100 / 109
🌹『翠玉のケエス:芽吹』🌹 本編 💎 The SUN:U 💎
Drop.029『 The SUN:U〈Ⅱ〉』【4】
しおりを挟む
そうして、すっかりと法雨に笑顔が戻ったところで、雷はそんな彼を優しく抱き寄せると、またひとつ――、柔らかに口付けた。
💎
それから――、しばらくと心地よい湯の温もりに存分に浸った二人は、せっかく温めた身体が冷えてしまう前にと、手早く寝支度をしては、暖めておいた寝室へと向かった。
そうして、法雨と雷は、共にその暖かな寝室へと足を踏み入れた――のだが、法雨はそこで、何故か難儀そうにして言った。
「ううん……。なんだか……、――お風呂に入ったら、少し目が冴えちゃったわね……」
それに穏やかに笑うと、ベッドを軽く整えていた雷は、ひとつ手を止め、未だドアの前に佇む法雨に歩み寄って言う。
「それも今だけだよ。――暗くして目さえ閉じてしまえばすぐに眠れるさ。――身体もかなり疲れてるはずだし、過信せずに寝てしまった方がいいよ」
すると法雨は、そんな雷の言葉にも、悩み鳴いて応じる。
「う~ん……」
雷は、その法雨に何故だか愛らしさを感じ、その頬を撫でては伺う様にして言う。
「おや。――君が駄々をこねるなんて、珍しい事もあるものだね」
そんな雷をしばし見上げるようにした法雨は、ぽつりと零す。
「――“溜まってる”のよ……」
雷は、それに眉と耳を上げては、毛艶の良い尾をやんわり揺らがすと――、ひとつ間を置いてから問うた。
「――“疲れ”が?」
法雨は、そんな雷の“悪戯”に、じゃれるようにして言う。
「――もう。――意地悪ね」
そんな法雨が、言いながら色を含ませた視線を返すと、それを受け止めた雷は、手触りのよいレモン色を弄びながら言う。
「――まぁ、“さっき”はちゃんと休ませてあげられなかったから。――君の身体にも、無理はさせたくないんだよ」
すると、そんな雷にゆっくりと瞬いた法雨は、視線を絡めたまま笑んでは、上目遣いに紡ぐ。
「ふふ。それなら安心して? ――アタシの身体も、“さっき”のだけじゃ癒され足りないって言ってるか、ら。――でも……、そんなコト言って……。――実は、雷さんがお疲れだったりするかしら……? ――いくら我儘なアタシでも、お疲れの雷さんにまで無理をさせたくはないわ。――だから、お疲れなら、そう言って? ――そうしたら、アタシも、アタシの身体も、きっと“良い子”に出来るから……」
そんな法雨に、やや目を細めた雷は、ふと視線のみを中空にやると、
「――ううん……それがね……」
と思案するようにした。
だが、すぐに法雨に視線を戻すと、今度は悪戯っぽく笑み、
「俺も、疲れはまったく――なんだ。――困った事に」
と続けた。
法雨はそれに、ふふと楽しげに笑うと、次いで、するりと雷の腰に腕を回すなり、その身を寄せるようにして言った。
「それは違うわ。雷さん。――それを言うなら、“幸いなコトに”――よ」
そして、腰に回した手で、雷のワイシャツの背をつんと引くと、法雨は甘い声で強請る。
💎
それから――、しばらくと心地よい湯の温もりに存分に浸った二人は、せっかく温めた身体が冷えてしまう前にと、手早く寝支度をしては、暖めておいた寝室へと向かった。
そうして、法雨と雷は、共にその暖かな寝室へと足を踏み入れた――のだが、法雨はそこで、何故か難儀そうにして言った。
「ううん……。なんだか……、――お風呂に入ったら、少し目が冴えちゃったわね……」
それに穏やかに笑うと、ベッドを軽く整えていた雷は、ひとつ手を止め、未だドアの前に佇む法雨に歩み寄って言う。
「それも今だけだよ。――暗くして目さえ閉じてしまえばすぐに眠れるさ。――身体もかなり疲れてるはずだし、過信せずに寝てしまった方がいいよ」
すると法雨は、そんな雷の言葉にも、悩み鳴いて応じる。
「う~ん……」
雷は、その法雨に何故だか愛らしさを感じ、その頬を撫でては伺う様にして言う。
「おや。――君が駄々をこねるなんて、珍しい事もあるものだね」
そんな雷をしばし見上げるようにした法雨は、ぽつりと零す。
「――“溜まってる”のよ……」
雷は、それに眉と耳を上げては、毛艶の良い尾をやんわり揺らがすと――、ひとつ間を置いてから問うた。
「――“疲れ”が?」
法雨は、そんな雷の“悪戯”に、じゃれるようにして言う。
「――もう。――意地悪ね」
そんな法雨が、言いながら色を含ませた視線を返すと、それを受け止めた雷は、手触りのよいレモン色を弄びながら言う。
「――まぁ、“さっき”はちゃんと休ませてあげられなかったから。――君の身体にも、無理はさせたくないんだよ」
すると、そんな雷にゆっくりと瞬いた法雨は、視線を絡めたまま笑んでは、上目遣いに紡ぐ。
「ふふ。それなら安心して? ――アタシの身体も、“さっき”のだけじゃ癒され足りないって言ってるか、ら。――でも……、そんなコト言って……。――実は、雷さんがお疲れだったりするかしら……? ――いくら我儘なアタシでも、お疲れの雷さんにまで無理をさせたくはないわ。――だから、お疲れなら、そう言って? ――そうしたら、アタシも、アタシの身体も、きっと“良い子”に出来るから……」
そんな法雨に、やや目を細めた雷は、ふと視線のみを中空にやると、
「――ううん……それがね……」
と思案するようにした。
だが、すぐに法雨に視線を戻すと、今度は悪戯っぽく笑み、
「俺も、疲れはまったく――なんだ。――困った事に」
と続けた。
法雨はそれに、ふふと楽しげに笑うと、次いで、するりと雷の腰に腕を回すなり、その身を寄せるようにして言った。
「それは違うわ。雷さん。――それを言うなら、“幸いなコトに”――よ」
そして、腰に回した手で、雷のワイシャツの背をつんと引くと、法雨は甘い声で強請る。
0
あなたにおすすめの小説
天啓によると殿下の婚約者ではなくなります
ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。
フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。
●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移、回帰の要素はありません。
性表現は一切出てきません。
【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
雪を溶かすように
春野ひつじ
BL
人間と獣人の争いが終わった。
和平の条件で人間の国へ人質としていった獣人国の第八王子、薫(ゆき)。そして、薫を助けた人間国の第一王子、悠(はる)。二人の距離は次第に近づいていくが、実は薫が人間国に行くことになったのには理由があった……。
溺愛・甘々です。
*物語の進み方がゆっくりです。エブリスタにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる