モニターに応募したら、系外惑星に来てしまった。～どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。

第十四章

気が付きやがった

「うわわわ！　いつの間に!?」

　ミールもジジイに気がついて、慌てて僕の背後に隠れる。

「大げさじゃのう。わしならさっきから、おったわい」

　室内を見回すと、地下道への扉が開いていた。

　また地下から入ってきたのか。

　一方で、アーリャさんとナージャの姿がない。

　ミクと話をしている間に、部屋から出て行ったようだ。

　Pちゃん達は、コンセント周辺にいて交代で充電している。

「Pちゃん！　充電中止！　すぐに僕の背後に」
「了解しました」

　十二体のPちゃんがワラワラと僕の背後に回り込む。

「そんなに警戒せんでもええじゃろ。取って食うわけじゃなし」
「何をしに来た？」
「セクハラをしに来た」

　僕は反射的に腰の拳銃を抜いていた。

「待て！　待て！　待て！　お主、わしに何か聞きたい事があるのだろう？」

　拳銃をホルスターに戻した。

「まったく、若い者は気が短いのう」
「あんたが、レム・ベルキナと友達だったというのは本当か？」
「ああ。レム君か。思えば、あいつも可哀想な奴だったな」
「可哀想？　あんな奴が可哀想なものか！　あいつのくだらない計画のせいで、どれだけ多くの人が犠牲になったと思っているんだ!?」
「くだらないとは何だ。彼は恒久的平和を目指していたのだぞ。じつに崇高な思想ではないか」
「何が恒久的平和だ！　平和どころか、奴のせいでこの惑星は戦争が続いている。それに、あんたは脳間通信機能を研究していたそうだが、全人類の脳を常時接続状態にして、本当に平和になるのか？」
「んん……無理じゃろうな。下手すれば、人類滅亡ということになるじゃろう」
「それが分かっていて、なぜ止めなかった!?」
「待て、待て、落ち着け。わしはもちろん止めたぞ。そんな事をしたら、人類は凶人の集団と化してしまうと」
「説得したのか？」
「もちろんじゃ。だが、レム君はわしの話に対して聞く耳を持たず、計画を進めていった。まるで何かに憑りつかれているみたいだったな。仕方なく、わしは当局に通報してレム君を逮捕させた」

　じゃあ、レムの計画を最初に阻止したのはこのジジイだったのか？　意外とまともな人なのかな？

「どうも、レム君はその時に誤解してしまったらしくてな。レム君の賛同者を、当局が皆殺しにしたと思ってしまったようだ」
「違うのか？」
「まったく違うとは言わないが、レム君が賛同者だと言っていた人達は無抵抗で殺されたわけじゃない」
「賛同者だと言っている人達って？　本当は賛同していなかったのか？」

　ジジイは頷いた。

「あんな計画に賛同する奴などいないだろう。ほとんどはブレインレターを使った騙し討ちで、強制接続された人達じゃ」
「強制接続？　それじゃあ完全に犠牲者じゃないか。警察はそんな人達を殺したのか」
「そうではない。警察は最初、犠牲者を保護する予定だった。だが、犠牲者たちは警察の説得にはまったく応じなくて、意味不明の言葉を喋りながら武器を持って暴れ回っていた。警察は仕方なく実力で制圧して、その時に何人かは犠牲になった。だが、保護された者も無事ではなかった。その時点で精神に異常をきたしておって、ほとんどの者は自ら命を絶ったのじゃ。だが、レム君はそれを警察に惨殺されたと思いこみ、余計に意固地になってしまった。わしが面会に行っても、会おうともせんかったのじゃ」
「レムは、なぜそんな事を」
「その前に聞くが、お主がわしから聞き出したい事とは、レム君の事か？」

　う……どさくさに紛れて上手く喋らせていたのだが、気が付きやがった。