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第十三章

浮気男には電撃でお仕置き?

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 芽依ちゃんが目を覚ましたのは、深夜になってからの事だった。 
 
「あれ? あれ? 私……何をしていたのでしょう?」 
 
 甲板上に固定してあるエアベッドの上で身を起こし、不思議そうに周囲を見回す。 
 
 その様子を見て、僕は薬と水をもってベッドに歩み寄った。 
 
「芽依ちゃん。頭は痛くないかい?」 
「北村さん。私……こんなところで何を……あ! 私お酒を飲んで! 何か、恥ずかしい事をしなかったですか?」 
 
 う!  
 
「い……いや、すぐに寝込んじゃったから……」 
「本当ですかあ?」 
 
 酔って僕に抱きついた事は黙っていよう。 
 
「本当だって、それに……」 
 
 僕は背後を振り返った。 

 そこではミール、アーニャ、馬美鈴、それに《水龍》から移乗して来て飲み会に加わったレイホー、ナージャ、そして艦内には入らないという事を条件に特別に移乗を許可したエラがドンチャン騒ぎを繰り広げていた。 

 エラのお目付役とも言えるカミラはというと、真っ先に酔いつぶれている。 

 飲み始める前に『私の開発した肝臓強化薬 (ヘパリーゼドリンクの様な物だと思う)を飲んでおけば絶対に酔いつぶれる事はない』と言って、薬を飲んだ後に紹興酒を一気飲みをしたのが良くなかったようだ。 

 当然だな。 
 
「酒を飲んだら、たいていの人はこうなるから……気にすることはないよ」 
「で……でも……」 
 
 気にするなというのが無理か……とにかく、目を覚ましたことだし、また酒を飲む前に小淵の話を…… 
 
「あれ? 芽依ちゃん、目を覚ましたの」 
 
 紹興酒の瓶を持ったレイホーが、おぼつかない足取りでやってくる。 
  
「じゃあ、迎え酒いくね」 
 
 レイホーはコップを芽依ちゃん差し出した。 
 
「え? でも……」 
「ちょっと待った! レイホー! その前に芽依ちゃんに話があるから、酒はその後で」 
「芽依ちゃんに話……お兄さん。芽依ちゃんに浮気するのですか?」 
「だあ! 違う!」 
 
 ややこしい事を……今のがミールの耳に入ったりしたら…… 
 
「なんですって? カイトさん。浮気ですって?」 
 
 あかん! すでに、耳に入っていた。 

 白ワインの瓶を持ったまま、僕の方へ駆け寄ってくる。目は完全に座っていた。 
 
 よせ! 今の時代、暴力ヒロインは嫌われるんだぞ。 
 
「カイトさん。ロータスのカフェであたしを押し倒しておいて、誰と浮気するのですか?」 
 
 いや、どちらかというと押し倒されたのは僕の方で…… 
 
「何! 浮気だと? それは許せんな」 
 
 エラ! 一番ややこしい奴が…… 
 
 全身から微弱な放電をしながら近寄ってくる。 
 
「浮気男には電撃でお仕置きするのが、日本の伝統だったな。アニメで見たが……」 
 
 日本にそんな伝統ねえよ! なんのアニメを見たかだいたい想像がつくが、アニメの知識を鵜呑みにするな! 
  
「だからあ、違うと言ってるだろう!」 
 
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