【異世界ショップ】無双 ~廃絶直前の貴族からの成り上がり~

クロン

文字の大きさ
207 / 220
イレイザー最終決戦編

第195話 フォルン領艦隊爆誕

しおりを挟む

 俺達は最新鋭の戦艦……ではなくて、戦艦大和級の戦艦が十、更に空母が五隻の艦隊プラス一隻で海へ繰り出していた。

 操縦技術は【異世界ショップ】から購入している。今の俺はフォルン領通貨で所持金無限だからな!

 対イレイザーに必要なものだけだが、いくらでも好きなだけ購入できるのだ!

 最新鋭の戦艦はメンテナンスが無理だろうと判断し、かろうじてできそうなものにしたのだ。

 俺がそのうちの一隻の戦艦で甲板で海風に当たっていると、フォルン領兵がひとり甲板に出てきた。

 フォルン領兵士たちも海にようやく慣れたようで、たまに海に吐きながら働いている。

 大丈夫だ、あいつらは地上だろうが海上だろうが戻すのには慣れている。

「……おええぇ! よし! 口直しに酒飲むか!」

 少し元気になって船内に戻っていくフォルン領兵士。

 なんで船酔いしてるのに更に酒飲んで二重に酔おうとするんだろうな。

 マイナスにマイナスかけてもプラスにはならんぞ。

 まあそんなこんなで船を動かして海には出れたので、砲撃訓練とか開始することにした。

 もちろんこの砲弾なども全て経費……じゃなかった、フォルン領通貨で支払える!

 いや本当いいな! 無料ってのが素晴らしい!

 ちなみにここからは内緒話なのだが、イレイザーを倒したらこの戦艦たちはフォルン領の艦隊として残すつもりだ。

 全て無料で手に入れてコトが終わったらもらい受ける! なんと素晴らしいことか!

『ちょっ!? それズルくない!?』
 
 脳内にミーレの悲鳴が聞こえてくるが知らない。

 これは正当な報酬である。ついでに弾薬とか油も予備扱いで大量に購入しておく!

 セコイ気もするが許して欲しい。これにはとある事情もあってだね……。

「アトラス様! ライニール殿からの手紙はもう読まれましたぞ!? ベフォメット国はフォルン領がイレイザーと戦っている間に!」
「安心しろセバスチャン、もう読んだ」

 船内から甲板に飛び込んできたセバスチャンに軽く返す。

 ライニールさんからの手紙、そこにはベフォメットが進軍することが確定したと記載されてあった。

 俺達がイレイザーと戦っている間に、レスタンブルク国の領地を奪えるだけ奪うつもりなのだ。

 あまりに卑劣! 人間の風上にもおけないやろうだ! 

 まあフォルン領は立地的に奪われないだろうが、それでも本当にクズだと思う。

 なのでイレイザーとの決着がついた後は、この艦隊でベフォメットに攻める。

 陸からずっと砲撃してやるし、艦載機での空爆もやってやる。

 最低でもあいつらの王城は欠片も残さず粉砕してやるからな!

「セバスチャン。ライニールさんにはなるべく戦場に出ないでくれって手紙出しておいてくれ」
「承知いたしましたぞ!」

 そう言い残して船内に全力ダッシュしていくセバスチャン。

 ……あいつは船酔いしないのな。まあ三半規管も尋常じゃなく丈夫そうだけども。

「うぅ……気持ち悪い……」
「……」

 そんなことを考えていると、青い顔をしたカーマとラークがよたよたと甲板に出てくる。

「大丈夫か? 酔い止めは飲んだから、もう俺がしてやれることないんだが……」
「ああうん大丈夫……今から空飛ぶから……」

 カーマとラークは背中にそれぞれ炎と氷の翼を生やして、空へと浮き上がった。

 なるほど、船酔いとは船に乗ってるから起きる。

 ならば乗っていなければ酔わないはずだ!

「ふぅ……なんで船ってこんなに揺れるのさ……」
「空を飛んで欲しい」
「こんな質量の塊が空飛べるわけないだろ……それに飛行機は飛行機で酔う奴いるけどな」

 結局酔う理由って予測不能に動くからだと思う。

 車の運転手が酔わないのは、自分で操縦してて動きの予測がつくから大丈夫な感じで。

「ボク、戦闘中はずっと飛んでおこうかな……ところで後ろに一隻だけ変な船があるけどあれなに?」

 カーマが指さす先には長方形の四角に近い形をした船。

 ひとつだけ空母でも戦艦でもなく異色を放っているので気になったのだろう。

「あれは……自動車専用船だ」
「自動車……あー、セバスチャンさんが使ってた敵に自爆特攻する兵器だよね?」
「違う。あんな使い方するわけないだろ!? あの自動車を超大量に運ぶ船だ」

 セバスチャンのせいで自動車が特攻兵器にされてる……パンジャンドラムじゃあるまいし。

 あれは自動車専用船……ようは自動車を大量に運ぶための船だ。

 あの船も車の積載可能台数は五千台以上と聞いている。

 では何故そんな船を買ったのかというと、あれにレザイ領民を全員乗せる予定なのである。

 普通の船で八千人も乗せるのは難しいので、自動車専用船に無理やり詰め込むことにした。

 船の中は立体駐車場みたいになっているし、まあ八千人くらい詰め込んでも大丈夫だ。

「あの船にレザイ領民を乗せるんだね。今は彼らを乗せてないんでしょ? いつ乗せるの?」

 カーマがきょとんとした顔で質問してくるが、そんなことは当然決まっている。

「もちろんぶっつけ本番だが?」
「れ、レザイ領民も陸育ちの人なんだけど……」
「大丈夫だ。あいつらが吐いても戻しても船は動くよ」

 船を動かすのはフォルン領兵であって、レザイ領民は乗ってるだけだからな!

 だがカーマは俺の言葉にドン引きしてしまっている。

「い、いちどくらい事前に乗せておいてあげても……それとあの船、自動車用ってことは人の乗る船じゃないよね……?」
「カーマ、八千人を一日養うのは大変なんだぞ? それに……あいつらをまともな船に乗せてみろ。船内の備品根こそぎ盗られたあげく、あいつら同士で高い物の奪い合いが始まるぞ」
「うわぁ……」

 レザイ領民を甘く見てはいけない。

 それはカーマも金貨投げ祭りの時に理解している。だからこれ以上の追及は来なかった。

 ……とはいえ一度くらいは事前に乗せておくべきかもしれない。

 流石に艦型エチケット袋になるのはごめんだ……今回の件が終わったら、あの船もできれば運用したいし……。

 …………いや待て。腹の中に何か入ってるから戻すのでは?

 作戦決行一日前にレザイ領民を呼んでおく。

 そしてその日は飯抜きにすれば……よしそうしよう。食費も浮くし一石二鳥だ!

 結局飯抜きにしたらレザイ領民が一揆を起こしたのだがそれはまた別の話。
 
 
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

処理中です...