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なんで、あんたがここにいる?
戦闘中
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宇宙船同士の戦闘は、その大半が待機時間だ。
長い時間を掛けて相手の位置を探りだし、さらに長い時間を掛けて相手に近付き、そして攻撃を掛ける。攻撃が行われるのは、それこそほんの一瞬だ。お互いに高速ですれ違う船と船にとって、その一瞬しか攻撃の機会がないからである。その一瞬が過ぎると、二隻の船は大きく離れてしまう。
そして、また同じ事を繰り返す。
〈ネフェリット〉と海賊船の戦いは、すでに三十時間が過ぎようとしていた。ただし、それは〈ネフェリット〉の主観時間でである。
両者とも今は時間圧縮フィールドの中にいるため、外の時間では二十分しか経過していない。
「どうやら、手加減できる相手ではなさそうだな」
推進剤の分布、攻撃パターン、その他の観測結果が分析され〈ネフェリット〉のスペックが次第に明らかになるに連れ、鬼頭は相手を甘く見ていた事を認識した。
「時間圧縮フィールドの性能は、ほぼ互角か。しかし、加速力で僅かに負けている」
鬼頭の船は、〈ネフェリット〉のものより旧式の対消滅エンジンを使用していた。無理をすれば、〈ネフェリット〉と同じぐらいの加速はできるが、そんな事をすれば燃費効率が悪くなるばかりか、エンジンも痛む。さらに、慣性中和機構の性能は〈ネフェリット〉の三分に一以下である。
最大加速を掛けるとその慣性を殺し切れないため、あまり長時間の加速はできない。火力においては鬼頭の船の方が上だが、三十時間の間に交戦の機会は二回あったのに、その時に〈ネフェリット〉に命中したレーザーはわずか数パーセント。
〈ネフェリット〉の放ったレーザーは五十パーセント以上命中している。
力場障壁がなければ大破しているところであった。
だが、その頼みも綱の力場障壁も消えかかっていた。
「なぜ、こうも命中率が違うのだ。実戦経験では、我々の方が上ではないのか?」
鬼頭の疑問に船長が答えた。
「実戦経験と言っても、超光速船同士の戦いは俺も初めてです。それより、向こうは砲撃手にダウザーを使っているのでは?」
「ダウザーだと?」
「ええ。マリネリス紛争の頃、マリネリス軍は遺跡発掘現場で活躍していたダウザー達を徴用したんですよ。レーダーでは捕らえられない超光速船やステルス船を、ダウザーの勘で捕まえようという魂胆だったんでしょうけど、まあ、ある程度効果はあったみたいですよ。超光速船も何隻かやられたみたいだし……」
その時に破壊された超光速船の残骸から、ジャンク屋に回収されたEMを鬼頭は手に入れこの船を建造したのである。
「それで、あの船の砲撃手が、ダヴザーだという根拠はあるのか?」
「ええ。先に管制センターに問い合わせて、あの船の船籍と所属を調べたんですが」
船長はディスプレーにデータを表示した。
船名……〈ネフェリット〉
船籍……〈タイタン〉
所属……竹ノ内ルーンリサーチ事務所
「遺跡調査……俗に言うオーパーツハンターですよ」
「それが怪盗ミルフィーユの表の顔か。ふむ。オーパーツハンターなら、当然、仲間にダヴザーがいるだろう。だとすると、かなり、厄介だな」
鬼頭の脳裏を、撤退の二文字が横切った時。
「お頭。ちょっと、これを見て下さい」
部下の一人が計器を示した。
「ふむ」鬼頭は怪訝な顔で計器のぞき込んだ。「どうやら、運が向いて来たようだな」
ニヤリと笑う。
「このデータを元にして奴の居場所を割り出し、レーザーを撃ち込め。なんの反応もなければ、撤退する」
「反応があった場合は、どうします?」
「奴の正面に周り込め。そこが、超光速船の死角だ」
「は」
船長が返事をした直後、船体が大きく揺れた。
「なにがあった!?」
「攻撃です! 力場障壁が完全に消滅しました。かなりの被害が出ています」
別のオペレーターが被害状況を報告する。
「第三装甲板大破! 第二砲塔使用不能、第三エンジン完全停止。推力四分の三にダウン」
長い時間を掛けて相手の位置を探りだし、さらに長い時間を掛けて相手に近付き、そして攻撃を掛ける。攻撃が行われるのは、それこそほんの一瞬だ。お互いに高速ですれ違う船と船にとって、その一瞬しか攻撃の機会がないからである。その一瞬が過ぎると、二隻の船は大きく離れてしまう。
そして、また同じ事を繰り返す。
〈ネフェリット〉と海賊船の戦いは、すでに三十時間が過ぎようとしていた。ただし、それは〈ネフェリット〉の主観時間でである。
両者とも今は時間圧縮フィールドの中にいるため、外の時間では二十分しか経過していない。
「どうやら、手加減できる相手ではなさそうだな」
推進剤の分布、攻撃パターン、その他の観測結果が分析され〈ネフェリット〉のスペックが次第に明らかになるに連れ、鬼頭は相手を甘く見ていた事を認識した。
「時間圧縮フィールドの性能は、ほぼ互角か。しかし、加速力で僅かに負けている」
鬼頭の船は、〈ネフェリット〉のものより旧式の対消滅エンジンを使用していた。無理をすれば、〈ネフェリット〉と同じぐらいの加速はできるが、そんな事をすれば燃費効率が悪くなるばかりか、エンジンも痛む。さらに、慣性中和機構の性能は〈ネフェリット〉の三分に一以下である。
最大加速を掛けるとその慣性を殺し切れないため、あまり長時間の加速はできない。火力においては鬼頭の船の方が上だが、三十時間の間に交戦の機会は二回あったのに、その時に〈ネフェリット〉に命中したレーザーはわずか数パーセント。
〈ネフェリット〉の放ったレーザーは五十パーセント以上命中している。
力場障壁がなければ大破しているところであった。
だが、その頼みも綱の力場障壁も消えかかっていた。
「なぜ、こうも命中率が違うのだ。実戦経験では、我々の方が上ではないのか?」
鬼頭の疑問に船長が答えた。
「実戦経験と言っても、超光速船同士の戦いは俺も初めてです。それより、向こうは砲撃手にダウザーを使っているのでは?」
「ダウザーだと?」
「ええ。マリネリス紛争の頃、マリネリス軍は遺跡発掘現場で活躍していたダウザー達を徴用したんですよ。レーダーでは捕らえられない超光速船やステルス船を、ダウザーの勘で捕まえようという魂胆だったんでしょうけど、まあ、ある程度効果はあったみたいですよ。超光速船も何隻かやられたみたいだし……」
その時に破壊された超光速船の残骸から、ジャンク屋に回収されたEMを鬼頭は手に入れこの船を建造したのである。
「それで、あの船の砲撃手が、ダヴザーだという根拠はあるのか?」
「ええ。先に管制センターに問い合わせて、あの船の船籍と所属を調べたんですが」
船長はディスプレーにデータを表示した。
船名……〈ネフェリット〉
船籍……〈タイタン〉
所属……竹ノ内ルーンリサーチ事務所
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「それが怪盗ミルフィーユの表の顔か。ふむ。オーパーツハンターなら、当然、仲間にダヴザーがいるだろう。だとすると、かなり、厄介だな」
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「ふむ」鬼頭は怪訝な顔で計器のぞき込んだ。「どうやら、運が向いて来たようだな」
ニヤリと笑う。
「このデータを元にして奴の居場所を割り出し、レーザーを撃ち込め。なんの反応もなければ、撤退する」
「反応があった場合は、どうします?」
「奴の正面に周り込め。そこが、超光速船の死角だ」
「は」
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「攻撃です! 力場障壁が完全に消滅しました。かなりの被害が出ています」
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