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第十七章

切りたいのに

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 ショットガンを食らったドローンは、黒煙を吹いて落ちていく。

 やがて、海面付近で爆発。

 視線を上に戻すと、別のドローンがヘリに向かっていくところだった。

 させるか!

「ワイヤーガン、セット、ファイヤー!」

 左腕から放ったワイヤーが、ドローンのプロペラに絡みつく。

 ギャ!  ギャ!  ギャ! と不快な音を立てながらプロペラは停止。

 揚力を失い、ドローンは落下していく。

「レフトワイヤー、パージ!」

 左腕からパージしたワイヤーと共に、ドローンは落ちていった。

 そのまま海面付近で爆発。

 さらに二機のドローンを落としたところで、周囲を見回すと、芽依ちゃんがネットランチャーでネットを放っているのが目に入る。

 ネットに絡め取られたドローンは、揚力を失い海面に向かって落ちていった。

 その横では、古淵が手榴弾をドローンの進行方向に向かって投げつけていた。

 手榴弾の爆発によって生じた爆炎の中に、二機のドローンが突っ込んでいく。

 再び爆炎の中から出てきたドローンは、二機ともプロペラを失い落ちていった。

 ん? 二人の背後から、二機のドローンが忍び寄ってくる。

 ワイヤーを放とうと、僕は右腕を突き出した。

「ワイヤーガン……」

 おっと! コマンドを言い終わる前に、ドローンは二機とも爆発。

 見上げると、上空で橋本晶が弓を構えていた。

 彼女はさらに矢を放つ。

 その矢によって、背後から僕に迫っていたドローンが葬られた。

 かなり数が減ったな。

 僕は、ヘリ部隊の無事を確認しようと視線を向けた。

 ヘリの機種は、自衛隊が使っていたCHー47チヌークに似ている。

 性能は、遙かに進んでいるのだろうけど……

 落とされたヘリは一機だけのようだが、ミールは無事だろうか?

 一機のヘリの横にある扉が開き、一人の兵士が小銃を構え、もう一人がロケットランチャーを構えて、ドローン攻撃を警戒していた。

 ヘリの死角となるローターの上では、菊花タイプのジェットドローンが守っている。

 ふいに兵士達は僕に気が付き、手をふってきた。

 僕もふり返したとき、彼らの背後にミールの姿があるのが目に入る。

 良かった。

 ミールは無事でいてくれたのか。

「隊長」

 古淵に呼ばれてふり向く。

「ヘリ部隊周辺の敵は片づきました」

 古淵がそう言った後、橋本晶が恨みがましい声で話しかけてくる。

「皆さんヒドいです。私が矢を撃ち尽くす前に、全部片づけちゃうなんて」
「大丈夫ですよ。橋本さん」

 古淵はそう言って、さっきまでワームホールのあった方向を指さす。

 古淵が指さす先では、五十機近いドローンがこっちへ向かってきていた。

「敵は、まだ残っているから」

 いや、これって、全然大丈夫な状況じゃないのだが……

 まだかなり距離があるが、敵ドローンがここまで来るのは時間の問題だな。

「おお! まだ、こんなに獲物が……」

 嬉々とした顔で愛刀雷神丸を抜く彼女を、芽依ちゃんがたしなめる。

「橋本さん。まずは遠隔戦です。刀は鞘に戻して、弓を使って下さい」
「ううう……切りたいのに……」

 橋本晶は、渋々と刀を鞘に納め、弓を構える。

 僕達も、今まで温存していたロケットランチャーを構えた。

「目標、敵ドローン群。てぇー!」

 三つのロケットランチャーから放たれた九十一式携帯地対空誘導弾と、橋本晶の放った爆矢がドローン群に向かっていく。
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