小さな奇跡

鷹さん

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またピッチに立つ

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僕にとってサッカーとは、とても孤独なものだった。しかしそれに気づいたのも中学3年生の試合中の事だった。得意のドリブルで相手を交わし、シュートを放つもポストに阻まれ、そこで誰かが押し込むのが理想的な筈なのに周りを見ても誰も上がって来ていなかった。その時やっと、俺は今までどれだけチームで浮いていたか気づいたのだ。
「月、月くん」
「はぁーーい!?」
また中学生の時の夢を見てしまった。あの試合から俺はこの夢を悪夢のように見続けている。
「寝ないで下さい、、、授業中ですよ!!全く。」
「キーン!コーン!カーン!コーン」
「月、飯行くぞ!!」
「そういえば、健太。」
「どうした?」
「俺っていつもお前と昼飯くってた?」
「そそだよ、、いっつも一緒に食ってたじゃねーかよ。そっか忘れちまってんのか、いいから早く行くぞ!!」
俺には健太が何か俺に嘘を付いているようにしか、思えなかった。
その日の放課後、俺はコーチに言われ部活に一度挨拶しに行くことになった。もちろん俺は退部の挨拶のつもりで行った。
しかしいざ行ってみると練習試合が行われていた。
「あれーこの学校じゃなかったっけ?中学生の頃孤独な王様って言われて、高校生になって急にプレイが大人しくなってつまらなくなった月って奴。」
スコアは前半終わって0ー1負けているようだった。まぁ俺にとってはどうでもよかった。
遠くで自分の事をいくら馬鹿にされようが何も思わなかった。しかし俺がちゃんとプレイスタイル変えようとしていた事には心のどこかで驚いた気がする。
「うるせー月を馬鹿にしてただろ!!」
「すいません、こちらの1年が迷惑かけました。」
その後の事を俺はよく覚えていない。しかし気づいたらベンチにいた。
「コーチ!!俺を試合にだせ!!」
「コーチじゃなくて梶谷と呼んでくれ!!」
「わかりました。梶谷コーチ俺を試合に出してくれ!!」
「君はもうサッカーをやらないんじゃないのかい?」
「今はそういう場合じゃねんだよ、俺が馬鹿にされるならいんだよ。俺をかばって誰かが馬鹿にされるのは何か嫌なんだよ。」
「わかった、これを着ろ!!やっぱり月は月だな!!笑笑」
「行ってこい!!」
選手の交代のお知らせをします。
15番佐藤OUT
10番月IN
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