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第十三章
交渉2
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いや、知っていて当然だ。三十年前に、章 白竜はレムと脳間通信でコンタクトしているし、その後も地上でのレムとの戦いで彼は重要な役割を担っていた。
つまり、レムにとって章 白龍は排除したい敵。
敵の治療に必要な物を渡すはずがない。
章 白龍の治療に使うと言ったりしたら、ただちに《アクラ》を爆破するかもしれない。
『もし、章 白龍さんの治療に必要なら、差し上げましょう。と、中の人が言っていますが』
「なんだって!?」
『北村さんの欲しているカートリッジを差し上げます。その代わり《アクラ》は見逃してください。この条件を飲んでいただけないのなら《アクラ》を自爆させます。もちろん、近くにいるあなたの潜水艦も助からないでしょう』
どうする? 罠ではないのか? しかし……
「本当にカートリッジを差し出すのか?」
『はい。ただし《アクラ》にも、八十三種類のカートリッジすべてが揃っているわけではありません。その中に目的のカートリッジが無くても文句は言わないでください』
「しかし……僕は章 白龍の治療に使うと言ったのだぞ。レムに取って彼は敵ではないのか?」
『中の人が、どういうつもりでそんな事を言っているのか僕には分かりませんが、《アクラ》にあるカートリッジはすべて差し出しても良いと言っています』
どういうつもりだ……
「さすがにすべてはいらない。僕が欲しいのは三種のレアメタルだ」
必要なレアメタルの名前を言うと、古淵は《アクラ》と通信を取った。
その間に僕も《海龍》と連絡を取り、みんなに停戦するように指示する。
『今、成瀬さんに問い合わせました。三種類の内、二種類は《アクラ》にあります』
二種類だけか……
『それと、中の人からのメッセージです。残り一種類が欲しければ基地まで取りに来いと』
基地? ベイス島か……
『《アクラ》はこの後、基地に直行します。どうせ、衛星から動きを見ているのでしょう。だから、位置は分かりますね』
「基地へ行けば、大人しくカートリッジを渡すのか?」
『いいえ。守備隊と戦って勝てたら、カートリッジを渡すと言っております。その時には、式神使いを必ず連れてこいと』
ミクを?
「どういうつもりだ? エラ・アレンスキーと戦わせて、そのデータは取ったのだろ? まだ足りないのか?」
『中の人はそれに答えようとしませんが、おそらく足りないのでしょう』
「いいだろう。何を企んでいるか分からないが、ミクは連れて行こう。ただし、ミクには指一本触れさせないからな」
『分かりました。では、基地でお会いしましょう』
そう言い残して、小淵は《アクラ》の甲板へ降りて行った。
つまり、レムにとって章 白龍は排除したい敵。
敵の治療に必要な物を渡すはずがない。
章 白龍の治療に使うと言ったりしたら、ただちに《アクラ》を爆破するかもしれない。
『もし、章 白龍さんの治療に必要なら、差し上げましょう。と、中の人が言っていますが』
「なんだって!?」
『北村さんの欲しているカートリッジを差し上げます。その代わり《アクラ》は見逃してください。この条件を飲んでいただけないのなら《アクラ》を自爆させます。もちろん、近くにいるあなたの潜水艦も助からないでしょう』
どうする? 罠ではないのか? しかし……
「本当にカートリッジを差し出すのか?」
『はい。ただし《アクラ》にも、八十三種類のカートリッジすべてが揃っているわけではありません。その中に目的のカートリッジが無くても文句は言わないでください』
「しかし……僕は章 白龍の治療に使うと言ったのだぞ。レムに取って彼は敵ではないのか?」
『中の人が、どういうつもりでそんな事を言っているのか僕には分かりませんが、《アクラ》にあるカートリッジはすべて差し出しても良いと言っています』
どういうつもりだ……
「さすがにすべてはいらない。僕が欲しいのは三種のレアメタルだ」
必要なレアメタルの名前を言うと、古淵は《アクラ》と通信を取った。
その間に僕も《海龍》と連絡を取り、みんなに停戦するように指示する。
『今、成瀬さんに問い合わせました。三種類の内、二種類は《アクラ》にあります』
二種類だけか……
『それと、中の人からのメッセージです。残り一種類が欲しければ基地まで取りに来いと』
基地? ベイス島か……
『《アクラ》はこの後、基地に直行します。どうせ、衛星から動きを見ているのでしょう。だから、位置は分かりますね』
「基地へ行けば、大人しくカートリッジを渡すのか?」
『いいえ。守備隊と戦って勝てたら、カートリッジを渡すと言っております。その時には、式神使いを必ず連れてこいと』
ミクを?
「どういうつもりだ? エラ・アレンスキーと戦わせて、そのデータは取ったのだろ? まだ足りないのか?」
『中の人はそれに答えようとしませんが、おそらく足りないのでしょう』
「いいだろう。何を企んでいるか分からないが、ミクは連れて行こう。ただし、ミクには指一本触れさせないからな」
『分かりました。では、基地でお会いしましょう』
そう言い残して、小淵は《アクラ》の甲板へ降りて行った。
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