Dear my...

E.L.L

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33章

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部屋にアールグレイの香りが満ちる
氷野さんが紅茶を俺の前に置いてくれる
おいしい
俺が入れるよりも多分、いや絶対何倍もおいしい

さっきはつい腕を掴んでしまったし、結局お茶もいれさせてしまったし…
だけど、あそこで引き止めなければもう二度と会えない気がした
俺は氷野さんを完全に思い出した訳じゃないのに
会いたいと思ったのは記憶のない俺か、過去の俺の名残か…

何から切り出したらいいのか、どうやって呼んだらいいのかさえずっと悩んでいる

彼女がなにも言わなかったのは何でだ?
俺から離れたがっていると考えるのが一番しっくりくる
まだ日記は最後まで読めていないけど、何かしてしまったのだろうか?
傷つけて、俺なんかもう嫌だって?
でもそれなら…なんで彼女は会いに来てくれたんだ?
俺自身に思い出して欲しい、とか?

うわ、俺何考えてんの?
気持ち悪いな

「あの…」

黙り込んでいる俺に痺れを切らしたのか、彼女がおずおずと話始める

「何でここにいるんですか?」

非常にシンプルな疑問を心地いい声で投げかけられる
彼女からしたら当然だろうその質問に答えたら指輪のことを話さなければならない
結局まだ中を確認できていないあの箱
俺は彼女にプロポーズした後なのなのだろうか、前なのだろうか
もしまだなら、こんな状況で言うのは如何なものか…
指輪がまだ店にあったということはほぼ確実にまだだろうな…特に俺だし…
とにかく話題を変えよう

「…あの…えっと…それは長い話になるので…その前、にお聞きしたいことが…」

「何でしょう?」

「え?…あの、その…氷野さんは…俺の事嫌なんですか?」

あ、やっちまった
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