいつは厄介だ。俺達としては少しでもムダな力を使わず、女王を相手取りたい。
対してゴーレムは再生能力によって、ムダな力を使わせることに長けている。
ボウガンの弾も無限ではないし、そもそも効果も薄い。だがカーマたちの魔法を浪費させるのも……。
「くそっ! いきなり計算が狂わされたか……仕方ない、俺が」
「アトラス様……ここはこのセバスチャンにお任せを」
俺がゴーレムを何とかしようと考えていると、セバスチャンが俺に頭を下げてくる。
……いくら何でも無理だろ。忘れがちというか嘘くさいが、これでもセバスチャンは非戦闘員である。
いや実際の戦闘力はドラゴン以上だが、それでも非戦闘員である。
少なくとも大軍相手に対しての火力など持っていないはずだ。
だがセバスチャンはいたって真面目な顔で、こちらを見つめてくる。
「アトラス様のお力は、女王相手に取っておくべきですぞ……このセバスチャン、死に場所を見つけました」
「いやこんなところで死なれても困るんだが……それにあのゴーレムを何とかする手段がないだろ」
セバスチャンが全身に鎧を装備して体当たり仕掛けたら、ゴーレム軍相手でも結構損害を与えられる気はする。
だがそれで倒せるのはせいぜい百体ほどだ。いや十分化け物レベルではあるのだが……。
「アトラス様、お忘れですか? このセバスチャン、唯一無二の誇りがあります」
そう言いながらゴーレム軍に突っ込んでいくセバスチャン。
ちょっ!? 許可も出してないのに勝手に突っ込むな!? 相手はゴーレムなんだぞ!?
体当たりして壊しても再生されるしムダでしかない!
そんな俺の懸念を否定するように、セバスチャンはバズーカ砲を手元に出現させた。
「このセバスチャンのみ与えられたお力! アトラス様の魔法に近き力! ここで使わず、いつ使うと言うのですぞ!」
セバスチャンがバズーカ砲をゴーレムに向けて撃ちこむ。
その弾頭はゴーレムの一体に直撃し爆発。その爆風は周囲にいた数体を巻き添えにした。
木で作られたゴーレムは粉微塵、僅かに残った破片も燃えている。
あれでは流石に再生は不可能だろう。
……そういえばセバスチャンに【異世界ショップ】の購入権を与えていたなぁ!?
でもあいつ、アンパンすら自分で買わなかったから完全に忘れてた!
「このセバスチャン! アトラス様の戦い方を真似させて頂きますぞ!」
セバスチャンは大型トラックを出現させて、運転席に乗り込んだ。
そしてトラックを発進させて爆走、ゴーレムを跳ねて引き潰しながら敵軍の中央付近まで移動。
「おおおおおおぉぉぉぉぉ!」
セバスチャンはトラックを爆走させたまま、運転席から飛び降りる!?
そして飛び降りた態勢のまま、トラックにバズーカ砲を撃ちこむ! 大爆発するトラックが、周囲のゴーレムを巻き込んで爆散!
セバスチャンはしばらく地面から転がった後、何事もなかったかのように立ち上がる。
「これぞアトラス様のお力のほんの一端ですぞ!」
断言するが俺にそんな力はない……暴走中のトラックから飛び降りれません。
更にセバスチャンは両手でバズーカ砲を構えて撃つ。
撃った瞬間にバズーカ砲を捨てて、即座に再度手元にバズーカ砲を出現させる。発射して更に捨てて発射して捨てて発射して……。
もはや拳銃連射のノリでバズーカ砲の弾丸が飛んでいき、ゴーレムが哀れに爆発していく……。
「これぞアトラス様直伝の奥義ですぞ!」
そんな奥義知りません。というか俺絶対できません。
バズーカ砲を片手で撃てないし、仮に両手で撃ってもあれだけ連射したら腕死ぬ。
「ね、ねぇ……セバスチャンさんの武器、あなたと同じやつなんだよね……?」
カーマが俺の服を引っ張りながら、セバスチャン無双を眺めている。
「カーマよ。武器ってのは人間が使うものなんだ。化け物が使えてしまったらああもなる」
「とうとうセバスチャンさんのことを化け物扱いした!」
同じ武器のはずなんですよ。使い手がおかしいせいで、人の形をした重火器砲台みたいになってるけど。
更にセバスチャン、今度は手りゅう弾を四方八方に投げまくる。
レーザービームもかくやの強肩から放たれた手りゅう弾は、ゴーレムの外殻を貫通して体内に侵入。そして爆散する。
……もう手りゅう弾をバズーカで撃ってるのと変わらん。
「ちょっ!? 何よあれぇ!? 意味不明なんですけどぉ!? 化け物なんですけどぉ!?」
うわきつ女王の驚いた声が戦場に木霊する。大丈夫だ、俺達も意味不明だから……。
もうセバスチャンがやりたい放題過ぎて、常時爆発音聞こえるもん。
あっ、小型トラックまで出して投げ飛ばし始めた。
「このセバスチャン! アトラス様のお力で勝利を!」
セバスチャンの化け物じみた働きによって、ゴーレム軍はすでに半壊している。
それをフォルン軍一同茫然と見ていた。
「や、やべぇ……なんだあの化け物」
誰かがぽつりと呟いた。それに激しく同意してしまう。
化け物に現代兵器を与えてはいけない……もうこれただの殺戮兵器……。
いやうわきつ女王まじグッジョブ……敵がゴーレムでよかったよ……。
俺達は、いや敵軍の女王たちもセバスチャンの暴れっぷりをただ見ていた。
「ふぅ……これぞアトラス様のお力! 思い知るですぞ! ラスペラス国よ!」
戦場のど真ん中で叫ぶセバスチャン。彼の前にゴーレム軍はほぼほぼ全滅した。
「もうセバスチャンさん一人で勝てない?」
「同意」
俺もカーマとラークの言葉に激しく同意だ。後はセバスチャンに全て任せて……。
『やめておいたほうがいいよ! セバスチャンさん、本当に死んじゃうよ!?』
ミーレの警告が頭の中に響く。死ぬのは敵軍のほうでは……?
セバスチャンが負けるとは全く思えないんだが……。
『だってセバスチャンさん、命を削って買い物し続けてるんだよ!?』
そうかそうか、命を削って……へ?
『アトラス以外が【異世界ショップ】で買い物するなら、お金じゃ物は買えないんだよ! 命削って買うしかない!』
ミーレの言葉に戦慄する。
いやそんなの初耳なんですけど!? 何で言わなかったんだよ!?
『だってセバスチャンさんが言わなかっただもん! 私、ちゃんと彼には伝えたよ!? お金じゃ買えないよって!』
俺の脳内叫びにミーレが返事をする。
…………そういえば、セバスチャンは自分以外に買い物の権利を与えるなと言った。
迂闊に手渡しては危険だからと思っていたが……もしや代償がでかすぎるからかっ!?
命かけてるのにあんなバカスカ撃ってたのか!? 嘘だろ!?
「セバスチャン! お前もういい下がれ!」
俺は拡声器を使ってセバスチャンに呼びかける。
だがセバスチャンはこちらに振り向いて、にっこりと笑みを浮かべると。
「アトラス様! このセバスチャン! ここで散りゆくつもりで戦いまするぞ!」
「いやマジで散るからやめろ! とりあえずゴーレム軍粉砕したから、もう買い物するな! 後は全て俺の計算内だから! もう本当使わないで!?」
「……承知しましたぞ!」
…………嘘だろ。あれだけ好き放題やってたのに命削ってたとか……。
セバスチャンはもう六十歳。この中世世界の寿命から考えても、もう長く生きられないはずだ。
それが寿命を削るなんて……。
「ミーレ。セバスチャンはどれくらい寿命を削った? 後何年生きられる?」
確かに絶対に勝つ必要のある戦いだ。
だがこんなところで残り少ない寿命を削るなんて、何を考えているんだ!
『寿命を十年分もらったよ』
ミーレの言葉が重くのしかかる。十年……つまりセバスチャンは、七十まで生きられたとしてももう死ぬ計算になる。
やってしまった……セバスチャンが異世界ショップの力を使わなかったのを、もっとちゃんと考えておけば……。
『なので後、五十年しか生きられないね』
そうか。後たったの五十年しか………………ん? 五十年? 五年じゃなくて?
『元々百二十歳まで生きる計算だからね。ちなみにフォルン領が豊かになったから、更に寿命どんどん延びてるよ』
そこらの十代より生きられるのでは?
…………もう一回くらい、セバスチャン切り札にしてもいいかな?
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