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🌹『翠玉のケエス:芽吹』🌹 本編 💎 The EMPRESS:R 💎
Drop.020『 The EMPRESS:R〈Ⅱ〉』【3】
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「――………………。――アタシには……、過去に……、――そう思うきっかけになった……、――オオカミ族の恋人が居たんです……」
「――………………」
「――なので、アタシ……、――“その男”を最後に、――恋愛そのものも、長い間、避けてきました……」
そう紡ぐ法雨に、雷は幾度か緩く頷くと、静かに言った。
「――つまり……、――法雨さんは、その男に、――“そう思うほどの事”を、されたのですね……」
法雨は、それにゆっくりと頷くと、ティーカップで煌めく夕陽色の水面を、ぼうっと見つめた。
「――そう……ですね……。――酷い事は……、されも、言われも、――沢山、しましたわね……」
その当時――、法雨は大学生であった。
そして、“その男”は、法雨よりやや年上のオオカミ族で、年齢にそぐわぬほど心が幼稚である上に、酷く荒い性格をしており、男を知るほとんどの人々が嫌煙するような男であった――のだが、希望を失い、平凡な日々に飽き、新鮮な刺激が欲しくなっていた当時の法雨の曇った瞳には、災難にも、その男が、酷く魅力的に映ってしまったのであった。
「――“あの男”は、アタシが人生で出会った中でも、――群を抜いて最低最悪の男でした……」
始めのうちこそ、法雨を貶すような事を言いながら、好きなように法雨で“処理をする”程度に留まっていたものの――、そんな扱いを受けながらも従順に己を慕い、命令通りにすべてを受け入れる法雨に、嗜虐心が煽られたのか――、男は、法雨を“使った”過激な処理をさらにエスカレートさせてゆき、最終的には、単なる暴力をも振るうようになっていった。
「――でも、それに耐えられなくなった頃には、アタシも一人では逃げられなくなっていたので……、――幸いにも、アタシの状況を察した友人たちが、協力して助けてくれたお蔭で、――無事、その男とは完全に縁を切る事ができたんです……」
「――そうだったのですね……。――では、つまり、その様な経験があったから、――“オオカミは嫌い”だと……」
雷の言葉に、法雨は、またゆっくりと頷く。
「――もちろん、――その前から、オオカミ族の人との恋は、何故か悪い思い出ばかりだったものですから、――特別、オオカミ族の男性を警戒するようになってしまったのは、その男の事だけが原因というわけではないのですけれど……、――でも、これだけ長い時間が経っても、つい、身構えてしまうようになってしまったのは、――やっぱり、あの男の事が大きいのだと思います……」
しかし、その悪夢の様な経験をした後も、法雨は、とある“心地”が忘れられず、愛無き色の纏う日々までは、終わらせる事ができなかった――。
Next → Drop.021『 The EMPRESS:R〈Ⅲ〉』
「――………………」
「――なので、アタシ……、――“その男”を最後に、――恋愛そのものも、長い間、避けてきました……」
そう紡ぐ法雨に、雷は幾度か緩く頷くと、静かに言った。
「――つまり……、――法雨さんは、その男に、――“そう思うほどの事”を、されたのですね……」
法雨は、それにゆっくりと頷くと、ティーカップで煌めく夕陽色の水面を、ぼうっと見つめた。
「――そう……ですね……。――酷い事は……、されも、言われも、――沢山、しましたわね……」
その当時――、法雨は大学生であった。
そして、“その男”は、法雨よりやや年上のオオカミ族で、年齢にそぐわぬほど心が幼稚である上に、酷く荒い性格をしており、男を知るほとんどの人々が嫌煙するような男であった――のだが、希望を失い、平凡な日々に飽き、新鮮な刺激が欲しくなっていた当時の法雨の曇った瞳には、災難にも、その男が、酷く魅力的に映ってしまったのであった。
「――“あの男”は、アタシが人生で出会った中でも、――群を抜いて最低最悪の男でした……」
始めのうちこそ、法雨を貶すような事を言いながら、好きなように法雨で“処理をする”程度に留まっていたものの――、そんな扱いを受けながらも従順に己を慕い、命令通りにすべてを受け入れる法雨に、嗜虐心が煽られたのか――、男は、法雨を“使った”過激な処理をさらにエスカレートさせてゆき、最終的には、単なる暴力をも振るうようになっていった。
「――でも、それに耐えられなくなった頃には、アタシも一人では逃げられなくなっていたので……、――幸いにも、アタシの状況を察した友人たちが、協力して助けてくれたお蔭で、――無事、その男とは完全に縁を切る事ができたんです……」
「――そうだったのですね……。――では、つまり、その様な経験があったから、――“オオカミは嫌い”だと……」
雷の言葉に、法雨は、またゆっくりと頷く。
「――もちろん、――その前から、オオカミ族の人との恋は、何故か悪い思い出ばかりだったものですから、――特別、オオカミ族の男性を警戒するようになってしまったのは、その男の事だけが原因というわけではないのですけれど……、――でも、これだけ長い時間が経っても、つい、身構えてしまうようになってしまったのは、――やっぱり、あの男の事が大きいのだと思います……」
しかし、その悪夢の様な経験をした後も、法雨は、とある“心地”が忘れられず、愛無き色の纏う日々までは、終わらせる事ができなかった――。
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