489 / 893
第十三章
フーファイター対策
しおりを挟む
「ご主人様。新しい衛星画像が届きました」
Pちゃんが壁に映した映像には、《アクラ》が上流へ向かってくる様子が映っていた。
速度は変わらず。逆にこっちが速度を落としたので、戦闘行動半径に入るのは予定より遅れて午後四時。
午後五時にはハイド島に到着する。
しかし……
「《アクラ》側は、僕らが生きていることを知っていてなおも向かってくる。ドローンの回収は分かるけど、このまま来ればマジで一戦やることになるのだが、勝算も無しに来るとは思えない。何を持って、勝算ありと考えたのか?」
呟くような僕の問いかけに芽衣ちゃんが答える。
「普通に考えるなら、フーファイターだと思います。ただ、ハイド島に降りたフーファイターはエネルギー切れでまともに戦えません。叩くなら今ですが……」
叩いた途端に《アクラ》は勝算がなくなり引き返してしまう。そうなると、《水龍》《海龍》の速度ではとても追いつけない。《アクラ》を捕まえたかったら、エサとなるフーファイターを今叩くわけにはいかない。
となると……
「《アクラ》が引き返せない距離にまで近づいた時点で、フーファイターを一気に破壊できる準備をしておくしかない。もし、フーファイターに燃料を補給されてしまったら、こっちの勝算がなくなる」
「しかし……どうやって?」
「ジャミングガンは効果あるかな?」
「フーファイターのコントロールには、量子暗号が使われています。ジャミングガンは、ほとんど効果ありません」
となると、もっと他の手段を使うしかないな。
「カイトさん」
ミールが手を上げていた。
「フーファイターはともかく、敵にはエラがいますよ。これはどうします?」
「ああ。エラなら……そういえば、ミクの様態は!?」
エラに関してはミクの式神を当てにしていたけど、そう言えば寝込んでいたのだった。
「かなり回復してきましたが、式神を操るのは……」
「そうか」
そうなると、ミクなしでエラと戦うしかないな。
「北村君。ちょっといいかしら」
アーニャが手を上げていた。
「どうぞ」
「私はフーファイターを今すぐ破壊すべきだと思うわ」
「なぜ?」
「君がフーファイターを今すぐ叩かないのは、《アクラ》を呼び寄せるエサにしたいから。でも、向こうも私達が生きている事を知っている以上、その事は予想しているはず。ならば、回収寸前のフーファイターを私たちが叩こうとしている事も……敵はその裏をかいてフーファイターを復活させる策を立てているとしたら……」
確かに《アクラ》をおびき寄せるのはいいが、フーファイターがエネルギーを補給してしまったら、目も当てられない事態になる。
ならば、ここでフーファイターを叩いて《アクラ》は諦めた方がいい。そして、ベイス島攻略作戦を進めた方が……
しかし……
「北村君。もう一つ私が心配している事があるのよ。フーファイターは、はたしてあれ一機だけなのか? フーファイターじゃないにしても、敵にはそれ以外の戦力があるのではないか?」
アーニャの心配ももっともだな。
実は僕もそれを考えていた。
「ちょっと、いいかしら」
馬艦長が手を上げた。
「私はずっと疑問に思っていたのだけど、矢納とエラはどうやって《アクラ》に乗り込んだのかしら?」
え?
「水の上にいる《アクラ》に乗り込むには、水上または空中を移動できる手段があるのじゃないかしら?」
確かに……
「だとすると、私たちが警戒すべきは《アクラ》だけじゃない。彼らがその移動手段を使って《アクラ》と別行動を取り、先にハイド島に上陸する可能性が……」
そうだった!
「その危険に気が付かなかった。すぐにハイド島に上陸してフーファイターを押さえよう」
Pちゃんが壁に映した映像には、《アクラ》が上流へ向かってくる様子が映っていた。
速度は変わらず。逆にこっちが速度を落としたので、戦闘行動半径に入るのは予定より遅れて午後四時。
午後五時にはハイド島に到着する。
しかし……
「《アクラ》側は、僕らが生きていることを知っていてなおも向かってくる。ドローンの回収は分かるけど、このまま来ればマジで一戦やることになるのだが、勝算も無しに来るとは思えない。何を持って、勝算ありと考えたのか?」
呟くような僕の問いかけに芽衣ちゃんが答える。
「普通に考えるなら、フーファイターだと思います。ただ、ハイド島に降りたフーファイターはエネルギー切れでまともに戦えません。叩くなら今ですが……」
叩いた途端に《アクラ》は勝算がなくなり引き返してしまう。そうなると、《水龍》《海龍》の速度ではとても追いつけない。《アクラ》を捕まえたかったら、エサとなるフーファイターを今叩くわけにはいかない。
となると……
「《アクラ》が引き返せない距離にまで近づいた時点で、フーファイターを一気に破壊できる準備をしておくしかない。もし、フーファイターに燃料を補給されてしまったら、こっちの勝算がなくなる」
「しかし……どうやって?」
「ジャミングガンは効果あるかな?」
「フーファイターのコントロールには、量子暗号が使われています。ジャミングガンは、ほとんど効果ありません」
となると、もっと他の手段を使うしかないな。
「カイトさん」
ミールが手を上げていた。
「フーファイターはともかく、敵にはエラがいますよ。これはどうします?」
「ああ。エラなら……そういえば、ミクの様態は!?」
エラに関してはミクの式神を当てにしていたけど、そう言えば寝込んでいたのだった。
「かなり回復してきましたが、式神を操るのは……」
「そうか」
そうなると、ミクなしでエラと戦うしかないな。
「北村君。ちょっといいかしら」
アーニャが手を上げていた。
「どうぞ」
「私はフーファイターを今すぐ破壊すべきだと思うわ」
「なぜ?」
「君がフーファイターを今すぐ叩かないのは、《アクラ》を呼び寄せるエサにしたいから。でも、向こうも私達が生きている事を知っている以上、その事は予想しているはず。ならば、回収寸前のフーファイターを私たちが叩こうとしている事も……敵はその裏をかいてフーファイターを復活させる策を立てているとしたら……」
確かに《アクラ》をおびき寄せるのはいいが、フーファイターがエネルギーを補給してしまったら、目も当てられない事態になる。
ならば、ここでフーファイターを叩いて《アクラ》は諦めた方がいい。そして、ベイス島攻略作戦を進めた方が……
しかし……
「北村君。もう一つ私が心配している事があるのよ。フーファイターは、はたしてあれ一機だけなのか? フーファイターじゃないにしても、敵にはそれ以外の戦力があるのではないか?」
アーニャの心配ももっともだな。
実は僕もそれを考えていた。
「ちょっと、いいかしら」
馬艦長が手を上げた。
「私はずっと疑問に思っていたのだけど、矢納とエラはどうやって《アクラ》に乗り込んだのかしら?」
え?
「水の上にいる《アクラ》に乗り込むには、水上または空中を移動できる手段があるのじゃないかしら?」
確かに……
「だとすると、私たちが警戒すべきは《アクラ》だけじゃない。彼らがその移動手段を使って《アクラ》と別行動を取り、先にハイド島に上陸する可能性が……」
そうだった!
「その危険に気が付かなかった。すぐにハイド島に上陸してフーファイターを押さえよう」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる