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事故物件2
ファミレス2
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ん? 不意に魔入さんが僕の横に移動してきて耳元に囁いた。
樒と氷室先生は言い争いに夢中で気がついていないようだ。
「ところで知っているかしら? 前回の番組で君の女装姿を見た人達の中に『あの美少女は何者?』と特定しようとしている人達がいるって」
「初耳です。でも、特定される事はないでしょう」
「そうかしら? 特定厨という人達の力を、侮らない方がいいわよ」
ピク!
いや……大丈夫だよ。特定厨だって、なんの手がかりもなしに……
「まあ、君がどうしてもイヤだというなら仕方ないわね」
諦めてくれましたか。
「でも、もし番組の視聴率が下がって打ち切りになっちゃったりしたら……」
知ったこっちゃないです。
「もしそうなったら、路頭に迷った番組関係者の誰かが、秘密を特定厨に漏らしてしまうかも……」
結局、脅迫かい!
僕には、この仕事を断る選択肢は最初から用意されていなかった。
「いいでしょう。仕事は引き受けます。だけどどうしても、女装しなきゃダメですか? ディレクターさんも『もうモザイクは外しません』と一筆書いてくれたのに」
「だってねえ、前回の女装で視聴率がすごい上がちゃってね。次も、あの可愛い霊能者を出せと視聴者からの希望が殺到しているのよ」
「実は男だったってばれたら、視聴者からの怒りを買いますよ」
「大丈夫。ばれないから」
特定厨を侮るなって言ったのはあんたでしょ!
「優樹」
いつの間に言い争いが終わったのか、樒と氷室先生も僕の方を見ていた。
「仮に女装がばれても、余計に人気出るかもよ」
人気なんか出なくていい! 女装趣味の変態と思われるのがイヤなんだよ!
「先生! なんとか言って下さい」
「社君。女装はつらいの?」
「つらい……ていうか、恥ずかしいです」
「そう。でも、君はこの仕事を一度引き受けたのよ。一度、引き受けた仕事をわがままに放り出していいの? そんな事では、君はいつまでたっても子供よ」
「子供!」
女装はイヤだけど、わがまま言っていたら先生に嫌われるかな?
「分かりました。恥ずかしいけど……引き受けます」
「はい。よく言えました。社君、偉いわよ」
「先生。今、優樹に良いこと言ったように聞こえたけど、本音は『見たい! 優樹キュンの女装見たい!』とでも思っているのでしょう?」
「思ってません!」
そして次の日曜日、僕は魔入さんの指定した物件へと向かった。
樒と氷室先生は言い争いに夢中で気がついていないようだ。
「ところで知っているかしら? 前回の番組で君の女装姿を見た人達の中に『あの美少女は何者?』と特定しようとしている人達がいるって」
「初耳です。でも、特定される事はないでしょう」
「そうかしら? 特定厨という人達の力を、侮らない方がいいわよ」
ピク!
いや……大丈夫だよ。特定厨だって、なんの手がかりもなしに……
「まあ、君がどうしてもイヤだというなら仕方ないわね」
諦めてくれましたか。
「でも、もし番組の視聴率が下がって打ち切りになっちゃったりしたら……」
知ったこっちゃないです。
「もしそうなったら、路頭に迷った番組関係者の誰かが、秘密を特定厨に漏らしてしまうかも……」
結局、脅迫かい!
僕には、この仕事を断る選択肢は最初から用意されていなかった。
「いいでしょう。仕事は引き受けます。だけどどうしても、女装しなきゃダメですか? ディレクターさんも『もうモザイクは外しません』と一筆書いてくれたのに」
「だってねえ、前回の女装で視聴率がすごい上がちゃってね。次も、あの可愛い霊能者を出せと視聴者からの希望が殺到しているのよ」
「実は男だったってばれたら、視聴者からの怒りを買いますよ」
「大丈夫。ばれないから」
特定厨を侮るなって言ったのはあんたでしょ!
「優樹」
いつの間に言い争いが終わったのか、樒と氷室先生も僕の方を見ていた。
「仮に女装がばれても、余計に人気出るかもよ」
人気なんか出なくていい! 女装趣味の変態と思われるのがイヤなんだよ!
「先生! なんとか言って下さい」
「社君。女装はつらいの?」
「つらい……ていうか、恥ずかしいです」
「そう。でも、君はこの仕事を一度引き受けたのよ。一度、引き受けた仕事をわがままに放り出していいの? そんな事では、君はいつまでたっても子供よ」
「子供!」
女装はイヤだけど、わがまま言っていたら先生に嫌われるかな?
「分かりました。恥ずかしいけど……引き受けます」
「はい。よく言えました。社君、偉いわよ」
「先生。今、優樹に良いこと言ったように聞こえたけど、本音は『見たい! 優樹キュンの女装見たい!』とでも思っているのでしょう?」
「思ってません!」
そして次の日曜日、僕は魔入さんの指定した物件へと向かった。
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