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🌹『翠玉のケエス:芽吹』🌹 本編 💎 The MOON:U 💎
Drop.007『 The MOON:U〈Ⅰ〉』【2】
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「そうだねぇ……。――俺らイヌ科って、獣性異常になりやすいってだけで、気性が荒いとか、犯罪を起こしやすいなんて偏見も持たれがちだし……、――元々はそうじゃなかったけど、そういう偏見で差別されたり、嫌な思いさせられ続けたから、その結果で、性格がスレて荒れちゃうってパターンの方が多いのに、データまできっちりあっても、な~ぜ~か、――分かってもらえないんだよねぇ……コレが」
菖蒲は、話しながら、自身の過去にも思うところがあったのか、ひとつ溜め息を吐く。
菖蒲の云うように、世間には確かに様々な偏見が存在しており、獣性異常とイヌ科族に関する偏見も、その代表的な一例と云えるが、――生まれながらや、後発的に生じる事もある獣性異常においては、いくら医療が発展し、あらゆるデータが開示されても、世間の偏見が薄れる様子はない。
そんな――、残酷とも云える運命を理由もなく背負わされた京たちを思うと、やはり胸が締まるような感覚になる。
「根はあんなにも良い子たちなのに……、幼い頃から偏見を押し付けられて、色んな事を無理やり我慢させられて……、――その果てに世間からも外れ者になんてされたら……、――辛くないわけがないわよね……」
「うん。そうだね……。――でもさ、もし、そのオオカミちゃんたちが本当に理性がきかないようなコたちだったら、きっと、法雨に声かける前に事件を起こしてたと思うんだよね。――だから、薬抗体質まで抱えてたのに、そのコたちがそれほど我慢できたのなら――むしろ、理性はかなり強い方だと思うんだけど」
菖蒲の云うように、京たちが薬抗体質でさえなければ、抑制剤だけで十分に発作は抑えられていただろうし、平穏な人生だって送れていただろう。
それに、どれほどレベルの高い獣性異常を抱えていたとしても、発作時以外は、他の者たちと区別がつかないほどに特異性がなく、獣性異常自体は、その者の性格には影響しない事が医学的にも証明されているし、学校の授業でも散々と学ばされる“常識”なのだが――、そうであっても世間の理解は未だ乏しく、このような偏見は、現代においても問題視され続けているものだ。
幸いにして、法雨自身は獣性異常の体質とは無縁の人生を送ってこられたが――、こうして、実際に獣性異常に苦しむ者たちと縁を持つと、その体質によって生じる様々な苦難を想像する度、溜め息をつかざるを得ない。
「――でも……、今回の件は、アタシもいけなかったのよね……」
「え? ――なんで?」
様々と思考を巡らせた果て、法雨が言うと、菖蒲は不思議そうにした。
法雨は、またひとつ紅茶に口をつけると、煌めき揺らぐ琥珀色を眺めながら言った。
「だって……、あの子たちに声をかけられた時、アタシがちゃんと抵抗していれば、あの子たちはそこで諦めて、そのまま大人しく帰ったはずだったのよ……。――だから……、あんな風に投げやりに判断せず、ちゃんと、大人としての対応をしてあげられていれば、あの子たちは、犯罪まがいな事もしないで済んだんだもの……」
その法雨の言葉に、菖蒲は苦笑するようにして言った。
菖蒲は、話しながら、自身の過去にも思うところがあったのか、ひとつ溜め息を吐く。
菖蒲の云うように、世間には確かに様々な偏見が存在しており、獣性異常とイヌ科族に関する偏見も、その代表的な一例と云えるが、――生まれながらや、後発的に生じる事もある獣性異常においては、いくら医療が発展し、あらゆるデータが開示されても、世間の偏見が薄れる様子はない。
そんな――、残酷とも云える運命を理由もなく背負わされた京たちを思うと、やはり胸が締まるような感覚になる。
「根はあんなにも良い子たちなのに……、幼い頃から偏見を押し付けられて、色んな事を無理やり我慢させられて……、――その果てに世間からも外れ者になんてされたら……、――辛くないわけがないわよね……」
「うん。そうだね……。――でもさ、もし、そのオオカミちゃんたちが本当に理性がきかないようなコたちだったら、きっと、法雨に声かける前に事件を起こしてたと思うんだよね。――だから、薬抗体質まで抱えてたのに、そのコたちがそれほど我慢できたのなら――むしろ、理性はかなり強い方だと思うんだけど」
菖蒲の云うように、京たちが薬抗体質でさえなければ、抑制剤だけで十分に発作は抑えられていただろうし、平穏な人生だって送れていただろう。
それに、どれほどレベルの高い獣性異常を抱えていたとしても、発作時以外は、他の者たちと区別がつかないほどに特異性がなく、獣性異常自体は、その者の性格には影響しない事が医学的にも証明されているし、学校の授業でも散々と学ばされる“常識”なのだが――、そうであっても世間の理解は未だ乏しく、このような偏見は、現代においても問題視され続けているものだ。
幸いにして、法雨自身は獣性異常の体質とは無縁の人生を送ってこられたが――、こうして、実際に獣性異常に苦しむ者たちと縁を持つと、その体質によって生じる様々な苦難を想像する度、溜め息をつかざるを得ない。
「――でも……、今回の件は、アタシもいけなかったのよね……」
「え? ――なんで?」
様々と思考を巡らせた果て、法雨が言うと、菖蒲は不思議そうにした。
法雨は、またひとつ紅茶に口をつけると、煌めき揺らぐ琥珀色を眺めながら言った。
「だって……、あの子たちに声をかけられた時、アタシがちゃんと抵抗していれば、あの子たちはそこで諦めて、そのまま大人しく帰ったはずだったのよ……。――だから……、あんな風に投げやりに判断せず、ちゃんと、大人としての対応をしてあげられていれば、あの子たちは、犯罪まがいな事もしないで済んだんだもの……」
その法雨の言葉に、菖蒲は苦笑するようにして言った。
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