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第八章

戦闘終了

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 フリントロック銃とは明らかに違う銃声が聞こえた。

『銃撃を受けました。貫通なし』

 自動小銃AK47による銃撃だった。以前、キラにこれで撃たれた時は磁性流体装甲リキッドアーマーの第一層まで貫通されたが、九九式は傷一つ付かない。
 銃撃をしている兵士達は、必死になってマガジンを交換して撃ち続けていた。
 撃たれても平気だが、いつまでも付き合う気はない。
 AA12の一連射で兵士たちを肉塊に変えた。
 バリケードの向こうで爆発が起きた。
 菊花から爆撃だ。
 むこうに隠れている兵士がRPG-7を使おうとしたようだな。

 ん?

 何か細長い物体が爆風で飛んできて地面に転がった? あれは?

 RPG-7!

 兵士の一人がそれを拾う。いや、あいつはダサエフ。

「これさえあれば、こっちの物だ! くだばれ!」

 ダサエフがロケット弾を撃ってきた。
 だが、飛んでくるロケット弾に菊花が体当たり。
 ロケット弾は、僕から十メートル手前で爆発した。
 爆風が襲ってくる。

『第一層貫通。第二層で食い止めました』 

 爆弾の破片が装甲に食い込んでいた。
 十メートル離れていてこれか。直撃だったらアウトだな。

 爆発で生じた粉塵の中を、僕はダサエフがいた方向へ歩いて行った。
 粉塵を抜けると、ダサエフは兵士から次の弾頭を受け取っているとこだった。

「ワイヤーガンセット」

 照準をRPG-7の発射器に合わせる。

「ファイヤー!」

 ワイヤーガンは、弾頭を装着する寸前の発射器に突き刺さった。

「ウインチスタート」

 RPG-7の発射器ごとワイヤーを撒き戻す。
 ダサエフはRPG-7を奪われまいとしがみ付いていたが、途中で瓦礫とぶつかって手放した。

「返せ! 泥棒!」

 泥棒と言われるのは心外だな。だから、RPG-7は返してやった。真ん中からへし折って……

「ひい! バケモノ!」

 ダサエフはバリケードに向かって走り出す。

 だが、逃がさん。

「アクセレレーション」

 加速機能を使って追いつくと、僕はダサエフの襟首を掴んで持ち上げた。

「は……放せ!」
「ダサエフ」

 ジタバタもがいているダサエフに、僕はメガホンを握らせた。

「これで、どうしろというのだ?」

 ミールの分身やミクの式神相手に、虚しい抵抗を続ける帝国軍兵士たちを指差した。

「彼らに抵抗を止めるように命令を出せ。それで、この殺し合いは終わる」
「ふざけるな! 殺されたって、そんな命令出さんぞ」
「ならば死ね」
「誰が出さんと言った! 出す! 出す!」

 根性のない奴……

 ダサエフはメガホンを口に当てた。

「おまえら! 直ちに抵抗をやめろ。やめないと俺が殺されるんだ」

 一瞬、兵士たちの抵抗が止んだ。
 そして、兵士達は互いに仲間と顔を見合わせる。
 集音マイクで、兵士たちの声を拾ってみた。

「これ以上抵抗すると、隊長が殺されるそうだ」
「なに! ダサエフを殺してくれるだと!」
「それなら……」

 しばしの沈黙の後、兵士達はいっそう激しく抵抗を始めた。

「ダサエフ。おまえ……人望ないな」
「うるさい! ほっとけ!」

 仕方ない。僕はダサエフに渡したメガホンを取って帝国軍に声をかけた。

「帝国軍に告ぐ。今から、君たちを一人残らず殲滅する。逃げる事は許さない。一人でも逃げたら、ダサエフ隊長の命はないものと思え」

 そして……

 帝国軍兵士は、一人残らず逃げて行った。

「ダサエフ……おまえ……友達いないだろう……」
「ほっとけ!」

 涙交じりの怒声が虚しく響いた。
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