Dear my...

E.L.L

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23章

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英司から電話がかかってきたのは、小笠原の電話を切ってすぐの事だった

「あの…照史先輩、俺やっぱり早くスタジオ復帰したいんですけどダメですか?」

「は?」

退院するとき、家まで車で送った時にあれほど言ったのに

「俺、早く…カメラ触りたいんです…
例えば明日にでも」

「ダメに決まってんだろ
まだ安静にしてろって医者にも言われただろ」

俺はため息をついた

「英司、お前がカメラを好きなのは知ってる
でもな、無理したら体の方が参っちまうんだよ」

「けど…俺…」

「とにかくダメだ
上司命令だ」

「…あの…」

「なんだよ、まだ何かあるのか?」

「1つ…教えて欲しいことがあるんですけど…」

「何だ?」

「小笠原先輩ってお元気ですか?」

「は?り…小笠原?なんで俺に聞くんだよ」

「え、先輩と小笠原先輩、付き合ってるじゃないですか」

「別れたよ!
なにいってん…
あぁ、そっか…
まぁ色々あってな
今は付き合ってねぇ」

「…あ…
すみません…」

「謝んなよ…しょうがねぇよ」

「…」

「で?」

「え?」

「小笠原になんか用あるんだろ?」

「あ、はい…
氷野さんの…ことなんですけど…」

ますます方向性が分からなくなってきた

「結子ちゃんがどうかしたのか?」

「小笠原先輩の…後輩って言ってたんで…」

「おう」

「なんか、この前無理言って…会いに来てもらったんですけど…俺…なんかまた…その…」

相変わらずはっきり言えねぇやつだな
そう思いながらも俺の頬は少し緩んだ
記憶がなくなっても結子に‪また会いたいという
結子ちゃん、君の提案はもしかしたらこいつには無意味かもしれない

「結子ちゃんに会いたいのか」

「あ…はい…でも、それだけじゃなくて…なんかあんまり体調良くなさそうで、なんか、その…心配で
…それに、なんかもっと大事なこと俺忘れてるんじゃないかなって…カメラ、あんなに始めるの、…すごく悩んでたのに…俺今写真の仕事してて、」

まとまっていない頭の中を頑張って話している感じだ
言葉にするのが苦手で話すことをたまに諦めていたやつが

「氷野さんの…こととかカメラのこととかばっか…考えちゃって…」

それで心をおちつける為にカメラに触りたい、とね
小笠原のことを聞いたのは小笠原から結子ちゃんのことを聞こうってことかな

「英司」

それまで何とかもごもご話そうとしていた英司がピタリと止まった

「分かったから
お前明後日の昼からスタジオ来い
絶対昼以降だ
それより前に来たらスタジオに入れねぇ」

「あ…ありがとうございます」
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