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第十六章

第二次攻撃の要あり

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 ベイス島空爆から三十分後。

 第二次攻撃のようありと判断して、さらに十機のゼロと偵察ドローン紫雲しうん三機を送り込んだ。

 紫雲はヘリコプタータイプのドローンなので垂直離着陸が可能だが、その分航続距離が短い。

 だから、これも菊花と一緒に飛行船ドローンから吊り下げてあった。

 すでにベイス島の防空能力は壊滅していたようだが、菊花が上空を飛び回っている時に、巨大な格納庫のような建物がある事を確認している。

 上陸は、格納庫の中身を確認してからでも遅くはないだろう。

 格納庫に何も問題がないなら、残った弾薬庫にでも爆撃しておけばいい。

「ご主人様。紫雲一号機、二号機、三号機。格納庫上空に到着しました。これより、降下します」
「攻撃してくる様子は?」
「ありません」

 映像を見ると、格納庫の扉が少しだけ開いている。

 その周囲に、帝国軍兵士の姿がちらほら。

 兵士たちは小銃を持っているが、まだ有効射程距離外だからなのか撃ってくる様子はない。 

 このまま降下したら撃ってくるだろうな。

「Pちゃん。地上の兵士たちの間に、対地ミサイルを撃ってくれ。ただし、兵士には直撃しないように」
「直撃させては、ダメですか?」
「撃っても逃げないようなら、仕方がないから、当てていい」

 とは言うものの……逃げてくれよ。

 ゼロから発射された五発の対地ミサイルが、格納庫付近の地面に命中。

 兵士たちは、蜘蛛くもの子を散らすように逃げ出した。

 これでよし。

「紫雲一号機、二号機降下開始。三号機は上空に待機し、一号機、二号機の電波を中継」
「了解しました。ご主人様」

 一号機、二号機から送られてくる映像に、格納庫の扉が現れた。

 格納庫自体の大きさは、高さ十五メートル。横幅二十五メートル奥行き三十メートル。

 観音かんのん開きの扉は高さ十メートル。

 よっぽど大きな奴が中にいるのか?

 それとも、食料を備蓄しているだけなのか?

 わずかに開いた扉の向こうをのぞいても様子が分からない。

 しかし、紫雲なら、あのぐらいの隙間抜けられるな。

「一号機、格納庫内部へ。二号機は格納庫前に待機して一号機の電波を中継」
「了解しました。ご主人様」

 一号機が格納庫内部に入っていく。

 中にあったのは……

 球体?

 直径が八メートルほどの黒光りする球体だった。

 こいつはいったい何だろう?

 のっぺりとした球体には、突起のような物は見あたらない。

 巨大な爆弾だろうか?

 いや、どう見てもこの球体をおおっているのは装甲。

 という事は、機動兵器のたぐいだろうか!?

 だが、これが機動兵器だとしたら、どうやって移動するのだろう?

 車輪やキャタピラのような移動手段もない。

 こいつ自体が転がっていくなら分かるが……

 いや、どうやらそれが正解らしい。

 黒い球体はゆっくりと転がり始めた。

 それに合わせて、格納庫の扉も開き始めている。

 僕はアーニャの方を振り向く。

「アーニャさん。あれは機動兵器だと思いますか?」

 アーニャはうなずく。

「思うも何も、機動兵器以外の何ものでもないわね。私のオリジナル体が地球にいた頃、各国が球体機動兵器を作っていたわよ。地球上で戦闘に使われる事は無かったけど」

 そのとき、ふいに球体の動きが止まる。

 球体の黒光りする装甲に丸い穴が開き、何か突起物のような物がせり出してきた。

 突起の先端が光る。

 その直後、メインモニターの映像が途絶えた。

「ご主人様。一号機ロストしました」

 今の光は、レーザー兵器! 
 
 間違えない。あの球体は機動兵器だ。

「Pちゃん。二号機を上空へ待避。ゼロ部隊には、攻撃命令を。標的は格納庫、及びその内部の球体機動兵器」
「了解しました」
「それと、球体機動兵器の映像データを《イサナ》に送ってくれ」

 僕がそう言い終わった時、メインモニターの映像が回復。

 三号機の映像に切り替わったのだ。

 ゼロ部隊がミサイルを一斉に放つ様子が映っている。

 こいつで破壊できるか?
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