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第十三章

レムの目論み

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 夜の闇に包まれたマオ川の上を、《アクラ》は五十ノットの速度で下流に向かっていく。

 僕は暗視ゴーグルを付けて《海龍》の甲板上に立ち、離れていく《アクラ》を見送っていた。

「目標の三分の二は達成しましたね。カイトさん」

 僕の横でそう言ったミールの足下には、長さ一メートル直径十センチのシリンダー状物体が二つ置いてある。
 
 先ほど《アクラ》から譲り受けた……いや、取り返したマテリアルカートリッジだ。

 すぐに艦内に持ち込まないのは、トラップがないか確認するため。

 受け取った直後にカートリッジをスキャナーにかけ、そのデータを艦内でPちゃんが解析中だ。
 
 解析が終わるまで艦内には入れられないので甲板上に置いてあるのだが、まあ、罠なんてないと思うけど念のため。

 このカートリッジに問題がなければ、ナノマシンを作るのに必要なカートリッジは後一つ。

 しかし、それを『取りに来い』とはどういう事だろう?

 レムの奴が何かを企んでいるのは間違えないが……

「カイトさん」

 ミールの声が僕の思考を中断させた。

「ん?」
「あたし、思うのですけど、レムがミクちゃんを連れて来いと言ったのは、もう一度エラと戦わせようというのではなく、次はミクちゃんを拉致するのが目的ではないのでしょうか?」
「なんだって?」
「カルカで《マカロフ》と戦った時に、ミクちゃんの式神が活躍しましたが、その時の情報が足りなかった。だから、今回はミクちゃんがどんな能力を持っているかを見るために、戦いに引っ張り出した。そして、次は拉致を目論んでいる。そんな気がするのです」

 何のために? レムはロリコンなのか? いやいやそういう事じゃないだろうな。

「あたしの時と同じですよ」

 あ!

「帝国内では、魔法能力者の暴走が大きな問題になっているのは相変わらずだと思います。だから、以前あたしを拉致して、魔法の制御技術を入手しようとしたのです。だけど、キラに教えていて分かったのですが、ナーモ族のやり方は地球人にはあまり合わない」

 だから、エラ・アレンスキーに指導させようとしたが、エラは天才だが自分がどうやって能力を制御できるようになったか分かっていない。

 しかし、ミクは平安時代から続く陰陽師の家系。式神の制御法は祖父から学んでいる。

「ミクの持っている知識が欲しい。そういう事か」

 ミールはコクっと頷いた。

 ベイス島に着いても、ミクは戦いに出さない方がいいか……それとも……
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