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番外編 afterstory
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今日は前に行きそびれたショートケーキを食べに行く
念入りに化粧をして、変なところがないか何度も鏡の前で確認する
何回見てもそわそわしてしまう
落ち着かなきゃ
早めに着くように家を出ると玄関のすぐ横に人影があってビックリする
「駅で待ち合わせだったでしょ?!
な、何で?」
「悪い…何か、ちょっと、待ちきれなくて…」
昔付き合ってた時は、待ち合わせ時間に来ない時もあったし連絡が付かなくて何してるかと思えば写真を撮りに行っていたのことが後からわかる時もあった
写真を撮るのは一瞬を切り取ることだから、その時でないといけないのは分かるけど…
連絡が欲しかったし、やっぱり何度もあるのは辛かった
そんな時ばかりではなかったけど終わりの方はそんな記憶ばかりが降り積もっていた
連れてきてくれたカフェは木目調で木の香りがほんのり漂っていた
落ち着く
「ここ、ちょっと前にできたんだけどクリームが美味しいんだよ
甘すぎなくてさ」
「本当にスイーツのお店詳しいわよね」
照史はブラックコーヒーといちごタルトを注文する
私は紅茶とショートケーキを選んだ
照史は取り皿を頼んでいて、タルトが来ると半分に切って私にくれた
「いちご、好きだよな?」
「…ありがとう」
そういえば
「ねぇ、甘いもの苦手?」
「え?」
「いつもブラックコーヒーだし…」
一緒に行く時以外は甘いものを食べてるのを見たことがあまりなかった気がする
「…」
照史が目を泳がせる
「…もしかして、私のため?」
「…」
言ったあとで恥ずかしくなる
だって照史は『おいしかった』ところに連れて行ってくれていたんだから、自発的に甘いもの食べてるに決まっている
え、私自意識過剰じゃない?
「…凛花が、美味しそうに食べるから…」
顔を上げると照史はまだ俯いている
「…いちご食べてる時幸せそうだから
知り合いがうまいって言ってた所の店の雰囲気とか飲み物とか行ってみないと分かんないじゃん…」
そのために下見して連れて行ってくれていたの?
何で教えてくれなかったの?
って言おうとして辞めた
私も聞こうとしなかったから
照史が私のこと想ってくれていたという欠片があったのに見逃してきてしまっていた
きっとまだまだ沢山あるかもしれない
優しいところが好きだと思っていたくせに、全然分かってなかったのかも
私たちはもっと話すべきだったのかもしれない
時間は有限だけど、これは時間をかけるべきところだ
「ねぇ照史」
「ん?」
「このケーキ、本当に美味しい」
「おう」
「あのね」
「うん」
「友達がね、美味しいコーヒー豆をお土産にくれたの
飲みに来ない?」
あなたともっと話したいの
念入りに化粧をして、変なところがないか何度も鏡の前で確認する
何回見てもそわそわしてしまう
落ち着かなきゃ
早めに着くように家を出ると玄関のすぐ横に人影があってビックリする
「駅で待ち合わせだったでしょ?!
な、何で?」
「悪い…何か、ちょっと、待ちきれなくて…」
昔付き合ってた時は、待ち合わせ時間に来ない時もあったし連絡が付かなくて何してるかと思えば写真を撮りに行っていたのことが後からわかる時もあった
写真を撮るのは一瞬を切り取ることだから、その時でないといけないのは分かるけど…
連絡が欲しかったし、やっぱり何度もあるのは辛かった
そんな時ばかりではなかったけど終わりの方はそんな記憶ばかりが降り積もっていた
連れてきてくれたカフェは木目調で木の香りがほんのり漂っていた
落ち着く
「ここ、ちょっと前にできたんだけどクリームが美味しいんだよ
甘すぎなくてさ」
「本当にスイーツのお店詳しいわよね」
照史はブラックコーヒーといちごタルトを注文する
私は紅茶とショートケーキを選んだ
照史は取り皿を頼んでいて、タルトが来ると半分に切って私にくれた
「いちご、好きだよな?」
「…ありがとう」
そういえば
「ねぇ、甘いもの苦手?」
「え?」
「いつもブラックコーヒーだし…」
一緒に行く時以外は甘いものを食べてるのを見たことがあまりなかった気がする
「…」
照史が目を泳がせる
「…もしかして、私のため?」
「…」
言ったあとで恥ずかしくなる
だって照史は『おいしかった』ところに連れて行ってくれていたんだから、自発的に甘いもの食べてるに決まっている
え、私自意識過剰じゃない?
「…凛花が、美味しそうに食べるから…」
顔を上げると照史はまだ俯いている
「…いちご食べてる時幸せそうだから
知り合いがうまいって言ってた所の店の雰囲気とか飲み物とか行ってみないと分かんないじゃん…」
そのために下見して連れて行ってくれていたの?
何で教えてくれなかったの?
って言おうとして辞めた
私も聞こうとしなかったから
照史が私のこと想ってくれていたという欠片があったのに見逃してきてしまっていた
きっとまだまだ沢山あるかもしれない
優しいところが好きだと思っていたくせに、全然分かってなかったのかも
私たちはもっと話すべきだったのかもしれない
時間は有限だけど、これは時間をかけるべきところだ
「ねぇ照史」
「ん?」
「このケーキ、本当に美味しい」
「おう」
「あのね」
「うん」
「友達がね、美味しいコーヒー豆をお土産にくれたの
飲みに来ない?」
あなたともっと話したいの
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