運命に惑うケモミミBL♂ハイスペ愛情深🐺×恋歴難美人オネェ🐱『ロドンのキセキ🌹翠玉のケエス💎輝石ノ箱ヨリ⚙️芽吹』連載中

🍶醇壱🔹JUNICHI🍶

文字の大きさ
25 / 91
🌹『翠玉のケエス:芽吹』🌹 本編 💎 The MOON:U 💎

Drop.009『 The MOON:U〈Ⅲ〉』【1】

しおりを挟む
 
 
 
「――ちょっと、アンタね……」
 どちらが先に幸せになるべきか――。
 その、ひとしきりの問答が落ち着くと――、菖蒲あやめ法雨みのりは、続いて、しばしばかり互いに融け合うひと時を過ごした。
 そんな彼らの火照ったその身とは逆に、からになったティーカップたちはすっかりと冷え込んでいる。
 その中、同じく冷え込んだ声色で文句を紡いだ法雨に、菖蒲はふにゃりと笑った。
「えへへ……」
 
 
 ― Drop.009『 The MOON〈Ⅲ〉』―
 
 
 汗ばんだ肌を感じ合いながらソファでまどろむ中、たしなめられたにも関わらず満足そうに笑う菖蒲を、法雨はぺしりと叩き、大きな溜め息をついた。
「――まったく……“えへへ”じゃないわよ……。――何度も言ってるけど、アタシはアンタと違ってマゾじゃないんだから、寸止めなんてヤメてちょうだい……」
「へへへ~……可愛くてつい~……。――でもかったでしょ~?」
「――悦くないから言ってんのよ」
「――え~? ほんと~?」
「ほんとよ。――もう二度としないで」
「――しょうがないなぁ……。――………………。――あぁ、でもそうだね。うん。――まぁ、もう“二度とできない”かもしれないし、――心配しなくても大丈夫だよ」
「――え?」
「――………………。――ねぇ、法雨……。――その、“雷さん”ってさ……、――カッコよかったんでしょ?」
 ゆるりと尾を揺らすと、菖蒲はぽつりと零すようにして言った。
 法雨は、その問いの意図が分からず、それに眉根を寄せると、疑問の意を返す。
「――え、“雷さん”? ――ちょっと、何よ……。――なんで突然、雷さんの話になるのよ……」
 そんな法雨に、菖蒲は微かに顔をほころばせて紡ぐ。
「――いやぁ~……、俺としてはぁ~、――やっぱ、その二人の出逢いにも運命的な予感をじんわ~り感じててさぁ~」
「はぁ? ――ちょっとヤダ。――変なコト言わないでちょうだいよ。やぁね」
「えぇ~? なんで~? ――俺はイイと思うんだけどなぁ」
「イヤよ。――それに、前にも言ったでしょ? ――もうオオカミは御免なの。――雷さんが例え“善いオオカミ”だったとしても、オオカミと恋愛なんて、それこそ、二度としたくないわ」
 不意に妙な事を言われ、法雨は図らずも己の鼓動が乱れるのを感じる。
(――まったく。――何を言い出すかと思えばこの子は……。――オオカミと恋愛なんて、例え、あの雷さん相手だったとしても、どうせろくなことにならないんだから……。――勘弁してほしいわ……)
 もちろん、雷が、――酷く優しく、酷く誠実なオオカミである事は、法雨も痛いほど理解している。
 だが――、だからこそ、法雨は、そんな彼の深い優しさにこれ以上触れたくなかった。
(――それに、一度でもあの優しさに浸かってしまったら……、また、あの“くだらない憧れ”まで、抱き始めちゃうかもしれないもの……)
 そして、そんな事を思いながら、法雨はふと、雷と交わした“とあるやりとり”を思い出し、静かに笑むようにして言った。
「――あぁ、それとね、――そんなのきっと、あっちから願い下げだわ」
「え? なんで?」
 その予想外の言葉に、菖蒲が顔を上げ、首を傾げると、法雨はソファに身を預け、やんわりと瞳を閉じて続ける。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕のポラリス

璃々丸
BL
 陰キャでオタクなボクにも遂に春が来た!?  先生からだけで無く、クラスカースト上位の陽キャ達も、近隣に幅を効かせる不良達からも一目置かれるまるで頭上の星のようなひとだ。  しかも、オタクにまで優しい。たまたま読んでいたボクの大好きなコミック「恋色なな色どろっぷす」を指差して、「あ、ソレ面白いよね」なんて話しかけられて以来、何かと話しかけられるようになっていった。  これだけだとたまたまかな?と思うけど距離も何かと近くて・・・・・・コレ、ってボクの勘違い?それとも?  ・・・・・・なぁーんて、ボクの自意識過剰かな。  なんて、ボクの片思いから始まる甘酸っぱいお話。  みたいなBSS未満なお話。  

【完結】白い森の奥深く

N2O
BL
命を助けられた男と、本当の姿を隠した少年の恋の話。 本編/番外編完結しました。 さらりと読めます。 表紙絵 ⇨ 其間 様 X(@sonoma_59)

たとえ運命じゃなくても、僕は

mimi
BL
「僕は自分の気持ちを信じたい。 たとえ運命から背を背けようとも」 音楽大学に通うΩの青年・相田ひなた。 努力家の先輩αと、 運命の番だと告げられた天才α。 運命か、愛情か―― 選ぶのは、僕自身だ。 ※直接的な描写はありません。

役を降りる夜

相沢蒼依
BL
ワンナイトから始まった関係は、恋じゃなくて契約だった―― 大学時代の先輩・高瀬と、警備員の三好。再会の夜に交わしたのは、感情を持たないはずの関係だった。 けれど高瀬は、無自覚に条件を破り続ける。三好は、契約を守るために嘘をついた。 本命と会った夜、それでも高瀬が向かったのは――三好の部屋だった。そこからふたりの関係が揺らいでいく。

青龍将軍の新婚生活

蒼井あざらし
BL
犬猿の仲だった青辰国と涼白国は長年の争いに終止符を打ち、友好を結ぶこととなった。その友好の証として、それぞれの国を代表する二人の将軍――青龍将軍と白虎将軍の婚姻話が持ち上がる。 武勇名高い二人の将軍の婚姻は政略結婚であることが火を見るより明らかで、国民の誰もが「国境沿いで睨み合いをしていた将軍同士の結婚など上手くいくはずがない」と心の中では思っていた。 そんな国民たちの心配と期待を背負い、青辰の青龍将軍・星燐は家族に高らかに宣言し母国を旅立った。 「私は……良き伴侶となり幸せな家庭を築いて参ります!」 幼少期から伴侶となる人に尽くしたいという願望を持っていた星燐の願いは叶うのか。 中華風政略結婚ラブコメ。 ※他のサイトにも投稿しています。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

人並みに嫉妬くらいします

米奏よぞら
BL
流されやすい攻め×激重受け 高校時代に学校一のモテ男から告白されて付き合ったはいいものの、交際四年目に彼の束縛の強さに我慢の限界がきてしまった主人公のお話です。

君が僕を好きなことを知ってる

大天使ミコエル
BL
【完結】 ある日、亮太が友人から聞かされたのは、話したこともないクラスメイトの礼央が亮太を嫌っているという話だった。 けど、話してみると違和感がある。 これは、嫌っているっていうより……。 どうやら、れおくんは、俺のことが好きらしい。 ほのぼの青春BLです。 ◇◇◇◇◇ 全100話+あとがき ◇◇◇◇◇

処理中です...