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🌹『翠玉のケエス:芽吹』🌹 本編 💎 The LOVERS:U 💎
【New】Drop.027『 The LOVERS:U〈Ⅱ〉』【2】
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そうして雷を困惑させ、法雨を慌てさせた懐かしき写真に写っていたのは、これまで男子用の制服を着用していた若き法雨が――女子用の制服を着用した姿であった。
その当時の文化祭では、男子が女装をして客引きをするという催しをする事になったため、女子たちからの熱い要望に応えた法雨は、ありとあらゆる衣装をその身に纏い客引きをしていたのだが――、その写真には、ちょうど、同校の女子用制服を着用していたシーンが写されていた――というわけであった。
しかし、そんな写真上に写る若き法雨に対し、雷が黙してしまったのは、法雨が“女子用制服を着用していたから”というわけではなかった。
「まぁ……文化祭の催しでは、女装も男装もよくある事とは云っても……、――これはちょっと……、心配になる短さだね……」
法雨は、そうして――“法雨の女装”ではなく“法雨のスカート丈の短さ”を驚いてしまうあたりが雷らしいと思いながらも、しばし照れつつ弁明した。
「あ、あぁ……、スカートは、その……、中途半端に長いと、逆に落ち着かなかったから……」
そんな若き法雨のスカート丈がいかほどであったかと云えば、その真っ白な太腿がほぼすべて見えるほどの短さであった。
「まぁ……、女性たちが周りに居てくれたのなら、危ない目にも遭わなかっただろうし、――何事もなかったのならそれでいいんだが」
そして、“今”共に居る法雨の髪を撫でながら、サービスをし過ぎている若き彼を案じる雷を、法雨は愛しく想いながら、安心させるようにして言う。
「ふふ。――えぇ、もちろん。――本当に何事もなかったから大丈夫よ。――ありがとう」
「そうか。――それなら良かったよ」
そんな法雨の言葉に、改めて安堵したらしい雷は言うと、そっと法雨の髪に口付けるようにした。
そうして、それからまたしばし、高校生時代のアルバムから中学生時代のアルバムまでを寄り添い合いながら辿っていると――、ふと、雷が問うた。
「――そう云えば。――法雨さんは、いつ頃からそうして振舞うようになったんだい?」
その問いに、中空を見やるようにした法雨は、記憶の引き出しを探りながら答える。
「ええっと……、そうねぇ……、――確か……、――小学生くらいからだったと思うわ」
「そうだったのか……。――じゃあ、随分と幼い頃からだったんだね。――道理で、上品さに磨きがかかっているわけだ」
法雨の振る舞いを“上品さ”と表現する雷に、しばしくすぐったさを感じながらも、法雨は言う。
「ふふ。――そんな風に言ってもらえると、なんだか嬉しいわ。――幼い頃のアタシも、大喜びよ。――……アタシね、――母の様になりたかったの」
「お母様の様に?」
法雨は、問う様にした雷に頷くと、続ける。
「そう。――幼いアタシからしても、母はとても美しい人だった。――だから、その事が、子供ながらに自慢だったわ。――それで……、いつからか、そんな母に憧れるようになったアタシは、母の真似をするようになったの。――そして、それが、こうして振舞うようになったきっかけね」
「――なるほど。そういう経緯があっての事だったのか……。――でも、納得だな」
「――“納得”?」
法雨がそれに首を傾げると、雷は頷く。
その当時の文化祭では、男子が女装をして客引きをするという催しをする事になったため、女子たちからの熱い要望に応えた法雨は、ありとあらゆる衣装をその身に纏い客引きをしていたのだが――、その写真には、ちょうど、同校の女子用制服を着用していたシーンが写されていた――というわけであった。
しかし、そんな写真上に写る若き法雨に対し、雷が黙してしまったのは、法雨が“女子用制服を着用していたから”というわけではなかった。
「まぁ……文化祭の催しでは、女装も男装もよくある事とは云っても……、――これはちょっと……、心配になる短さだね……」
法雨は、そうして――“法雨の女装”ではなく“法雨のスカート丈の短さ”を驚いてしまうあたりが雷らしいと思いながらも、しばし照れつつ弁明した。
「あ、あぁ……、スカートは、その……、中途半端に長いと、逆に落ち着かなかったから……」
そんな若き法雨のスカート丈がいかほどであったかと云えば、その真っ白な太腿がほぼすべて見えるほどの短さであった。
「まぁ……、女性たちが周りに居てくれたのなら、危ない目にも遭わなかっただろうし、――何事もなかったのならそれでいいんだが」
そして、“今”共に居る法雨の髪を撫でながら、サービスをし過ぎている若き彼を案じる雷を、法雨は愛しく想いながら、安心させるようにして言う。
「ふふ。――えぇ、もちろん。――本当に何事もなかったから大丈夫よ。――ありがとう」
「そうか。――それなら良かったよ」
そんな法雨の言葉に、改めて安堵したらしい雷は言うと、そっと法雨の髪に口付けるようにした。
そうして、それからまたしばし、高校生時代のアルバムから中学生時代のアルバムまでを寄り添い合いながら辿っていると――、ふと、雷が問うた。
「――そう云えば。――法雨さんは、いつ頃からそうして振舞うようになったんだい?」
その問いに、中空を見やるようにした法雨は、記憶の引き出しを探りながら答える。
「ええっと……、そうねぇ……、――確か……、――小学生くらいからだったと思うわ」
「そうだったのか……。――じゃあ、随分と幼い頃からだったんだね。――道理で、上品さに磨きがかかっているわけだ」
法雨の振る舞いを“上品さ”と表現する雷に、しばしくすぐったさを感じながらも、法雨は言う。
「ふふ。――そんな風に言ってもらえると、なんだか嬉しいわ。――幼い頃のアタシも、大喜びよ。――……アタシね、――母の様になりたかったの」
「お母様の様に?」
法雨は、問う様にした雷に頷くと、続ける。
「そう。――幼いアタシからしても、母はとても美しい人だった。――だから、その事が、子供ながらに自慢だったわ。――それで……、いつからか、そんな母に憧れるようになったアタシは、母の真似をするようになったの。――そして、それが、こうして振舞うようになったきっかけね」
「――なるほど。そういう経緯があっての事だったのか……。――でも、納得だな」
「――“納得”?」
法雨がそれに首を傾げると、雷は頷く。
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