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第十三章
予想外な動き 2
しおりを挟む「おはようございます」
発令所に芽衣ちゃんが入ってきた。
しかし、どういうつもりだ? メガネを頭の上に乗っけて……
「すみません。メガネが見つからなくて……誰か私のメガネ見なかったですか?」
芽衣ちゃん、うしろうしろ……この場合は上か。
「芽衣ちゃん。頭に手を当ててみなよ」
ミクに言われた通りに芽衣ちゃんは頭に手を当ててメガネを見つけた。
「あらヤダ! こんなところに」
メガネを装着してから、芽衣ちゃんは今の状況を聞いた。しばらく考え込んでから口を開く。
「四通りのパターンが考えられます」
四通り?
「一つは《アクラ》が、私たちの知らない未知の戦力を保有していて勝算ありと考えて戻ってきた」
それは僕も考えた。
「もう一つは私達にそう思わせて、こっちを警戒させる目的。そうなると私達は速度を落として《アクラ》と睨み合いになり降着状態になります。帝国艦隊が十分に距離を離したあたりで《アクラ》は反転して逃走します。そうなると私達は追いつけません」
なるほど……
「もう一つは《アクラ》の高速性を生かした一撃離脱戦法を仕掛けてくる。そして最後の一つは罠を用意している」
罠?
「つまり、《アクラ》は自らを囮にして私達を罠に誘い込もうとしている。この四つが考えられます」
「罠というと、浅瀬にこっちを誘い込むとか?」
「いえ。浅瀬なら探知機で分かります。恐らく機雷かと……」
「機雷か。しかし、動かない機雷なんて探知してしまえば……」
「いえ。動く機雷もあります」
「キャプター機雷か?」
「そうです」
キャプター機雷は魚雷射出型の機雷。水中に設置された後、パッシブソナーで敵を発見すると内部の魚雷を発射するというやっかいな兵器。
問題は《アクラ》はその四つの選択肢のどれを取るか?
それはこの先の《アクラ》の動きにかかっている。
第一の選択肢、《アクラ》が未知の戦力を保有しているというなら、このまま速度を落とすことなくやってくる。
そして未知の兵器によって僕たちは撤退ないし全滅。
第二の選択肢、はったりをかけてこっちを停船させる気なら、戦闘可能距離ぎりぎりで停船してくるはず。
第三の選択肢、一撃離脱戦法なら戦闘可能距離寸前で急加速をかけてくるはず。
第四の選択肢なら、戦闘可能距離ぎりぎりのところで、一度停船してから引き返していくはず。
引き返していく《アクラ》をのこのこと追いかけていくと、最初に停船した水域に仕掛けられたキャプター機雷の餌食になる。
第二、第三の選択肢なら対策など考えることはない。とにかく、素早く行動して逃がさないことだ。
第四の選択肢も、キャプター機雷さえなんとかすれば大丈夫。
問題は第一の選択肢。《アクラ》に未知の戦力があって、到底勝てないとしたらさっさと逃げるしかない。
そうなると僕らの取るべき道は……
「芽衣ちゃん。ミク。朝食後に出撃の準備をしてくれ。威力偵察に行く」
未知の戦力があるなら、こっちから攻撃を仕掛けてそれを引き出すまでの事だ。
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