69 / 109
🌹『翠玉のケエス:芽吹』🌹 本編 💎 The STAR:U 💎
Drop.022『 The STAR:U〈Ⅰ〉』【2】
しおりを挟む
恐縮する法雨に、雷は重ねて笑顔で応じると、案内に従い、マンションに設けられているという地下駐車場へと車を向かわせた。
💎
そうして――、案内のもと、無事に地下駐車場内へと至った雷は、駐車場内の安全を目視確認しながら停車し、法雨に声をかけようとした――のだが、それより先に、法雨が不意の問いを紡ぐ。
「雷さん。――明日は、祝日ですけれど、――雷さんは、お仕事ですか?」
雷は、その唐突な問いを不思議そうにしながらも、ミラー越しの法雨に応じた。
「――え? いえ……、――祝日は京君を休みにしてあげたかったので、事務所も祝日休業に切り替えましたから、――一応は、俺も休みになりますが」
すると、その雷の言葉を受けた法雨は、何故か随分と嬉しそうに笑むと、言った。
「まぁ、それなら良かった。――その、突然の事で恐縮なのですけれど……、雷さん。――もしよろしければ、雨宿りと、家まで送ってまで頂いたお礼に、今夜は、うちでお食事なさって頂けません? ――実は最近、お世話になっている先々から美味しい贈り物を沢山頂いたばかりなんです。――ですから、今日のお礼も兼ねて、ぜひ御馳走させてくださいな」
これまで、法雨の頼みともなれば二つ返事で応じていた雷だが――、その雷が、法雨の頼みに応じるかを迷ったのは、“あの日”以来の事であった。
しかし、その雷がぱたりと黙した事で、彼が戸惑いから言葉に窮している事を、ミラー越しの様子からも察せているはず法雨も、何故か助け舟を出す事もなく、ただ黙し――、ただ微笑みながら――、彼の返事を待った。
その中、既にミラーから視線を外していた雷は、ハンドル越しのメーターを見つめながら、ゆっくりと、慎重に、紡ぎだす。
「――そう……、ですね……。――その……、――それは、――とても、嬉しいお誘いなのですが……、――いきなりお邪魔するのは、流石に、ご迷惑では、ないでしょうか……」
そんな雷に反し、法雨は、変わらずの微笑みを崩さぬまま応じる。
「ふふ。大丈夫ですわ。――アタシ、一人暮らしですから。――アタシがいきなりお連れしたお客様が来て迷惑する人なんて、うちには居ませんよ」
それに、いかにしても踏み止まろうとしているらしい雷は、なんとか紡ぐ。
「――………………。――ですが……、法雨さんも、今日は雨に打たれてお疲れでは……? ――それに、俺は、礼を頂くつもりでお送りしたわけではありませんから」
すると、その雷の言葉に、法雨は、これまでの微笑みをするりと寂しげな苦笑に転じさせると、しおらしげな声色で言った。
「――あぁ……、そ、そうですよね……。――ごめんなさい……。――雷さんだってお疲れですのに、こんな事をいきなり言われたら迷惑ですよね……。――アタシったら、送って頂いた身分ですのに、つい雷さんの優しさに甘えて我儘を言って……、いけませんね……」
すると、雷は、しばし慌てた様子を見せては、言った。
💎
そうして――、案内のもと、無事に地下駐車場内へと至った雷は、駐車場内の安全を目視確認しながら停車し、法雨に声をかけようとした――のだが、それより先に、法雨が不意の問いを紡ぐ。
「雷さん。――明日は、祝日ですけれど、――雷さんは、お仕事ですか?」
雷は、その唐突な問いを不思議そうにしながらも、ミラー越しの法雨に応じた。
「――え? いえ……、――祝日は京君を休みにしてあげたかったので、事務所も祝日休業に切り替えましたから、――一応は、俺も休みになりますが」
すると、その雷の言葉を受けた法雨は、何故か随分と嬉しそうに笑むと、言った。
「まぁ、それなら良かった。――その、突然の事で恐縮なのですけれど……、雷さん。――もしよろしければ、雨宿りと、家まで送ってまで頂いたお礼に、今夜は、うちでお食事なさって頂けません? ――実は最近、お世話になっている先々から美味しい贈り物を沢山頂いたばかりなんです。――ですから、今日のお礼も兼ねて、ぜひ御馳走させてくださいな」
これまで、法雨の頼みともなれば二つ返事で応じていた雷だが――、その雷が、法雨の頼みに応じるかを迷ったのは、“あの日”以来の事であった。
しかし、その雷がぱたりと黙した事で、彼が戸惑いから言葉に窮している事を、ミラー越しの様子からも察せているはず法雨も、何故か助け舟を出す事もなく、ただ黙し――、ただ微笑みながら――、彼の返事を待った。
その中、既にミラーから視線を外していた雷は、ハンドル越しのメーターを見つめながら、ゆっくりと、慎重に、紡ぎだす。
「――そう……、ですね……。――その……、――それは、――とても、嬉しいお誘いなのですが……、――いきなりお邪魔するのは、流石に、ご迷惑では、ないでしょうか……」
そんな雷に反し、法雨は、変わらずの微笑みを崩さぬまま応じる。
「ふふ。大丈夫ですわ。――アタシ、一人暮らしですから。――アタシがいきなりお連れしたお客様が来て迷惑する人なんて、うちには居ませんよ」
それに、いかにしても踏み止まろうとしているらしい雷は、なんとか紡ぐ。
「――………………。――ですが……、法雨さんも、今日は雨に打たれてお疲れでは……? ――それに、俺は、礼を頂くつもりでお送りしたわけではありませんから」
すると、その雷の言葉に、法雨は、これまでの微笑みをするりと寂しげな苦笑に転じさせると、しおらしげな声色で言った。
「――あぁ……、そ、そうですよね……。――ごめんなさい……。――雷さんだってお疲れですのに、こんな事をいきなり言われたら迷惑ですよね……。――アタシったら、送って頂いた身分ですのに、つい雷さんの優しさに甘えて我儘を言って……、いけませんね……」
すると、雷は、しばし慌てた様子を見せては、言った。
0
あなたにおすすめの小説
天啓によると殿下の婚約者ではなくなります
ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。
フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。
●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移、回帰の要素はありません。
性表現は一切出てきません。
【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
雪を溶かすように
春野ひつじ
BL
人間と獣人の争いが終わった。
和平の条件で人間の国へ人質としていった獣人国の第八王子、薫(ゆき)。そして、薫を助けた人間国の第一王子、悠(はる)。二人の距離は次第に近づいていくが、実は薫が人間国に行くことになったのには理由があった……。
溺愛・甘々です。
*物語の進み方がゆっくりです。エブリスタにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる