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第十五章

接続されていたのは

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《海龍》の甲板上に、ミクがいるのが見えた。

 ミクの前では、落書き女が手すりに縛り付けられている。

 仕返しするとか言っていたらしいけど、何をしているんだ?

 落書き女に同情する気など微塵もないが、やりすぎてミクの心が歪まないか心配だ。

 まあ、僕も人の事は言えんか。

 さっきまで、怒りに任せて盗賊どもぶっ殺していたからな。

 この後で砦に立て籠もっている奴らも片付けなきゃならないが、終わったら供養ぐらいはしておこう。

 ミクの背後に着地。

「面白い。病みつきになりそう」

 そう言ってミクは、落書き女の顔にドラえもんのヒゲを書き込んでいた。

 落書きには、落書きで仕返しか。

 しかし、病みつきにはなるなよ。

 ミクに落書きされている女は、涙目になり……

「うう……なんで、私がこんな目に……」
「なんでって? お姉さん。自業自得って言葉知っている?」
「私は国語が苦手なんだ! そんな難しい言葉、分かるわけないだろう!」
「威張って言えることじゃないでしょ」

 ミクの事は置いといて……

 僕と芽依ちゃんは倉庫に向かった。

「装着」

 九九式を装着すると、芽依ちゃんはアーテミスに戻っていった。

 逆に僕は九九式を脱着し、ジジイの分身体を探す。

 お! いた。木箱の上に腰掛けている。

 デジカメを向けてみると、ジジイは出現消滅を繰り返していたが、消滅時間の方が長くなっている。

 ミールの言うとおり、あまり長くもちそうにないな。急ごう。

「じいさん。あんたはもうすぐ消滅する。その前に聞いておきたい事がある」

 ジジイは、虚ろな目を僕に向けた。

「今朝、あんたは言っていたな。レムと接続された人間に、レムが何も話しかけて来なければ、本人は接続された事も自覚できないと」

 ジジイは頷いた。

「確かに、わしはそう言った」
「つまり、レムに接続されていても、本人はその事に何年もずっと気が付かないままでいるという事もありうるのか?」
「ありうる。というより、レムと接続された人間は、その方が多いと思うぞ。接続して操ったり、精神融合したりするのは、レムにとってもかなり骨が折れるはずじゃ。情報収集のために接続だけした方がはるかに多いじゃろう」

 という事は、ただ接続されて情報を吸い上げられている人もいて、そういう人は接続された事を自覚していない。

 自覚していないのなら、ミールの分身魔法による尋問では見破れない。

 だけど、僕たちは分身魔法を使った尋問をしてあるから大丈夫だと思ってしまっていた。

 今回、アーテミスに上陸したメンバーの中で、アンドロイドではなく本物のミクの姿を見かけたのはミーチャだけ。

 ミーチャが接続されていたんだ。
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