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🌹『翠玉のケエス:芽吹』🌹 本編 💎 The HANGED MAN:U 💎
Drop.015『 The HANGED MAN:U〈Ⅲ〉』【2】
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「――まぁ……、これは、――正直ありえなさそうって事なんだけどね……。――ほら、小説とか、映画とかでもたまにあるじゃない? ――自分が恋してしまった相手に、“その好きな人って誰なんですか?”って尋かれたりした時――、その相手に自分の恋心を悟られないようにするために、“好きな人は居るけど、誰かは言えない”って、言ったりするシーンが」
「――あぁ。――ありますねぇ」
「――で、そう言われた本人は、大体、“この人は、自分以外の誰かが好きなんだろう”って、思うわよね?」
「――はぁ。――まぁ、変に勘ぐらなきゃ、そうっすねぇ……。――……って、――え……?」
未熟な助手は、どうやらそこで、法雨が思いついた“ありえない思い付き”の内容を察したらしく、眉間に皺を寄せて続けた。
「――えっと、――つまり、――それを雷さんの話に置き換えると……、――雷さんが、“言えないって答えた相手”が、雷さんが恋しちゃった相手になるって事っすよね……」
「――えぇ。そうなるわね」
そんな京に、法雨が溜め息交じりに言うと、彼は、心からの確信をもって言った。
「――それは……、――絶、対、に、――ないっすね……」
「――そうでしょ。――アタシもそう思う」
つまり、法雨が思いついただけの“ありえない”仮定が真であった場合、――雷がとんでもない初恋をしてしまった相手は、この未熟でやかましい助手ということになる。
が――、やはりそれは、その助手自身も心からの確信をもって否定してしまうほどに、“絶、対、に、ありえない”事――という結論で決着がついた。
(――それにしても……、――雷さんも、せっかくの初恋がそんな壮絶な恋になるなんて……、――この“オオカミ坊や”たちの事と云い、――アタシからの非礼も含め……、――苦労の多い年を過ごしてるわね……)
法雨は、そう思いながら、未だカウンターでうんうんと考え込んでいる未熟な助手を見やりながら、次のオーダーを問うてやる。
その中、そんな京“坊や”を目の前にしているせいか、法雨はまたひとつ、よからぬ仮定を立ててしまった。
(――まさか……、――未成年の子に、とか……? ――ま、まさかね……)
法雨は、図らずも立ってしまった仮定とは云え、なんとなくまた雷に非礼を働いてしまったような気になり、その仮定を振り払いながらも、心の内で届かぬ詫びを紡いだ。
(――ごめんなさいね。雷さん……。――でも、――真相については、まったく見当もつかないけれど……。――今度、お店にいらした時も困っている様子なら、――やっぱり、アタシからも尋いてみた方がよさそうね……。――オトナの恋愛であるなら、尚のこと“坊や”には相談できないでしょうし。――アタシが力になれる事もあるかもしれないし……)
法雨は、改めてそう決すると、恩人でもある悩める探偵を想いながら、図らずも伝達役を務めてくれた助手に、次のカクテルを贈った。
Next → Drop.016『 JUSTICE:U〈Ⅰ〉』
「――あぁ。――ありますねぇ」
「――で、そう言われた本人は、大体、“この人は、自分以外の誰かが好きなんだろう”って、思うわよね?」
「――はぁ。――まぁ、変に勘ぐらなきゃ、そうっすねぇ……。――……って、――え……?」
未熟な助手は、どうやらそこで、法雨が思いついた“ありえない思い付き”の内容を察したらしく、眉間に皺を寄せて続けた。
「――えっと、――つまり、――それを雷さんの話に置き換えると……、――雷さんが、“言えないって答えた相手”が、雷さんが恋しちゃった相手になるって事っすよね……」
「――えぇ。そうなるわね」
そんな京に、法雨が溜め息交じりに言うと、彼は、心からの確信をもって言った。
「――それは……、――絶、対、に、――ないっすね……」
「――そうでしょ。――アタシもそう思う」
つまり、法雨が思いついただけの“ありえない”仮定が真であった場合、――雷がとんでもない初恋をしてしまった相手は、この未熟でやかましい助手ということになる。
が――、やはりそれは、その助手自身も心からの確信をもって否定してしまうほどに、“絶、対、に、ありえない”事――という結論で決着がついた。
(――それにしても……、――雷さんも、せっかくの初恋がそんな壮絶な恋になるなんて……、――この“オオカミ坊や”たちの事と云い、――アタシからの非礼も含め……、――苦労の多い年を過ごしてるわね……)
法雨は、そう思いながら、未だカウンターでうんうんと考え込んでいる未熟な助手を見やりながら、次のオーダーを問うてやる。
その中、そんな京“坊や”を目の前にしているせいか、法雨はまたひとつ、よからぬ仮定を立ててしまった。
(――まさか……、――未成年の子に、とか……? ――ま、まさかね……)
法雨は、図らずも立ってしまった仮定とは云え、なんとなくまた雷に非礼を働いてしまったような気になり、その仮定を振り払いながらも、心の内で届かぬ詫びを紡いだ。
(――ごめんなさいね。雷さん……。――でも、――真相については、まったく見当もつかないけれど……。――今度、お店にいらした時も困っている様子なら、――やっぱり、アタシからも尋いてみた方がよさそうね……。――オトナの恋愛であるなら、尚のこと“坊や”には相談できないでしょうし。――アタシが力になれる事もあるかもしれないし……)
法雨は、改めてそう決すると、恩人でもある悩める探偵を想いながら、図らずも伝達役を務めてくれた助手に、次のカクテルを贈った。
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