霊能者のお仕事

津嶋朋靖(つしまともやす)

文字の大きさ
114 / 314
呪殺師は可愛い男の子が好き

昇降口

しおりを挟む
 まだ登校するには、少し早い時間。

 朝日の差し込む昇降口から、赤いフレームのメガネをかけたおさげ髪の女子生徒が入ってきた。

 制服もうちの高校の物で、特に怪しいところはない。

 ただ、行動が若干怪しかった。

 下駄箱付近に来たとき、彼女は周囲をキョロキョロと見回す。

 何かを警戒するかのように……

 しかし、普段は廊下には置かれていない、の段ボール箱が二つあることについては、特に怪しまなかったようだ。

 周囲に誰もいない事を確認すると、彼女はポケットから一通の封筒を取り出し、一つの下駄箱の前に立つ。

 彼女が手を伸ばしたのは、明らかに僕の下駄箱だった。

 蓋を開く。

 その直後、彼女は下駄箱の中を見て驚き、背後に飛び退き悲鳴を上げる。

 その悲鳴は……

「チュー!」

 はい、確定! ネズ子だな。

 簀子すのこの上にへたり込んで怯えている女子生徒の頭には、さっきまでは無かったはずの、絵に描こうものなら著作権法違反で訴えられること確実な某アニメキャラを思わせるネズミ耳があった。

 スカートからは、ネズミの尻尾が延びている。

 ちなみに下駄箱の中には、普通の女の子が怖がるような物は入っていない。

 むしろ、喜んで抱きしめたくなるような存在がいた。

「ニャオ」


 下駄箱から飛び出して来たのは、一匹の三毛猫。

 学校によく遊びに来る猫を、僕の下駄箱に入れておいたのだ。

 その時になって、隠れていた段ボール箱から出てきた僕と樒は、ネズ子の元に駆け寄る。

「チュー! 優樹君。それに樒ちゃん。はかったでちゅね」

 樒はネズ子の腕を捕まえる。

「やっぱり、優樹の下駄箱に毎日ラブレターを入れていたのは、あんただったのね。ネズ子」
「なんで分かったでちゅ?」
「簡単よ。手紙には度々、優樹の事を『優樹キュン』と書いてあった。そして、昨夜ヒョーは優樹の事を『優樹キュン』と呼んでいた。うちの学校や霊能者協会に、優樹に『キュン』と付けて呼ぶような人はいないわよ」

 僕はネズ子に顔を近づけた。

「ネズ子さん。ヒョーさんに伝えて下さい。下駄箱に手紙を入れるのは、もう止めて下さいと」
「迷惑だったでちゅか?」
「迷惑です。ていうか、キモいです」
「優樹君。今の『キモい』は非道ひどいでちゅ。あたしの耳を通じて聞いていたあるじがショックを受けています。それこそ頭の上に、『ガーン!』という文字が出るくらいに」
「え? それは言い過ぎたかな。でも、本当に止めてほしいんです」
「優樹。言い過ぎじゃないわよ。だいたいヒョーって、何歳よ?」
「主の年齢は秘密でちゅ」
「それでも、十六歳の優樹にちょっかいを出していい歳じゃないわよね?」
「愛に年齢は、関係ないでちゅ」
「優樹の気持ちを無視して、一方的に思っているだけでしょ」
「チュー。主から伝言でちゅ。優樹君の事はあきらめると言ってまちゅ。今回の手紙には、今までの謝罪が書いてあるのでちゅ」
「え? そうなの?」
「だから、これだけは読んでほしいでちゅ」

 僕はネズ子から封筒を受け取った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...